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11~20話
18c、私と付き合ってください
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机の上にはフルーツ山盛りのバスケットが置かれ、半開きにされたままのドアにも気遣いを感じる。
「昨日のうちに来られなくて悪かったな。その後調子はどうだ?」
「もう調子はばっちりですよ。熱もすっかり引いて、今すぐにでもお仕事に復帰できそうです」
「そうか。しかし今日一日はしっかりと休むように」
「はーい……」
今まで、なんでこの瞳に見つめられて平然としていられたのだろう。
強い光を宿す群青の瞳に見つめられては、胸の内に潜む恋心まで透かされてしまいそうだ。
どうせ部屋から出られないのだからと寝衣姿のままでいたことも悔やまれる。
やわらかな薄布一枚ではあまりにも心許なく、ソワソワとして落ち着かない。
「こういう事はよくあるのか?」
「こういう……?」
「この間も、体調を崩して庭にうずくまっていただろう」
「あ、あれはたまたまですっ! 丈夫さが取り柄なので、ここ十年ほど風邪さえ引いてませんよ!」
グレニスの前で二度も体調を崩してしまったことで、病弱などとあらぬ誤解を受けそうになるのを全力で否定する。
あいにくと、そんな深窓の令嬢っぽい繊細さは持ち合わせていないのだから。
「医者は何と?」
「えーっと、ただの発熱で……、うつるようなものでもないと……」
ゴニョゴニョ。
「……とすれば、やはり一昨日の訓練見学が原因か。長時間炎天下にいたせいで体力を消耗したんだろう」
「えっ」
「それに気付かず食事などと、遅くまで連れ回してしまってすまなかった」
グレニスが膝に手をついて頭を下げる。
ちょっ! 待って待って待って!
「顔を上げてくださいっ!」
「いや、俺の配慮が足りていなかった。預かっている大事な娘さんを倒れさせたんだ、この件に関してはリヴェリーのご両親へも謝罪の手紙を送っておく」
やめてやめてやーめーてー!!
ブランケットから飛び出しベッドの上をにじり寄って、ひしとグレニスの手を握る。
触れた部分から、どうかこの必死な気持ちが伝わらないだろうか。お願いだから顔を上げてほしい。
「昨日のうちに来られなくて悪かったな。その後調子はどうだ?」
「もう調子はばっちりですよ。熱もすっかり引いて、今すぐにでもお仕事に復帰できそうです」
「そうか。しかし今日一日はしっかりと休むように」
「はーい……」
今まで、なんでこの瞳に見つめられて平然としていられたのだろう。
強い光を宿す群青の瞳に見つめられては、胸の内に潜む恋心まで透かされてしまいそうだ。
どうせ部屋から出られないのだからと寝衣姿のままでいたことも悔やまれる。
やわらかな薄布一枚ではあまりにも心許なく、ソワソワとして落ち着かない。
「こういう事はよくあるのか?」
「こういう……?」
「この間も、体調を崩して庭にうずくまっていただろう」
「あ、あれはたまたまですっ! 丈夫さが取り柄なので、ここ十年ほど風邪さえ引いてませんよ!」
グレニスの前で二度も体調を崩してしまったことで、病弱などとあらぬ誤解を受けそうになるのを全力で否定する。
あいにくと、そんな深窓の令嬢っぽい繊細さは持ち合わせていないのだから。
「医者は何と?」
「えーっと、ただの発熱で……、うつるようなものでもないと……」
ゴニョゴニョ。
「……とすれば、やはり一昨日の訓練見学が原因か。長時間炎天下にいたせいで体力を消耗したんだろう」
「えっ」
「それに気付かず食事などと、遅くまで連れ回してしまってすまなかった」
グレニスが膝に手をついて頭を下げる。
ちょっ! 待って待って待って!
「顔を上げてくださいっ!」
「いや、俺の配慮が足りていなかった。預かっている大事な娘さんを倒れさせたんだ、この件に関してはリヴェリーのご両親へも謝罪の手紙を送っておく」
やめてやめてやーめーてー!!
ブランケットから飛び出しベッドの上をにじり寄って、ひしとグレニスの手を握る。
触れた部分から、どうかこの必死な気持ちが伝わらないだろうか。お願いだから顔を上げてほしい。
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