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31~40話
33c、三日分嗅がないといけないのれ
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広い鍛練場の中央に人影を見つけ、走り出さないギリギリの速度でワゴンを押して向かう。
グレニスだ!
グレニスがいる!
鍛練場に近づくほどはっきりと見えてくるその姿は、紛うことなく大好きなグレニスで。
「おはようございます、旦那様っ!」
「ああ。リヴ、おはよう」
こちらを向く群青の瞳、心地よく響く低音、頬を伝う汗。怒っているかのようなその険しい表情までも、何もかもが愛おしくて。
すぐにでも飛び付きたいと逸る気持ちを必死に抑え、そわそわと落ち着きなく鍛練場の片隅に控えた。
鍛練が終わるや否や、はちみつレモン水を注いだゴブレット片手にグレニスに飛び付く。
「おつかれふぁまれふっ! ろうぞ!」
「……順序がおかしくないか」
胸に突っ伏したままゴブレットを差し出す私の手から、グレニスがゴブレットを取り上げる。
口ではそんなことを言いながらも、優しいグレニスの片腕はしっかりと私を抱きしめ返してくれている。
空いた両手でしっかりとグレニスにしがみつくと、二日ぶりの抱擁に大きく大きく息を吸い込んだ。
すぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ
ああ、この香りだ。ずっとこの香りを嗅ぎたかった。
熱く野性的でいて、ほのかに石鹸だろうミントの香りがして、どこまでも安心するような。
すぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ
「熱烈だな」
はちみつレモン水を飲み終え、空のゴブレットをワゴンに戻したグレニスは、改めてぎゅっと私を抱きしめてくれた。
広い鍛練場の中央に人影を見つけ、走り出さないギリギリの速度でワゴンを押して向かう。
グレニスだ!
グレニスがいる!
鍛練場に近づくほどはっきりと見えてくるその姿は、紛うことなく大好きなグレニスで。
「おはようございます、旦那様っ!」
「ああ。リヴ、おはよう」
こちらを向く群青の瞳、心地よく響く低音、頬を伝う汗。怒っているかのようなその険しい表情までも、何もかもが愛おしくて。
すぐにでも飛び付きたいと逸る気持ちを必死に抑え、そわそわと落ち着きなく鍛練場の片隅に控えた。
鍛練が終わるや否や、はちみつレモン水を注いだゴブレット片手にグレニスに飛び付く。
「おつかれふぁまれふっ! ろうぞ!」
「……順序がおかしくないか」
胸に突っ伏したままゴブレットを差し出す私の手から、グレニスがゴブレットを取り上げる。
口ではそんなことを言いながらも、優しいグレニスの片腕はしっかりと私を抱きしめ返してくれている。
空いた両手でしっかりとグレニスにしがみつくと、二日ぶりの抱擁に大きく大きく息を吸い込んだ。
すぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ
ああ、この香りだ。ずっとこの香りを嗅ぎたかった。
熱く野性的でいて、ほのかに石鹸だろうミントの香りがして、どこまでも安心するような。
すぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ
「熱烈だな」
はちみつレモン水を飲み終え、空のゴブレットをワゴンに戻したグレニスは、改めてぎゅっと私を抱きしめてくれた。
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