首輪 〜性奴隷 律の調教〜

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R side  律の夢 ep4

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僕は息を細く長く吐いて緊張に強張る体の力を出来る限り逃す。
コンクリートの灰色の天井の一点を見詰めながら、足の力を抜いて更に大きく広げた。

ぐぽっ、と音がして、体に衝撃と重い痛みが走る。どうやら僕の体は一つの塊を飲み込んだらしかった。
「おお、入った入った」
細川様が嬉しそうに声を上げる。
「飯塚さんもご覧になりませんか?肛門の粘膜が捲れ上がって、中々の光景ですよ」
その言葉に僕の全神経は目の端で捉えている御主人様の方へ向けられたけれど、御主人様は言葉にもしないような一瞬の仕草でそれを断ったらしかった。こんな時でも僕の心の中は些細な事に反応してちくちくと痛む。もう感情を捨ててしまいたかった。

そして次の瞬間、更にもう一つの金属の球がアナルへ押し付けられる。
流石にもうこれ以上僕の体にそんな隙間は無いのは分かりきっているけれど、僕に拒否権など存在しない。
激痛と呼べる感覚に下半身が支配され、既に中に入っている球が更に体の奥へと押し込まれる。
「ぅ……ああ…!!」
力ずくで二つ目の球が僕の体に挿入されると、細川様は額に汗を浮かべながらとても満足げに不自然に膨らんだ僕の腹を撫でた。
「可愛いボテ腹だねぇ」
内側からの裂かれるような痛みで敏感になった腹部に触れられ、僕は引きつるような声を上げる。顔を上げて上半身を起こせば見えるであろう自分の恐ろしい形状に変わった腹部が絶対に視界に入らぬよう僕は顎を上げる。

「すっかり萎えちゃったね。気持ち良くなかったのかな?」
一度は勃起したものの、痛みと恐怖で縮こまったペニスが細川様の手で弄ばれる。そのまま細川様は僕のペニスを舐めたり、僕の顔に跨がって口で奉仕させたりしていたけれど、痛みと恐怖で僕の頭の中はぐちゃぐちゃになっていて錯乱状態のまま時間が過ぎて行く。
僕の泣いて取り乱す様子が気に入ったのか、いつの間にか細川様のものが勃起していた。息が荒く、頰が紅潮し、明らかに興奮している。記憶が途切れかけているうちに、少し吐いてしまったらしい自分の吐瀉物を口元に感じて、これが細川様の興奮の理由かと僕は悟った。

「じゃあ頑張って今度は出してみようか」
細川様が性的な欲求を覚えたお陰でこれ以上あの金属の球を飲み込まなくて良くなったのは救いだったが、一度挿入されたものを排出するにも、とんでもない激痛が走るのは必須だった。
僕は恐る恐る下腹部に力を入れる。掻き乱された粘膜がこれ以上の刺激を許容出来ず、中々排泄出来ない。このままの状態が続く事にも、無理やり引きずり出される事にも僕は恐怖を覚え、息を深く吸っていきむように腹を力ませる。全身に力が入り、拘束された手首の皮膚が擦り切れ痺れるような感覚が続く。
「ああ、出てきた出てきた。そのままひり出しなさい」
ほんの少し球の頭が僕のアナルから顔を出したようで、それを覗き込むようにしている細川様が自分のものを扱きながら興奮気味に言う。
限界まで踏ん張ったけれど、息継ぎのために息を吸い込んだ瞬間にそれはまた体の中へと戻ってしまった。
「何をやってるんだ」
この光景に飽き始めた事と、早くセックスしたい細川様は声に苛立ちを滲ませる。僕はまた踏ん張るが、息を吸う度に玩具は体の中へと引き戻され、同じ事が何度も繰り返された。
「いい加減にしなさい」
細川様の声に謝罪しようとした瞬間、予想しなかった角度から凄まじい痛みと衝撃が腹部に走る。
「っ、ア”ーーーー!!!!」
何が起こったのか、一瞬分からなかった。僕は出したくもない濁った声で絶叫を上げる。ぶつぶつと途切れる視界の中を必死に見上げると御主人様が僕の腹を足で踏み付けている。御主人様の体重を受けた僕の腹は、内臓ごと引きずり出されるような衝撃を受けながらその球を押し出して外へと排出した。
ゴン、ゴン、と薄いマットの上に金属の球が落ちる音がする。喉の奥から胃液が吹き出し、また頰が汚れた。

「…御主人様……有難うございます…」
足が悪い御主人様にここまでさせてしまった事への謝罪も含めた感謝の言葉を伝える。頭の芯がギンギンと痛む。御主人様に触れてもらっているこの下腹部の感触を永遠に感じていたかった。

「手間を掛けさせるな」
感傷に浸る暇も与えず御主人様が吐き捨てるように言うと僕の腹から足が退く。
御主人様の姿が視界から消え、代わりに細川様が僕に覆い被さった。
さっきの玩具が大き過ぎたせいで、挿入されているのかすら僕には良く分からないまま細川様が腰を振る。
そしてその顔が直ぐ不満げに歪んだ。

「緩いよリツ君」
「……申し訳ありません」
性奴隷としてこれ以上惨めな蔑みさげすみの言葉は無かったが、どんなに力を入れても一度限界まで広がった括約筋は直ぐに元の形には戻らない。予想出来ていた事だったが、成す術が無かった。

御主人様が見ているのに、僕は唯一僕に与えられたセックスという仕事をまた満足にこなせない。

そして痺れを切らせた細川様に横っ面を思い切り掌で張られた。その痛みに僕は手錠を咄嗟に思い切り引きながら体を弓なりにしてビクつかせる。僕の体は反射的に震えて収縮し、少しの間細川様の満足出来る状態になったようだった。
そして痛みがゆっくり退くと共に弛緩して行く僕の体を感じると、反対側の頰が張られる。
何度もその行為を続けるうち、細川様の体は徐々に昂って行くが、僕は次第に頬を叩かれる痛みにも慣れていってしまう。
どんな刺激も恐怖も、続くうちに磨耗して何も感じなくなって行く。
僕の場合、そのサイクルがとても短くなってしまっていた。
細川様はまた締まりが緩んで戻らなくなった僕を忌々しげに見下ろす。
「…もっと…もっと強くって下さ…」
御主人様の前でこれ以上の失態を避けたく、僕は懇願するように伝えたが、それを言い終わる前に細川様の両手が僕の首に伸びる。
僕はぎょっとして目を見開くが、言葉を発する前に細川様の親指が的確に首輪を避けて咽喉の下を捉え、気道を塞いだ。

これまでもこういうプレイは何度かした事があったけど、両手を拘束されたままなのは初めてだった。
そして何より恐ろしいのは、細川様も御主人様も僕が死ぬのをきっと厭わない事だ。

命を掛けて御主人様に御奉仕すると誓ったのに、僕は感じた事のない強い恐怖に身を捩る。徐々に酸素が不足し始め、苦しさに頭に血が上る。
両手は使えないまま体を左右に振り、大粒の涙を溢しながら、体をベッドの上で跳ねさせる。

その様子が余程気に入ったのか、異常な緊張で収縮する僕の体の中の状態が興奮を誘うのか、やっと存在を感じられるようになった細川様の男根が僕のアナルを突く。

目の前が白く薄く霞む。
御主人様に愛想の尽かされたこんな人生でも、僕はまだ生きる事に執着している事に驚かされる。
細川様は僕の首を絞める手の強さを緩める気配はない。絶頂に向けて一心不乱に腰突き上げ、僕の肛門がこれ以上緩まないようにますます手に力が込められる。

苦しい。息が出来ない。

こわい。助けて。

誰か助けて。誰か。誰か。
僕は心の中で叫ぶ。

誰か。誰か。

窒息がこんなに苦しいなんて知らなかった。
もう見えるもの全てが真っ白変わる。

誰か。

意識が薄らいで行くのが分かる。
どこか深い所にに落ちて行くような感覚。

体を犯される痛みが遠くへ消えて行く。

目を閉じても開けてもそこは白く見える。

僕が落ちて行く先。
足先から少しずつ体が冷えて行き、意識が朦朧として僕の存在と一緒に消えていく。

僕は死ぬのだろうか。

ずっと一人だったのに、一人で死ぬのはとても寂しかった。
こんなにも心に根深く孤独が根を張っているのに。

そして落ちて行った先に見えたのは白い、白いシーツ越しの、あの淡い明け方の太陽の光。


そこは御主人様の居ない世界。

煙草の匂いがする所。

僕の決して見たくない世界。

硝子の金魚が泳ぐ場所。
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