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5章
1.待ち伏せ
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私がグレンからプロポーズを受けた次の日。
最近はジョザイアが毎日
職場まで送ってくれていたが、
今日は何故か来なかった。
どうやって彼が毎日、私の家の中に
入ってきていたのかわからないけど
やはり誰かといると両親を殺された時の
苦しみを忘れることができた。
彼が頻繁に来てくれて、
正直ありがたかったんだけど、
彼にも事情があるのだろう。
もしくは‥昨日の‥??
帰り際、ジョザイアは私を腕の中に抱え
髪を撫でた。
その時の彼の眼は絡みつく蛇のように、
熱を帯びて、
まるで前に彼に深いキスをされ、
身体を弄ばれた時と‥
いえ、あれは夢、あれは夢‥
そんなことを思いながら
職場の実務室で名札をカバンにしまい
帰り支度を進めていると、
グレンが話しかけてくる。
「アイリーン、帰るのか?」
「っ!!えっええ、そうよ。」
なんだかビックリしてしまった。
ジョザイアのことを考えていたから?
後ろ暗いことなんてないのに…
ええ、ないはず‥
「そうか、なら気をつけて。
まだ君の‥いや、
俺も仕事が終わり次第、行くから」
「うん、ありがとう」
彼が『まだ‥』といい淀んだのは、
きっとこう言おうとしたんだと思う。
『まだ、君の両親を殺した犯人も
捕まっていないんだし』
でも、彼はやめた。
彼は本当に優しい。
私の最愛の人。彼は私の心の幸い。
彼と結婚できるなんて本当に最高の気分
「‥‥」
‥やっぱりジョザイアとのこと、
言うべきだわ‥
聞かれたわけではないけど、
彼を騙しているようで心苦しい。
私がジョザイアにされたこと、
やっぱり‥夢じゃなかったと思う‥
話さなければいけない。
本位ではないにしろ、
私はジョザイアに‥
「あの、グレン‥私‥」
「ああ!もちろんだ。アイリーン
仕事が終わったらすぐに婚姻届を書いて
出しに行こう」
「えっ?あ‥そう……そうね!」
彼は手を振りその場を去る。
私はタイミングを逃して
ポツンと立ちつくしていた。
帰ろう‥
‥‥
建物を出ると、
外は雨が降っていた。
私はカバンの中の折りたたみ傘を広げる。
紺色の少し大きい無難な傘。
それを差して
病棟から高い塀までの濡れた石畳の上を
コツコツと音を立てて歩いた。
この精神病棟は監獄でもあるため、
塀はグレーのコンクリで塗り固められ
上には有刺鉄線が張ってある。
雨は強く。
有刺鉄線からポタポタと水が滴っている。
私が頑丈そうな門をくぐり塀から出ると、
その塀に寄りかかっている青年が居た。
彼の髪は雨に濡れて、
ゴツゴツとした指からは水が滴り落ちる。
「ジョザイア!?なんでここに?傘は?」
私は彼を傘に入れて、
カバンからハンカチを取り出す。
「先生を待ってたら、降ってきちゃって‥」
なんだか彼は元気が無くて、
伏し目がちだった。私は心配になって、
「と、とにかく、うちに来て!
タオル貸すから」
そう言って彼を引っ張ると
彼は力なく頷いて、
「うん‥」
とだけ私に答えた。
私はただ心配だっただけ。
私はこれから、彼にされることを
何も知りはしなかった。
最近はジョザイアが毎日
職場まで送ってくれていたが、
今日は何故か来なかった。
どうやって彼が毎日、私の家の中に
入ってきていたのかわからないけど
やはり誰かといると両親を殺された時の
苦しみを忘れることができた。
彼が頻繁に来てくれて、
正直ありがたかったんだけど、
彼にも事情があるのだろう。
もしくは‥昨日の‥??
帰り際、ジョザイアは私を腕の中に抱え
髪を撫でた。
その時の彼の眼は絡みつく蛇のように、
熱を帯びて、
まるで前に彼に深いキスをされ、
身体を弄ばれた時と‥
いえ、あれは夢、あれは夢‥
そんなことを思いながら
職場の実務室で名札をカバンにしまい
帰り支度を進めていると、
グレンが話しかけてくる。
「アイリーン、帰るのか?」
「っ!!えっええ、そうよ。」
なんだかビックリしてしまった。
ジョザイアのことを考えていたから?
後ろ暗いことなんてないのに…
ええ、ないはず‥
「そうか、なら気をつけて。
まだ君の‥いや、
俺も仕事が終わり次第、行くから」
「うん、ありがとう」
彼が『まだ‥』といい淀んだのは、
きっとこう言おうとしたんだと思う。
『まだ、君の両親を殺した犯人も
捕まっていないんだし』
でも、彼はやめた。
彼は本当に優しい。
私の最愛の人。彼は私の心の幸い。
彼と結婚できるなんて本当に最高の気分
「‥‥」
‥やっぱりジョザイアとのこと、
言うべきだわ‥
聞かれたわけではないけど、
彼を騙しているようで心苦しい。
私がジョザイアにされたこと、
やっぱり‥夢じゃなかったと思う‥
話さなければいけない。
本位ではないにしろ、
私はジョザイアに‥
「あの、グレン‥私‥」
「ああ!もちろんだ。アイリーン
仕事が終わったらすぐに婚姻届を書いて
出しに行こう」
「えっ?あ‥そう……そうね!」
彼は手を振りその場を去る。
私はタイミングを逃して
ポツンと立ちつくしていた。
帰ろう‥
‥‥
建物を出ると、
外は雨が降っていた。
私はカバンの中の折りたたみ傘を広げる。
紺色の少し大きい無難な傘。
それを差して
病棟から高い塀までの濡れた石畳の上を
コツコツと音を立てて歩いた。
この精神病棟は監獄でもあるため、
塀はグレーのコンクリで塗り固められ
上には有刺鉄線が張ってある。
雨は強く。
有刺鉄線からポタポタと水が滴っている。
私が頑丈そうな門をくぐり塀から出ると、
その塀に寄りかかっている青年が居た。
彼の髪は雨に濡れて、
ゴツゴツとした指からは水が滴り落ちる。
「ジョザイア!?なんでここに?傘は?」
私は彼を傘に入れて、
カバンからハンカチを取り出す。
「先生を待ってたら、降ってきちゃって‥」
なんだか彼は元気が無くて、
伏し目がちだった。私は心配になって、
「と、とにかく、うちに来て!
タオル貸すから」
そう言って彼を引っ張ると
彼は力なく頷いて、
「うん‥」
とだけ私に答えた。
私はただ心配だっただけ。
私はこれから、彼にされることを
何も知りはしなかった。
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