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ジュリアを家に送るヴィラジュリオは、あることに気が付き疑問を抱く。
それは、ジュリアから感じる魔力の波長がヴィラジュリオの魔力と似ているということだ。
魔力には、人それぞれの波長が存在していた。そのため、魔法の使用後の魔力の残滓から、誰が使った魔法かを特定することも出来るようになっていたのだ。
似たような魔力の波長を持つ者が世の中には三人はいると言われているが、ジュリアの魔力はヴィラジュリオの魔力の波長と似すぎていたのだ。
そんなことを考えているうちにあっという間にジュリアの家までたどり着いていた。
小さな庭の付いた家で、その一部は店舗となっていた。
家に着くとジュリアは、ヴィラジュリオの腕の中から抜け出してにこりと笑うのだ。
「ヴィラジュリオしゃま、ありがとう。おれいにおちゃをのんでいってくだしゃい」
そう言って店舗側の扉を開けて中に入っていくジュリアの背を見つめながら、ヴィラジュリオは判断に迷っていた。
そんなヴィラジュリオに気が付いたのだろう、中からぴょこりと顔を出したジュリアが手招きながら言うのだ。
「こっちこっち」
迷いながらもジュリアのお願いを無下には出来なかったヴィラジュリオは、困ったような笑みを浮かべながらもゆっくりと歩き出したのだ。
店の中に入ったヴィラジュリオは、その暖かな空間に驚くのだ。
ハーブの匂いと、温かな空気。魔法薬や魔法道具が見やすいように陳列されていた。
物珍し気に見ていると、奥に向かってジュリアは大きな声で話しかけていた。
「ママ~。ただいま~。あのねぇ、いけめんのきちしゃまにおくってもらったの~」
ジュリアの大きな声に、奥の方からぱたぱたと小走りで真っ白な髪をした小柄な少女が顔を出して慌てながら頭を下げたのだ。
「すいません……。うちの子が、ご迷惑をおかけし……」
下げていた頭を上げながら、入り口付近で立ち止まっていたヴィラジュリオと視線があった少女は、ポカンと口を開けてしまっていた。
しかし、すぐに頭を深く下げて何度も謝罪の言葉を口にした。
「申し訳ございません。うちの子がご迷惑をおかけしたみたいで……。本当に申し訳ございません」
一瞬だけ少女のエメラルドグリーンの瞳と視線が合ったヴィラジュリオは、全身に電撃でも受けたかのような衝撃に見舞われていた。
ヴィラジュリオは、奇跡だと思った。そして、この幸運を今度こそ絶対に掴んで逃がさないと、そう決めたのだ。
「悪いものか……。会いたかった。ヴィオ」
そう言って、真っ白な髪の少女を抱きしめたのだ。
「ちっ……違います。人違いです」
「違わない。俺のアスタヴァイオン。どんなに姿が変わっても分かるよ」
「な……んでですか……」
「好きだから。アスタヴァイオンのことを愛しているから」
「だって、でも……」
「アスタヴァイオンのことが大切なんだ。アスタヴァイオンにどう思われていたとしても、俺の気持ちは変わらない。男同士とかどうでもいい。アスタヴァイオンだから大切で、大好きで、愛しているんだ」
そう言ったヴィラジュリオは、甘く蕩けるような笑みを浮かべて、困惑の表情を受けベる最愛の人をぎゅっと抱きしめたのだった。
それは、ジュリアから感じる魔力の波長がヴィラジュリオの魔力と似ているということだ。
魔力には、人それぞれの波長が存在していた。そのため、魔法の使用後の魔力の残滓から、誰が使った魔法かを特定することも出来るようになっていたのだ。
似たような魔力の波長を持つ者が世の中には三人はいると言われているが、ジュリアの魔力はヴィラジュリオの魔力の波長と似すぎていたのだ。
そんなことを考えているうちにあっという間にジュリアの家までたどり着いていた。
小さな庭の付いた家で、その一部は店舗となっていた。
家に着くとジュリアは、ヴィラジュリオの腕の中から抜け出してにこりと笑うのだ。
「ヴィラジュリオしゃま、ありがとう。おれいにおちゃをのんでいってくだしゃい」
そう言って店舗側の扉を開けて中に入っていくジュリアの背を見つめながら、ヴィラジュリオは判断に迷っていた。
そんなヴィラジュリオに気が付いたのだろう、中からぴょこりと顔を出したジュリアが手招きながら言うのだ。
「こっちこっち」
迷いながらもジュリアのお願いを無下には出来なかったヴィラジュリオは、困ったような笑みを浮かべながらもゆっくりと歩き出したのだ。
店の中に入ったヴィラジュリオは、その暖かな空間に驚くのだ。
ハーブの匂いと、温かな空気。魔法薬や魔法道具が見やすいように陳列されていた。
物珍し気に見ていると、奥に向かってジュリアは大きな声で話しかけていた。
「ママ~。ただいま~。あのねぇ、いけめんのきちしゃまにおくってもらったの~」
ジュリアの大きな声に、奥の方からぱたぱたと小走りで真っ白な髪をした小柄な少女が顔を出して慌てながら頭を下げたのだ。
「すいません……。うちの子が、ご迷惑をおかけし……」
下げていた頭を上げながら、入り口付近で立ち止まっていたヴィラジュリオと視線があった少女は、ポカンと口を開けてしまっていた。
しかし、すぐに頭を深く下げて何度も謝罪の言葉を口にした。
「申し訳ございません。うちの子がご迷惑をおかけしたみたいで……。本当に申し訳ございません」
一瞬だけ少女のエメラルドグリーンの瞳と視線が合ったヴィラジュリオは、全身に電撃でも受けたかのような衝撃に見舞われていた。
ヴィラジュリオは、奇跡だと思った。そして、この幸運を今度こそ絶対に掴んで逃がさないと、そう決めたのだ。
「悪いものか……。会いたかった。ヴィオ」
そう言って、真っ白な髪の少女を抱きしめたのだ。
「ちっ……違います。人違いです」
「違わない。俺のアスタヴァイオン。どんなに姿が変わっても分かるよ」
「な……んでですか……」
「好きだから。アスタヴァイオンのことを愛しているから」
「だって、でも……」
「アスタヴァイオンのことが大切なんだ。アスタヴァイオンにどう思われていたとしても、俺の気持ちは変わらない。男同士とかどうでもいい。アスタヴァイオンだから大切で、大好きで、愛しているんだ」
そう言ったヴィラジュリオは、甘く蕩けるような笑みを浮かべて、困惑の表情を受けベる最愛の人をぎゅっと抱きしめたのだった。
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