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第八話 異世界生活
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異世界で暮らすようになって困ったことが色々と出てきた。
僕は何とか耐えているが、一生はそろそろ限界そうだった。
現在僕たちは、冒険者ギルドの近くにある安宿に泊まっていた。
安宿だけあって、財布には優しいけど、色々と問題があった。
まず、風呂が無かった。トイレは共用のがあったがとても汚かった。
まぁ、宿自体古いし汚いしで、歩くたびに廊下がギシギシと音を立てた。
そして、飯が不味かった。途轍もなく不味かった。
かと言って、宿屋の台所を借りて自炊というわけにもいかなかった。
一度、ダメ元で聞いてみたが、とても嫌な顔をされてしまって、これ以上言うと宿を追い出されるかもしれないと思えるほど嫌な顔をされてしまったのだ。
そんな訳で、僕は何とか耐えているが、一生は食べ物が口に合わないって、食が細くなって、元気もなくなっていっていたのだ。
そこで、一生と相談して宿を出て家を借りることを考えたのだ。
だけど、冒険者ランクが低い僕たちでは大した稼ぎがあるわけでもなく、途方に暮れる日々だった。
あまりに一生が調子悪そうだったから、ある時どうにかして元気になってもらえないかと、何か僕で出来ることが無いかかと聞いたことがあった。
それが僕にとっての不幸の始まりだったとも言えた。
「一生……。こんなことで本当にお前は元気になるのか?」
「すー……。うん。すごく元気になる。別のところも元気になりそうで紙一重だけど、凄く元気になるよ」
「僕はときたま、一生の言っている言葉が理解できないことがあるよ……」
「ん?」
「何でもない。明日も早いしもう寝ろ」
「う」
一生が短くそう答えると、僕をさらに強く抱きしめたのだ。
そう、あの日僕が言った「何かできること」に対しての答えが「陽騎と一緒に寝たい」だったのだ。
何が悲しくて野郎の抱き枕にならないといけないのか……。
そして悔しいことに、ガタイのいい一生に、ひょろひょろの僕はすっぽりと抱きしめられてしまっていた。
はぁ、もう少し僕に身長があれば……。はぁ、もっと筋肉が付くような体だったら……。
そんなことを考えても、身長も体格も変えようが無かった。
ただし、身長はこれから伸びるかもしれないと密かな期待も込めたが、ばーちゃん譲りの容姿の僕は、小柄なばーちゃんのことを思い出して、これ以上伸びるのは難しいのだろうなと少しだけ諦めていたのだった。
翌日、目を覚ますといつものように、先に起きていた一生に見つめられていた。
何が楽しいのか、僕よりも先に起きた一生は、楽しそうに僕の寝顔をいつも見つめていたのだ。
これには、さすがの僕も毎日同じように突っ込まずにはいられなかった。
「はぁ。はよ……。てか、いつものことながら、何が楽しいんだか……」
「くすくす。おはよう。俺はとっても幸せだよ?」
「はぁ……。はいはい。それで今日の依頼はどうする? そろそろ採取系以外も行ってみる?」
いつもながら返答に困る返しに、自分で振っておきながら早々に話題を変えた。
一生は、一瞬悩んだ後に頷いてから起き上がった。
「そうだね。そろそろ、討伐系でもいいかもね。討伐系は素材とか売れるし」
「了解。じゃ、キリルさんによさそうな討伐依頼見繕ってもらおう」
こうして今日の予定が決まった僕と一生は、身支度を整えて、宿の不味い飯を食ってから冒険者ギルドに向かったのだった。
僕は何とか耐えているが、一生はそろそろ限界そうだった。
現在僕たちは、冒険者ギルドの近くにある安宿に泊まっていた。
安宿だけあって、財布には優しいけど、色々と問題があった。
まず、風呂が無かった。トイレは共用のがあったがとても汚かった。
まぁ、宿自体古いし汚いしで、歩くたびに廊下がギシギシと音を立てた。
そして、飯が不味かった。途轍もなく不味かった。
かと言って、宿屋の台所を借りて自炊というわけにもいかなかった。
一度、ダメ元で聞いてみたが、とても嫌な顔をされてしまって、これ以上言うと宿を追い出されるかもしれないと思えるほど嫌な顔をされてしまったのだ。
そんな訳で、僕は何とか耐えているが、一生は食べ物が口に合わないって、食が細くなって、元気もなくなっていっていたのだ。
そこで、一生と相談して宿を出て家を借りることを考えたのだ。
だけど、冒険者ランクが低い僕たちでは大した稼ぎがあるわけでもなく、途方に暮れる日々だった。
あまりに一生が調子悪そうだったから、ある時どうにかして元気になってもらえないかと、何か僕で出来ることが無いかかと聞いたことがあった。
それが僕にとっての不幸の始まりだったとも言えた。
「一生……。こんなことで本当にお前は元気になるのか?」
「すー……。うん。すごく元気になる。別のところも元気になりそうで紙一重だけど、凄く元気になるよ」
「僕はときたま、一生の言っている言葉が理解できないことがあるよ……」
「ん?」
「何でもない。明日も早いしもう寝ろ」
「う」
一生が短くそう答えると、僕をさらに強く抱きしめたのだ。
そう、あの日僕が言った「何かできること」に対しての答えが「陽騎と一緒に寝たい」だったのだ。
何が悲しくて野郎の抱き枕にならないといけないのか……。
そして悔しいことに、ガタイのいい一生に、ひょろひょろの僕はすっぽりと抱きしめられてしまっていた。
はぁ、もう少し僕に身長があれば……。はぁ、もっと筋肉が付くような体だったら……。
そんなことを考えても、身長も体格も変えようが無かった。
ただし、身長はこれから伸びるかもしれないと密かな期待も込めたが、ばーちゃん譲りの容姿の僕は、小柄なばーちゃんのことを思い出して、これ以上伸びるのは難しいのだろうなと少しだけ諦めていたのだった。
翌日、目を覚ますといつものように、先に起きていた一生に見つめられていた。
何が楽しいのか、僕よりも先に起きた一生は、楽しそうに僕の寝顔をいつも見つめていたのだ。
これには、さすがの僕も毎日同じように突っ込まずにはいられなかった。
「はぁ。はよ……。てか、いつものことながら、何が楽しいんだか……」
「くすくす。おはよう。俺はとっても幸せだよ?」
「はぁ……。はいはい。それで今日の依頼はどうする? そろそろ採取系以外も行ってみる?」
いつもながら返答に困る返しに、自分で振っておきながら早々に話題を変えた。
一生は、一瞬悩んだ後に頷いてから起き上がった。
「そうだね。そろそろ、討伐系でもいいかもね。討伐系は素材とか売れるし」
「了解。じゃ、キリルさんによさそうな討伐依頼見繕ってもらおう」
こうして今日の予定が決まった僕と一生は、身支度を整えて、宿の不味い飯を食ってから冒険者ギルドに向かったのだった。
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