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第二部
第65話 東の国
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私はすっかり失念していた。東の国は島国。つまり通常は船でしか行き来は出来ない。そうなると、入国手続きは必然的に港で行う。
つまり、このまま東の国に飛行船で行ってどこかに着陸すると、密入国になる可能性がある。と言うか、港を素通りしているから、間違いなく密入国になるわね。
つまり、船で港に入る必要があることを忘れていたのだ。
そのことを二人に話すと、「なるほど、確かに港で入国手続きをしているなら、船から降りた人間に対して行うのが普通だな」「そうですね、このままでは東の国に足を着けることは難しいですね」と。
何か、いい案はないかと考えを巡らせた時に閃いた。そうだ、もともとは船の形をしていたのよね。それなら、ボツにした和船で入国すればいいのよ!
そう考えた私は、早速、飛行船の高度を落としてから、亜空間からボツにした船を海上に取り出した。更に、着水させる前に飛行船と船を縄で繋いで、牽引できるようにしておく。
そう、速度が出ない船を飛行船で引っ張り、ある程度港が近くなってから船に乗り換えておけば問題なく船で東の国に入ることが出来るのよ!!
港が見えてきたので、二人には船の屋形に移動してもらうように説明した。
「小春、何で屋形船なんだ?」
「えっと、最初に飛行船を作る時に空飛ぶ船をイメージしたんだけど、私屋形船しか思い浮かばなくて……」
「そうか……」
「だって、だって」
「いや、和船もいいと思うぞ」
何故か駆君に謎のフォローをされてしまったけど、これで問題なく東の国に上陸できるわ。
港に着いた時には、日が沈む寸前のところだった。
港には、思いの外沢山の船が停泊していた。船から降りて、これからどうしたらいいのかと周りを見ると、東の国の人だと思われる人物が私達に声を掛けてきた。
「こんばんは。ようこそ東の国へ。私は、入国管理局の者です。こちらで簡単な手続きをしますので、着いて来て下さい」
そう言って、私達をある建物に案内してくれた。
案内してくれる管理局の人を見ると、まるで時代劇の中の人のようだと感じた。
そう、和装に近い服装をしていたからなのだ。流石に髷はしていないけど、着物をアレンジしたような、着物と洋服が合わさったそんな感じで、黒髪に黒眼。
到着した建物の一室に案内されて、そこで、手続きが開始された。
「初めまして、私は入国管理局のサナダと申します。それでは、簡単にいくつか質問をさせていただきます」
「初めまして、こちらこそよろしくお願いします。私は、小春と言います。こっちの黒髪の彼が駆君で、銀髪の彼がタイガ君です」
「ども」
「よろしくお願いします」
「これはこれは、こちらこそ。それでですね、どちらの国からどのような目的で東の国へ?」
「ステイル聖王国から来ました。東の国は、温泉があると聞いて観光に来ました」
「なるほど。滞在期間はどの程度をお考えですか?」
「二週間を予定しています」
「はいわかりました。ご協力ありがとうございます。それでは、我が国を楽しんでいってください。なお、滞在中はこちらの札を常に携帯するようにお願いします」
そう言って、私達に木の札を出しだした。受け取った木の札をみて私は思わず、その札に書かれている文字を読み上げてしまった。
「西、三、二週、可?」
「ほほう。やはり、異世界からのお客様でしたか」
サナダさんがそう言った瞬間に、駆君とタイガ君が私を背中に庇うようにして、言い放った。
「罠か?何が目的だ!」
「いえいえ、滅相もないです。我々は、あなた方に危害を加える気はありません。なので、その物騒な物をしまっていただけると助かります」
サナダさんはそう言って、駆君の右手を見て言った。物騒な物?駆君は何も持っていないけど?そんなことを考えていると、駆君が、忌々しそうに言った。
「ちっ、これが見えるのかよ。面倒だな」
「いえいえ、何も見えていませんが、何か恐ろしい感じがしたので」
「このタヌキが」
「なんのなんの、大きな化け猫の飼い主よりま可愛いものですよ」
「狸?猫?」
「小春さんは、知らなくてもいいんですよ。こんな物騒で面倒なこと」
「腹黒には言われたくない」
「これはこれは、楽しいお客様達だ」
よくわからないけど、サナダさんに褒められたのかな?それに、滞在も問題なく許可もらえたみたいで良かったわ。
サナダさんに、三人分の入国料と船の停泊料も一緒に支払ったところで、宿泊先について聞かれた。
「それで、こちらに着いたばかりで滞在先をこれから探すとなると、大変だと思いますので、よろしければこちらでよい宿をいくつか紹介しますがいかがですか?」
確かに、これから泊るところを探すとなると大変ね。ここはお言葉に甘えましょう。そう思って、返事をしようとしたら、駆君がその前に返事をしてしまった。
「何か企んでそうなタヌキ野郎に乗せられてたまるか自分達で探す。結構だ」
「かっ、駆君?もう、日は沈んじゃってこれから探すのは大変だよ。ここはお言葉に甘えようよ」
「本当は、僕も駆の意見に賛成なところですが、あまり遅いと泊るところが確保できなくて、結局変なところに泊るくらいなら、管理局お勧めの宿に泊る方が安全だと思います。それに、万が一何かあった時は……。そうですね、東の国の名物のハラキリで手を打ちますから」
あれ?タイガ君が凄く素敵な笑顔でちょっと怖い冗談を言っているよ?ハラキリ?聞き間違えかな?そうだよね?
つまり、このまま東の国に飛行船で行ってどこかに着陸すると、密入国になる可能性がある。と言うか、港を素通りしているから、間違いなく密入国になるわね。
つまり、船で港に入る必要があることを忘れていたのだ。
そのことを二人に話すと、「なるほど、確かに港で入国手続きをしているなら、船から降りた人間に対して行うのが普通だな」「そうですね、このままでは東の国に足を着けることは難しいですね」と。
何か、いい案はないかと考えを巡らせた時に閃いた。そうだ、もともとは船の形をしていたのよね。それなら、ボツにした和船で入国すればいいのよ!
そう考えた私は、早速、飛行船の高度を落としてから、亜空間からボツにした船を海上に取り出した。更に、着水させる前に飛行船と船を縄で繋いで、牽引できるようにしておく。
そう、速度が出ない船を飛行船で引っ張り、ある程度港が近くなってから船に乗り換えておけば問題なく船で東の国に入ることが出来るのよ!!
港が見えてきたので、二人には船の屋形に移動してもらうように説明した。
「小春、何で屋形船なんだ?」
「えっと、最初に飛行船を作る時に空飛ぶ船をイメージしたんだけど、私屋形船しか思い浮かばなくて……」
「そうか……」
「だって、だって」
「いや、和船もいいと思うぞ」
何故か駆君に謎のフォローをされてしまったけど、これで問題なく東の国に上陸できるわ。
港に着いた時には、日が沈む寸前のところだった。
港には、思いの外沢山の船が停泊していた。船から降りて、これからどうしたらいいのかと周りを見ると、東の国の人だと思われる人物が私達に声を掛けてきた。
「こんばんは。ようこそ東の国へ。私は、入国管理局の者です。こちらで簡単な手続きをしますので、着いて来て下さい」
そう言って、私達をある建物に案内してくれた。
案内してくれる管理局の人を見ると、まるで時代劇の中の人のようだと感じた。
そう、和装に近い服装をしていたからなのだ。流石に髷はしていないけど、着物をアレンジしたような、着物と洋服が合わさったそんな感じで、黒髪に黒眼。
到着した建物の一室に案内されて、そこで、手続きが開始された。
「初めまして、私は入国管理局のサナダと申します。それでは、簡単にいくつか質問をさせていただきます」
「初めまして、こちらこそよろしくお願いします。私は、小春と言います。こっちの黒髪の彼が駆君で、銀髪の彼がタイガ君です」
「ども」
「よろしくお願いします」
「これはこれは、こちらこそ。それでですね、どちらの国からどのような目的で東の国へ?」
「ステイル聖王国から来ました。東の国は、温泉があると聞いて観光に来ました」
「なるほど。滞在期間はどの程度をお考えですか?」
「二週間を予定しています」
「はいわかりました。ご協力ありがとうございます。それでは、我が国を楽しんでいってください。なお、滞在中はこちらの札を常に携帯するようにお願いします」
そう言って、私達に木の札を出しだした。受け取った木の札をみて私は思わず、その札に書かれている文字を読み上げてしまった。
「西、三、二週、可?」
「ほほう。やはり、異世界からのお客様でしたか」
サナダさんがそう言った瞬間に、駆君とタイガ君が私を背中に庇うようにして、言い放った。
「罠か?何が目的だ!」
「いえいえ、滅相もないです。我々は、あなた方に危害を加える気はありません。なので、その物騒な物をしまっていただけると助かります」
サナダさんはそう言って、駆君の右手を見て言った。物騒な物?駆君は何も持っていないけど?そんなことを考えていると、駆君が、忌々しそうに言った。
「ちっ、これが見えるのかよ。面倒だな」
「いえいえ、何も見えていませんが、何か恐ろしい感じがしたので」
「このタヌキが」
「なんのなんの、大きな化け猫の飼い主よりま可愛いものですよ」
「狸?猫?」
「小春さんは、知らなくてもいいんですよ。こんな物騒で面倒なこと」
「腹黒には言われたくない」
「これはこれは、楽しいお客様達だ」
よくわからないけど、サナダさんに褒められたのかな?それに、滞在も問題なく許可もらえたみたいで良かったわ。
サナダさんに、三人分の入国料と船の停泊料も一緒に支払ったところで、宿泊先について聞かれた。
「それで、こちらに着いたばかりで滞在先をこれから探すとなると、大変だと思いますので、よろしければこちらでよい宿をいくつか紹介しますがいかがですか?」
確かに、これから泊るところを探すとなると大変ね。ここはお言葉に甘えましょう。そう思って、返事をしようとしたら、駆君がその前に返事をしてしまった。
「何か企んでそうなタヌキ野郎に乗せられてたまるか自分達で探す。結構だ」
「かっ、駆君?もう、日は沈んじゃってこれから探すのは大変だよ。ここはお言葉に甘えようよ」
「本当は、僕も駆の意見に賛成なところですが、あまり遅いと泊るところが確保できなくて、結局変なところに泊るくらいなら、管理局お勧めの宿に泊る方が安全だと思います。それに、万が一何かあった時は……。そうですね、東の国の名物のハラキリで手を打ちますから」
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