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第十六話 ※ラインハルザ視点
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リビングルームのソファーに肌が透けるほど薄いネグリジェを身にまとった美少女が眠っていたのだから。
一瞬、ヴィクターが女の子を連れ込んだのかとも思ったが、俺はそれを否定していた。
薄明りの中、長いまつげを伏せて眠る美しい少女に、既視感を覚えた俺はできるだけ彼女の裸体を見ないようにして、その花のような顔に見入った。
どこかで見たようなと思いながら、記憶の底を探る。
そして、騎士学校に入学する前、何度かヴィクターの屋敷に赴いた時のことを思い出していた。
深窓の令嬢。
ヴィクターが隠したがっていた、義理の妹のことを。
彼女を見かけたのは偶然だった。
いつも、窓辺から隠れるように俺に向ける視線に気が付き、そちらを見上げた時、美しい淡いブルーの髪をした少女を見た気がした。
なんとなくその子が気になって、ヴィクターに聞いてもいつもはぐらかされてしまった。俺が初めて気になった女の子。
その子と、目の前で眠る美少女が重なって見えたのだ。
美少女は、小さく寝返りを打って、本当に小さな声で言ったのだ。
「ラインハルザ様……」
たったそれだけのことなのに、俺の心臓は壊れてしまったのかと思うくらい高鳴っていた。
上向きに態勢を変えたことで、色々なところが見えてしまっていた彼女に何か掛けてやりたいと思ったが、そんなことをすれば、俺がここにいたと彼女に知られてしまう。
だから俺は、転がるようにして部屋を飛び出していた。
廊下で膝を抱えて、彼女のことを考える。
友人の別人のような態度、俺に寄せてくれる信頼、時折感じる熱い視線、鎧の中身……。
バラバラのパズルのピースを集めていくとふとカチッとそれらがはまった気がした。
そう、ヴィーは、俺の知っているヴィクターではなく、深窓の令嬢。ヴィクターの義理の妹なのではないかと。
そう思いついた俺は、今まで感じていた想いに自然と向き合っていた。
「そうか、俺はヴィーのことを好いているのか……。俺は、ヴィーを好きでいていいのか……」
自然とそう口にしていた俺は、なんだか付き物が落ちたような清々しい気持ちだった。
一睡もできなかったが、気持ちはとても軽かったのだ。
だけど、この想いを彼女に伝えることはまだできない。
彼女がヴィクターとして過ごしているのには、何か理由があるのだと考えた俺は、彼女が本当の自分に戻るまで、この想いを大切にしまっておくことに決めたのだ。
だけど、一度この好きと言う気持ちを自覚してしまった俺は、俺を甘やかそうとする彼女を俺こそが甘やかしたいと思うようになっていた。
一瞬、ヴィクターが女の子を連れ込んだのかとも思ったが、俺はそれを否定していた。
薄明りの中、長いまつげを伏せて眠る美しい少女に、既視感を覚えた俺はできるだけ彼女の裸体を見ないようにして、その花のような顔に見入った。
どこかで見たようなと思いながら、記憶の底を探る。
そして、騎士学校に入学する前、何度かヴィクターの屋敷に赴いた時のことを思い出していた。
深窓の令嬢。
ヴィクターが隠したがっていた、義理の妹のことを。
彼女を見かけたのは偶然だった。
いつも、窓辺から隠れるように俺に向ける視線に気が付き、そちらを見上げた時、美しい淡いブルーの髪をした少女を見た気がした。
なんとなくその子が気になって、ヴィクターに聞いてもいつもはぐらかされてしまった。俺が初めて気になった女の子。
その子と、目の前で眠る美少女が重なって見えたのだ。
美少女は、小さく寝返りを打って、本当に小さな声で言ったのだ。
「ラインハルザ様……」
たったそれだけのことなのに、俺の心臓は壊れてしまったのかと思うくらい高鳴っていた。
上向きに態勢を変えたことで、色々なところが見えてしまっていた彼女に何か掛けてやりたいと思ったが、そんなことをすれば、俺がここにいたと彼女に知られてしまう。
だから俺は、転がるようにして部屋を飛び出していた。
廊下で膝を抱えて、彼女のことを考える。
友人の別人のような態度、俺に寄せてくれる信頼、時折感じる熱い視線、鎧の中身……。
バラバラのパズルのピースを集めていくとふとカチッとそれらがはまった気がした。
そう、ヴィーは、俺の知っているヴィクターではなく、深窓の令嬢。ヴィクターの義理の妹なのではないかと。
そう思いついた俺は、今まで感じていた想いに自然と向き合っていた。
「そうか、俺はヴィーのことを好いているのか……。俺は、ヴィーを好きでいていいのか……」
自然とそう口にしていた俺は、なんだか付き物が落ちたような清々しい気持ちだった。
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だけど、この想いを彼女に伝えることはまだできない。
彼女がヴィクターとして過ごしているのには、何か理由があるのだと考えた俺は、彼女が本当の自分に戻るまで、この想いを大切にしまっておくことに決めたのだ。
だけど、一度この好きと言う気持ちを自覚してしまった俺は、俺を甘やかそうとする彼女を俺こそが甘やかしたいと思うようになっていた。
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