男装令嬢の恋の行方

バナナマヨネーズ

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第十八話

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 ゲルダに秘密を知られてしまったことについて、ベルナー様に相談するか迷った結果、大会に優勝すれば問題ないと判断したわたしは、このことを黙っていることに決めた。
 だって、これ以上ご迷惑をおかけするわけにはいかなかったから。
 そして、あっという間に大会当日になっていた。
 幸い、対戦は魔力を使用することが許されていることもあって、わたしは自分で言うのもあれだけど、圧倒的な強さで勝ち進んでいた。
 
 そして順調に決勝戦まで進んだわたしは、今まさに優勝をその手に掴まんとしていた。
 相手の騎士は、第一騎士団の人で初めて会う人だった。
 強さもそこそこのものだったけど、身体強化などしていないことから魔力なしなのだと分かった。
 剣技だけでここまで勝ち進めていることを思えばとても優秀な騎士なのだと分かった。
 実戦であれば、他の魔力持ちの騎士からのバフなども加わって、十分な力を発揮していたことだろう。
 だけどこれは個人戦だ。

 わたしには魔力があるから負けることはないと思っていたけど、なかなか勝負がつかない状況にわたしは少しだけ焦りが出てきていた。
 いくら魔力で強化していても、戦いが長引けば長引くほど、わたしには不利になっていく。
 強化していようと、元は脆弱な体のわたしに、長期戦は大きな負担となっていった。
 無理やり動かしている体は悲鳴を上げていて、それでもそんな体を強化して動かすということを繰り返す。
 そんな状態が続き、勝負がつかないまま打ち合っている時だった。
 鍔迫り合いで相手の騎士と睨み合っている時だった。ふと、相手の騎士がニヤリと歪んだ笑みを浮かべたのだ。
 わたしは、眉を寄せて疑問に思いつつも、力を込めて相手の剣を跳ねのけようとしたのだ。
 その時だった。ふいに不自然なまでに甘い匂いが周囲に漂ったのだ。
 周囲に漂う強い匂を嗅いだ瞬間、一瞬眩暈がしたと思った時だった。
 わたしは、急に魔力が操れなくなり、全身が鉛の様に重くなっていたのだ。
 魔力が操れないわたしは、立つことも出来ず膝を付きそうになっていたけど、相手に膝を付くことは許さないとばかりに襟首を掴まれて宙刷りにされていた。
 そして、相手の騎士に軽々と空中に放り出されたと思った次の瞬間、刃を潰した剣で全身をこれでもかと打たれていた。
 相手に素早い動きで打たれながらも倒れることは許されなかったわたしは、体中に痛みが走り次第に意識がもうろうとなっていた。
 そして、相手の騎士は止めとばかりにわたしのお腹を思いっきり蹴りつけたのだ。お腹を思いっきり蹴りつけられたわたしは、とうとう地面に倒れ伏していた。
 だけど、相手は何かわたしに恨みでもあるのか、身動きが出来ないでいるわたしに馬乗りになって審判が止めるまでわたしの顔を殴り続けてのだった。
 
 視界が赤く染まって、何も考えられなくなっているわたしはただ、体に与えられる痛みを受け入れることしか出来なかった。
 
 意識を失う前に、わたしに駆け寄るマティウス様とベルナー様を見た気がしたけど、それを確かめることも出来ずにわたしの意識は深い場所に沈んでいったのだった。
 
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