旦那様、もう一度好きになってもいいですか?

バナナマヨネーズ

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第二話 アインソフ辺境伯領②

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 記憶の整理を終えたエクレールは、ローレスのことを思い出していた。
 耳の話を持ち出した時の表情から、ローレスはもしかするとエクレールの秘密を知っている可能性があったのだ。
 
「ローレス先生は、どこまで知っているんだろうか……」

「何をだ?」

「それは…………、えっ?」

 独り言のつもりだった言葉に返事が返ってきたことにエクレールは驚く。
 寝そべっていた状態から、慌てて体を起こす。
 
「辺境伯様?!」

「ああ、寝ていてくれ……。それよりも」

 そう言って近づいてきたラクレイスは、困ったように眉を下げてしまう。
 すぐに何が駄目だったのかを理解したエクレールだったが、独り言を聞かれた気まずさで、知らないふりをしてしまう。
 
「それよりもです。仮にも女性の部屋にノックもせずに入るのはどうかと思います……」

 気まずそうにそう言うエクレールだったが、ラクレイスの次の言葉に顔を赤くさせてしまうのだ。
 
「すまない。何度もノックをしたんだが返事が無くてな……。心配で返事を待たずに入ってしまった」

「あ~……。ごめんなさい……。ちょっと考え事をしていて……」

 確かに、考え事に夢中になっていた自覚があったエクレールは素直に謝罪の言葉を口にする。
 しかし、ラクレイスはムッとした顔になってしまったのだ。
 
「それで……、俺ではなく、なぜローレスなんだ?」

「あっ……」

 どこからどう見ても、焼きもちを焼いていることが手に取るようにわかってしまい、エクレールの胸がドキリと音を立てる。
 
(どうして……。ううん。記憶はなくてもわたしのここ・・が覚えてるんだ……)

 エクレールは、寝間着の胸元をぎゅっと握った。
 拳には、自分の心臓が脈打つ感覚が伝わる。
 深く息を吐いた後、エクレールはラクレイスを見上げた。
 
「えっと……」

 黒曜石のような瞳と視線が合い、秘密を守ることに天秤が大きく傾く。
 恥を捨てて、全力で話を逸らすことに決めたエクレールは、全身を真っ赤にさせてごまかしの言葉を口にする。
 
「えっと……。診察……。そう、診察の時に、昨日わたしがそういうあれをいたしたというか……。アハハ……」

 全身から汗が噴き出るのが分かった。
 
(わたし~~~~!! 話を逸らすにも、もっと他にあったでしょうがぁ!!)

 目を泳がせながら、最後はしどろもどろになってしまったエクレールだったが、意外にもラクレイスが助け舟を出してくれたのだ。
 
「ああ……。すまない……。屋敷の全員が知っている……」

「……………………」

 ラクレイスの言葉に、エクレールは絶句する。
 
(その情報知りたくなかったーーーー!! どうして? なんで全員知っているのよ?! いやいや、ここで藪をつついてヘビ以上の大物が出たら怖すぎる…………。うん。スルーしよう。そうしよう……)

「いやっ、違うから!! 俺とエクレールは結婚したんだ! 当然初夜がある! そういうことだ!」

(なにがそういうことなのよ!!)

 石像のように固まっているエクレールだったが、これ以上ラクレイスに墓穴を掘らせるわけにはいかないと、早口で話題を変えていた。
 
「それよりもです! 教えてください。この四年の間の出来事を! 戦争が終わったって……、領地はどうなったんですか?!」

 エクレールが話題を変えると、ラクレイスは気まずそうな表情をしながら口を開いていた。
 
「ああ……。簡潔に言うとだな。ノウビ王国に勝利して、戦後処理も終わっている……」

「本当ですか!」

「ああ……」

 ラクレイスの表情から、察したエクレールは顎に手を当てて、何を困っているのかについて考える。
 
「戦争に勝った……。まずは、傭兵に褒章が必要……。国から領地にそれなりの……。ああ、領地分配……。そうなると、先立つ物がない……」

 エクレールの呟きを聞いたラクレイスは、乾いた笑いを浮かべてしまう。
 まさに、その通りの内容だった。
 
「さすがだな。お見通しという訳か……。国から褒美として元ノウビ王国の一部が与えられたんだが……。エクレールの言う通り、金がない……。いや、無いわけではないんだ……」

 そう言った後、ラクレイスは四年間にあった出来事をエクレールに語った。
 
 
 
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