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前編
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「いいですか? フローレンス。男性より優れたところを見せてはなりませんよ。女性は一歩、いいえ三歩後ろを下がって男性の背中を見て歩きなさい」
と、おっしゃるお母様。
「はぁ、男性の背中をですか・・・・・・」
私はお父様の背中を思い浮かべて、クスリと笑った。お父様の背中と同時に、一房の髪もないツルツル頭部が目に浮かんだからだ。
「フローレンス! ここは笑う場面ではありませんよ。あなたは本当に淑女らしくない・・・・・・」
「はい、はい。お母様、そのお話はわかりましたから。男性より下であれば良いのですね?」
私はマリアーノ公爵家の長女だ。お転婆な私は弟より剣術が得意で、お勉強だって貴族学園では常にトップスリーに入る秀才だ。でも、お母様はそれが気にくわないらしい。
「控えめが一番ですよ。なにもかも、ほどほどがいいのです。あなたは公爵家の娘で、その銀髪だけでも目立つのですから。試験の時も手抜きなさい。人より抜きん出ると碌な事にはなりません」
お母様はいつも不可解なことを言うのよ。お父様もそれは一緒で、私が成績優秀者に選ばれても、にこりともしなかった。弟を負けさせて剣術の先生に賞賛されても、冷めた眼差しで見つめるだけ。しまいにはため息をつかれる始末だった。
「いいかい? フローレンス。お前は控えめでいたほうがいい。そんなに頑張らなくていいんだよ」
お父様も弟は全力で応援するくせに、この温度差はなんなのよ? 私は意地になって頑張ったわ。
☆彡・.。*☆彡
そしてある日、王室からの使いがマリアーノ公爵家にやって来た。
「美しく賢きフローレンス・マリアーノ公爵令嬢を王太子妃として迎え入れたい、との国王陛下のお言葉です。こちらに書状が・・・・・・」
「え! 王太子妃! それは・・・・・・なんというか・・・・・・フローレンスには務まりません。この子は、実はとても無作法者でして」
お父様は私を否定する言葉を並べだす。
「そうですとも! フローレンスはお勉強はできますが、マナーや刺繍など手先の不器用さは絶望的ですわ。全くできませんのよ」
お母様はさらに私の、ありもしない欠点をあげていった。
「ちょっと待ってよ! お母様もお父様もおかしいわよ! マナーは完璧だし、刺繍だってプロ並みなの知っているでしょう? そんなに実の娘が嫌いなの? 酷いわ。酷すぎる・・・・・・わぁーーん!! お母様、お父様のばかぁーー!!」
私はついに耐えきれなくなり、使者の前で大泣きしてしまう。
「だって、フローレンス。王太子妃になりたいの? そんなものになったら窮屈な生活になるのよ?」
「そうだとも、フローレンス。王太子妃になんかになったら自由な行動は制限され、たくさんの仕事を押しつけられるんだぞ?」
公爵家当主夫妻とも思えぬ発言に、使者が「ゴホン、ケホン」と咳払いをした。
「すみませんが、そのへんでやめてもらえませんかね。不敬罪で公爵夫妻を牢屋に入れたくないです」
「あぁ、ごめんなさいね。不適切な発言でしたわ」
「すまん、すまん。大事な娘の一生の話なのでな。つい取り乱してしまった」
どうやら私を憎くて悪く言ったわけではないらしい。それでも悪く言われた私の気持ちは収まらない。
「そのお話、謹んでお受けいたします!」
勝手にお返事をしてしまい、お母様は泣き出しお父様は頭を抱えた。
(なんでよ? ここは普通なら親として喜ぶべきところじゃないの? まぁ、相手が残念フィンレー王太子殿下だからなのかもしれないけれどね)
☆彡・.。*☆彡
「王太子妃になったら、今までのように行動してはだめですよ。フィンレー王太子殿下より目立ってはなりません!」
結婚式の当日、何度もお母様は私にそう言い含める。
「・・・・・・はい、かしこまりました! ですがお母様のおっしゃることは古くさいですわ。今は女性も活躍する時代で・・・・・・」
「そんなことはわかっています! それでも、フローレンスは目立ってはいけません」
お母様の剣幕に私は圧倒されて反論もできない。
けれど、いざ王太子妃になってみると、フィンレー王太子殿下のぼんくら加減にイライラしてしまう自分がいた。彼は貴族学園では同級生で、勉強も剣術もなにもかもが下の中だった。つまり全く優秀ではないってことよ。
容姿だけは綺麗で絵の中から現れてきたように麗しい。でも中身は残念王太子、それがフィンレー様よ。
私と初めて踊る舞踏会では足を4度も踏みつけ、お酒を飲み過ぎて途中で退席。フォーマルな夜会では必ず平民のような服装で現れ、料理やお酒をこぼし、ずれた会話で周囲の失笑をかう。
それでも国王陛下はなにもおっしゃらない。王妃殿下に至っては、にこにことその様子を微笑んで見ていらっしゃる。
(フィンレー王太子殿下を教育し直すことが私の天命なのではないかしら?)
私は次第にそう思うようになっていった。
☆彡・.。*☆彡
隣国からの使者が、フィンレー王太子殿下に謁見を二日後に申し出た日。私は侮られぬように、事前に隣国の情勢を調べ上げ、適切な話題なども考える。なのに殿下はあくびをしながら眠そうに頬杖をついており、なにも準備をしようとしない。
「殿下! このプリント10枚をきっちり暗記なさってくださいね! 隣国の言葉まで話せとは言いませんが、最低限あちらの国の内情を知っておく必要があるでしょう?」
「あぁ、わかった」
返事だけはいいけれど、一向にプリントを見もしない。私は仕方なく自分だけでもしっかりと受け答えをしようと隣国の言葉なども口ずさんだ。
私は語学が堪能だし、空気を読むのも得意だから心配なし。けれど肝心のフィンレー王太子殿下は・・・・・・不安要素しかない。
謁見の当日。やはり、フィンレー王太子殿下はカボチャ模様のおかしな服を着込み、使者に会おうとしていた。
「フィンレー王太子殿下! その服装ではいけません! その場に相応しい衣装と態度、会話がとても大事です。我が国が侮られてはこの先いいことは一つもありませんよ」
「これで良いのだ。君もそのうちわかる。こら、こら! やめろってば! 俺の服を勝手に脱がすな」
「嫌ですわ! 絶対に今日という今日は、私の言うことを聞いていただきますから!」
私はフィンレー王太子殿下の、脱いだらすごい筋肉美に驚きながらも、着替えさせることに成功。
なんで夫の肉体美に驚くかって? 私達の初夜は見事失敗。殿下は寝室に入るとすぐに寝入り、お互いの裸など見たことすらないのだ。
「やれやれ。今回だけだよ、フローレンスの言うことを聞くのは・・・・・・」
正装したフィンレー王太子殿下は、惚れ惚れするような麗しさで神々しい光を放つ。
(ま、まぶしいですわ・・・・・・これが超絶イケメン様の威力ですのね! なんのこれしき! 私も負けませんことよ!)
私もいつもより丁寧に白粉をはたき、アイラインを上に跳ね上げ猫目を強調した。こうすると、ますます賢く見えて相手を威圧する効果があるのよ。
謁見の間で、私とフィンレー王太子殿下は使者と有意義な会話をした。使者の眼差しは鋭く、明らかに私達夫妻を値踏みしている。私は完璧に自分の勤めを果たし、フィンレー王太子殿下もかなりうまく愚かさを誤魔化せたと思う。
というか、むしろかなり賢く見えたのではないかしら? 私が暗記するように言った隣国の産業も一つ残らず覚えたようで、会話においても隣国の言葉をスラスラと話していた。
もちろん私はフィンレー王太子殿下の3倍も、賢さをアピールすることができたけれどね。隣国の問題点やこれからの国同士の関わり方なども細かく提案したのは、我ながら素晴らしい出来だったはずだ。
「私は当然ですが、フィンレー王太子殿下もやればできる子だったのですね。隣国の言葉が話せるなんて今まで知りませんでした。しかも、プリントにない話題にまで話を広げられるなど、予想外でしたわ」
「ぷっ。・・・・・・やればできる子か・・・・・・そうだな。だが、今回だけだよ・・・・・・」
フィンレー王太子殿下が珍しく笑いながら話す言葉の途中、開け放った窓から私をめがけて飛んできた矢は、私を庇ったフィンレー王太子の背中にグサリと刺さったのだった。
と、おっしゃるお母様。
「はぁ、男性の背中をですか・・・・・・」
私はお父様の背中を思い浮かべて、クスリと笑った。お父様の背中と同時に、一房の髪もないツルツル頭部が目に浮かんだからだ。
「フローレンス! ここは笑う場面ではありませんよ。あなたは本当に淑女らしくない・・・・・・」
「はい、はい。お母様、そのお話はわかりましたから。男性より下であれば良いのですね?」
私はマリアーノ公爵家の長女だ。お転婆な私は弟より剣術が得意で、お勉強だって貴族学園では常にトップスリーに入る秀才だ。でも、お母様はそれが気にくわないらしい。
「控えめが一番ですよ。なにもかも、ほどほどがいいのです。あなたは公爵家の娘で、その銀髪だけでも目立つのですから。試験の時も手抜きなさい。人より抜きん出ると碌な事にはなりません」
お母様はいつも不可解なことを言うのよ。お父様もそれは一緒で、私が成績優秀者に選ばれても、にこりともしなかった。弟を負けさせて剣術の先生に賞賛されても、冷めた眼差しで見つめるだけ。しまいにはため息をつかれる始末だった。
「いいかい? フローレンス。お前は控えめでいたほうがいい。そんなに頑張らなくていいんだよ」
お父様も弟は全力で応援するくせに、この温度差はなんなのよ? 私は意地になって頑張ったわ。
☆彡・.。*☆彡
そしてある日、王室からの使いがマリアーノ公爵家にやって来た。
「美しく賢きフローレンス・マリアーノ公爵令嬢を王太子妃として迎え入れたい、との国王陛下のお言葉です。こちらに書状が・・・・・・」
「え! 王太子妃! それは・・・・・・なんというか・・・・・・フローレンスには務まりません。この子は、実はとても無作法者でして」
お父様は私を否定する言葉を並べだす。
「そうですとも! フローレンスはお勉強はできますが、マナーや刺繍など手先の不器用さは絶望的ですわ。全くできませんのよ」
お母様はさらに私の、ありもしない欠点をあげていった。
「ちょっと待ってよ! お母様もお父様もおかしいわよ! マナーは完璧だし、刺繍だってプロ並みなの知っているでしょう? そんなに実の娘が嫌いなの? 酷いわ。酷すぎる・・・・・・わぁーーん!! お母様、お父様のばかぁーー!!」
私はついに耐えきれなくなり、使者の前で大泣きしてしまう。
「だって、フローレンス。王太子妃になりたいの? そんなものになったら窮屈な生活になるのよ?」
「そうだとも、フローレンス。王太子妃になんかになったら自由な行動は制限され、たくさんの仕事を押しつけられるんだぞ?」
公爵家当主夫妻とも思えぬ発言に、使者が「ゴホン、ケホン」と咳払いをした。
「すみませんが、そのへんでやめてもらえませんかね。不敬罪で公爵夫妻を牢屋に入れたくないです」
「あぁ、ごめんなさいね。不適切な発言でしたわ」
「すまん、すまん。大事な娘の一生の話なのでな。つい取り乱してしまった」
どうやら私を憎くて悪く言ったわけではないらしい。それでも悪く言われた私の気持ちは収まらない。
「そのお話、謹んでお受けいたします!」
勝手にお返事をしてしまい、お母様は泣き出しお父様は頭を抱えた。
(なんでよ? ここは普通なら親として喜ぶべきところじゃないの? まぁ、相手が残念フィンレー王太子殿下だからなのかもしれないけれどね)
☆彡・.。*☆彡
「王太子妃になったら、今までのように行動してはだめですよ。フィンレー王太子殿下より目立ってはなりません!」
結婚式の当日、何度もお母様は私にそう言い含める。
「・・・・・・はい、かしこまりました! ですがお母様のおっしゃることは古くさいですわ。今は女性も活躍する時代で・・・・・・」
「そんなことはわかっています! それでも、フローレンスは目立ってはいけません」
お母様の剣幕に私は圧倒されて反論もできない。
けれど、いざ王太子妃になってみると、フィンレー王太子殿下のぼんくら加減にイライラしてしまう自分がいた。彼は貴族学園では同級生で、勉強も剣術もなにもかもが下の中だった。つまり全く優秀ではないってことよ。
容姿だけは綺麗で絵の中から現れてきたように麗しい。でも中身は残念王太子、それがフィンレー様よ。
私と初めて踊る舞踏会では足を4度も踏みつけ、お酒を飲み過ぎて途中で退席。フォーマルな夜会では必ず平民のような服装で現れ、料理やお酒をこぼし、ずれた会話で周囲の失笑をかう。
それでも国王陛下はなにもおっしゃらない。王妃殿下に至っては、にこにことその様子を微笑んで見ていらっしゃる。
(フィンレー王太子殿下を教育し直すことが私の天命なのではないかしら?)
私は次第にそう思うようになっていった。
☆彡・.。*☆彡
隣国からの使者が、フィンレー王太子殿下に謁見を二日後に申し出た日。私は侮られぬように、事前に隣国の情勢を調べ上げ、適切な話題なども考える。なのに殿下はあくびをしながら眠そうに頬杖をついており、なにも準備をしようとしない。
「殿下! このプリント10枚をきっちり暗記なさってくださいね! 隣国の言葉まで話せとは言いませんが、最低限あちらの国の内情を知っておく必要があるでしょう?」
「あぁ、わかった」
返事だけはいいけれど、一向にプリントを見もしない。私は仕方なく自分だけでもしっかりと受け答えをしようと隣国の言葉なども口ずさんだ。
私は語学が堪能だし、空気を読むのも得意だから心配なし。けれど肝心のフィンレー王太子殿下は・・・・・・不安要素しかない。
謁見の当日。やはり、フィンレー王太子殿下はカボチャ模様のおかしな服を着込み、使者に会おうとしていた。
「フィンレー王太子殿下! その服装ではいけません! その場に相応しい衣装と態度、会話がとても大事です。我が国が侮られてはこの先いいことは一つもありませんよ」
「これで良いのだ。君もそのうちわかる。こら、こら! やめろってば! 俺の服を勝手に脱がすな」
「嫌ですわ! 絶対に今日という今日は、私の言うことを聞いていただきますから!」
私はフィンレー王太子殿下の、脱いだらすごい筋肉美に驚きながらも、着替えさせることに成功。
なんで夫の肉体美に驚くかって? 私達の初夜は見事失敗。殿下は寝室に入るとすぐに寝入り、お互いの裸など見たことすらないのだ。
「やれやれ。今回だけだよ、フローレンスの言うことを聞くのは・・・・・・」
正装したフィンレー王太子殿下は、惚れ惚れするような麗しさで神々しい光を放つ。
(ま、まぶしいですわ・・・・・・これが超絶イケメン様の威力ですのね! なんのこれしき! 私も負けませんことよ!)
私もいつもより丁寧に白粉をはたき、アイラインを上に跳ね上げ猫目を強調した。こうすると、ますます賢く見えて相手を威圧する効果があるのよ。
謁見の間で、私とフィンレー王太子殿下は使者と有意義な会話をした。使者の眼差しは鋭く、明らかに私達夫妻を値踏みしている。私は完璧に自分の勤めを果たし、フィンレー王太子殿下もかなりうまく愚かさを誤魔化せたと思う。
というか、むしろかなり賢く見えたのではないかしら? 私が暗記するように言った隣国の産業も一つ残らず覚えたようで、会話においても隣国の言葉をスラスラと話していた。
もちろん私はフィンレー王太子殿下の3倍も、賢さをアピールすることができたけれどね。隣国の問題点やこれからの国同士の関わり方なども細かく提案したのは、我ながら素晴らしい出来だったはずだ。
「私は当然ですが、フィンレー王太子殿下もやればできる子だったのですね。隣国の言葉が話せるなんて今まで知りませんでした。しかも、プリントにない話題にまで話を広げられるなど、予想外でしたわ」
「ぷっ。・・・・・・やればできる子か・・・・・・そうだな。だが、今回だけだよ・・・・・・」
フィンレー王太子殿下が珍しく笑いながら話す言葉の途中、開け放った窓から私をめがけて飛んできた矢は、私を庇ったフィンレー王太子の背中にグサリと刺さったのだった。
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