(完)なにも死ぬことないでしょう?

青空一夏

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4-2 オバタリアンは食材が無駄になるのは許せない&ピーマン頭のイリスィオス

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「……だったら、私から提案があるわ」

「提案ですか? 奥様、それはどのようなものでしょう? このアルシナ全力でもって奥様をお支えしましょう」
アルシナがキラキラと目を輝かせて頷いた。


「皿の枚数が富と権力の象徴であるならケビン公爵家は使用人全員に豊かな食事を提供しましょう。私はこれ以降、必ず使用人達と食事をします。もちろんアルシナと執事、私の護衛や専属侍女は毎日一緒に食べなさい。その他にも、そうねぇー、10人ほど順番に私の食事に招きましょう」

「そのようなことをする貴族はいません! 当主夫人の残飯は潔く捨てる、そのような無駄も厭わないのが豊かさと富の象徴……」

「これはね、残飯が勿体ないからってだけじゃないのよ。当主夫人たるもの、使用人ひとり一人とふれあうことが大切なの。身近でお話をする機会を与えることによって、いろいろな問題や改善点も模索できるし、なんといってもケビン公爵家の使用人達の結束が図れるじゃないの! 美味しいものを一緒に食べるって一番手っ取り早いコミュニケーションだと思うわ。これは、ケビン公爵家の発展の為です!」

「んまぁーー。なんてご立派な! 確かに仰るとおりです! すぐにそのようにしましょう」

「うふふ。では、早くアルシナさんもここに座って。さぁ、そこにいる護衛さんも席に座って。あぁ、そこの侍女さん達もどうぞ。あちらのメイドさんも執事のジョナサンを呼んで来たらここに座って一緒に食べましょう!」
総勢20人ほどの使用人が当主夫人の食堂の長いテーブルを囲み食事をするなどケビン公爵家にとっては初めての試みであった。

当初は緊張する使用人達だったが真理がニコニコと嬉しそうに「大勢で食べる食事って美味しいわね」と心から微笑んだので、和やかなムードで皆食事を楽しんだ。

このケビン公爵家にお仕えして良かった、そのような思いが使用人達ひとりひとりに芽生えだした瞬間であった。


すると、その場に招かざる客が一人現れ、
「うわっ! 何事だ! 使用人と一緒に食事など何を考えている!」
イリスィオスがふらっと本邸に立ち寄り、仰天した声をあげたのだった。

「あら、なにかご用ですか? 使用人の教育は公爵夫人たる私の責任ですので、こうして共に食事をしマナーを教えたり悩みを聞いたり相談の場としているのですわ。これも私の仕事の一つです。それにこれほどの食材を余らせて捨てるなんて言語道断! そういえばフランスでマリーアントワネットの時代も豪勢な食事は食べきれないほど出されたとか歴史で習ったわねぇ。勿体ないお化けがさぞや活躍したことでしょう」

「はぁ? なにをわけのわからんことを言っている? 最近のジュリエットはおかしいぞ。あの湖に身を投げた時からだ」

「これが本当の私ですわ。それに身を投げたのではなく足が滑っただけです。それよりなにかご用ですか? あなたがそこにぼさっと立っていると皆が食事できませんわよ」

「だ、だったら僕もここで一緒に食べたい。僕の大切なジュリエットと一緒に! だってほら僕はジュリエットだけを愛しているわけだし……崇高な愛の為に愛人がいるだけで……」

「話がピーマンですわ。というより、かぼちゃね。お食事が終わってからまたいらしてくださいませ」

「ぴ、ピーマン、かぼちゃ? 僕はピーマンの話などしていない」

真理はもうイリスィオスの方を見ていない。侍女長のアルビナもイリスィオスの方をチラッと見ただけでそのまま食事を続けていた。アルビナは今現在は侍女長であるが、かつてはイリスィオスの乳母であったこともあり、少年の頃は家庭教師も務めていたイリスィオスが唯一頭の上がらない人物だったのである。

「旦那様は奥様の仰るとおりに、愛人と離れでお食事なさいませ! それが道理というものです。ペクスィモさんは妊娠しているのですからね! 旦那様が孕ませたのですから責任をもって一緒にお食事してあげてください。大切な奥様は私にお任せを」

イリスィオスはトボトボと離れに向かいため息をついた。
「愛人は性のはけ口だよ。大切なジュリエットにできないことをさせているだけなのに……ストレスや不満は愛人にぶつけて癒やしてもらい、だからこそジュリエットの前ではニコニコといい夫でいられる。それに夫婦間の不満だって愛人がいれば緩衝材になって家庭はうまくいくんだ。でも、これってうまくいっているのかな……ところで話がピーマンってなんだ?」

離れに着くと、エラスティスが不満げにイリスィオスにまとわりつき、
「ダイヤモンド鉱山へのご視察にはご同行させてくださいませ! ペクスィモだけが懐妊するなんて許せませんわ! 私だって旦那様の子供を産みたいです! 大きなダイヤも欲しいです」

「あぁ、そうだな。ペクスィモは妊娠してるから移動はさせないほうがいいし、エラだけ連れて行こう。ところで今度その手足を縛って……とか……などしてもいいか?」

「ふふふ、もちろんですわ。その為に私がいるのですから。ジュリエット様やペクスィモにはできないことをしてあげますよ」

「うん、うん。それでこそエラだ」
イリスィオスはエラスティスの胸に手を伸ばし軽く揉むと下卑た笑いを浮かべたのだった。

それを柱の陰から見ていたペクスィモは翌日侍女に、
「お姉様のところに行きたいわ。行っていいかどうか聞いてきて?」
涙をいっぱい浮かべて頼んだのである。


୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧

ご注意

「話がピーマン」とは、話の中身が空洞のピーマンのようで、内容が全然通じない」といった意味で使われた。

「あなた、遅れているよ」とか「ぜんぜんダメね」といった、やや軽蔑の意が込められていることばである。

最初は早大生が使い始めたらしいが、その後、全国の中高生に広まっていった。

「あの先生は話がピーマン」など、流行に疎く、中高生に対して理解がないことを揶揄(やゆ)*した言葉として使っていた。

*揶揄(やゆ)・・・からかうこと。

※[夕刊フジ]より引用


さらにもうひとつ引用します。面白かったのでw



これは1970年代後半に流行したといわれる「頭がピーマン(ピーマンは中身がスカスカなので、脳みそがスカスカ=頭が悪いという意味)」がら派生したものだと思われます。話の内容がスカスカという、まあ悪口です。

■他に野菜・果物系での言い回し活用例


・話がカボチャ
ピーマンと同じように中が空洞になっていて、ピーマンより大きいことから、「話がピーマン」よりもっと分からない話のこと。

・話がドテカボチャ
同じカボチャですが、意味が全く異なるらしい。一人だけみんなと違う話をすることの意味だそうです。ちなみにドテカボチャとは、土手などに自生するカボチャのことで、食用には向かないことから「役立たず」という意味の悪口となっていました。


・話がタマネギ 
一応、ピーマン、カボチャと同系列で、刺激的なんだけど中身がない話。

・話がキャベツ
複雑に入り組み、何重にもなった話のこと。

・話がセロリ 
スジスジしているだけに、筋が通ってる話のこと。

・話がレタス
真っ青になる話。

・話がトマト
トマトの色が赤いことから「真っ赤なウソ」を意味するのだそう。ひねりがないとの指摘あり。

・話がキュウリ 
これも別にキュウリじゃなくてもいいと思う系。話が長いという意味だそうです。

・話がサツマイモ 
サツマイモが悪いわけじゃないんです。食べるとオナラが出るということから、臭い話。

(服部淳@編集ライター、脚本家様の今とぴから一部抜粋引用)


青空は「話がピーマン」は知っていますが、かぼちゃやトマトは使わなかった気がしますね。
他にもこんなのがあったようです。
このような言い回しあの当時、していたかなぁ。遠い昔すぎて忘れましたw

・話がピラフ
ごちゃ混ぜになった話。ピラフはいろいろな具が混ざっていることから。

・話がおじや
これもピラフと同様で、ごちゃ混ぜになった話ということ。

・話がスパゲティ
フォークでグルグル巻きにしたイメージからでしょうか、こんがらがった話のこと。

・話がトコロテン 
掴みどころがない話のこと。

・話がドジョウ 
こちらもトコロテンと同じ意味。

今使うと新鮮かもねヾ(*´∀`*)ノキャッキャ
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