(完結)妹に病にかかった婚約者をおしつけられました。

青空一夏

文字の大きさ
13 / 29

13

しおりを挟む
「まぁーー。綺麗! このように水面が光るのは初めて見ましたわ」
「奇跡ですわ。今、わたくし達は奇跡を見ているのです!」

 湖の水面がキラキラと輝き、七色の光源のひとつひとつに小さな妖精の姿が見える。人の形をした小さな妖精は、さまざな色の可愛い服を着て、にこにこと飛び回り私の肩や手に乗った。

 すると、さきほどの男性が「火傷の傷が消えていく!」と叫ぶ。

 包帯をとり火傷の引き攣れた皮膚を露わにしていた紳士の頭上に、天からも淡い光が降り注がれて、その傷がだんだんと薄くなりついにはすっかり消えていく。それを見た貴族達は感動に涙し、なかには興奮のあまり失神する女性もいた。

「奇跡ですわ。水の妖精の可愛いこと! あれは精霊オンディーヌの配下の者でしょう? ということは、フランソワーズ様は水の精霊オンディーヌの守り子様?」

「偉大なる尊き存在よ! 天からも光が注がれた。ということは、聖女様でもいらっしゃる」

「妖精姫にして聖女様だわ! 今世にお出ましになられるとは・・・・・・なんとありがたい」

 「あたくしが、このように素晴らしい力を持つフランソワーズ様を育てたのです。あたくしにはわかっていました! だから、わざと厳しく育てたのです。あたくしが愛しているのはあなただけよ、フランソワーズ様」
 私の周りの人々が伏して崇めているなか、お母様はわなわなと震えながら私を見つめていたけれど、すぐに勝ち誇った表情を浮かべ私を自慢し始めた。

「そ、そうだとも! 父親のわしにだって実はわかっていたんだ。だから、わざとあのように振る舞っただけで、この子を奮起させる為の手段だったのだ。全てはお芝居だ。わしの娘はフランソワーズ様だけだ」

「そうです。今までのことは、全てわざとです。聖女様は逆境のなかから育まれると聞いたことがあります。神は試練を与えてその人間を強くするからです」
 お兄様は私に向かって手を伸ばし、眩しそうに目を細める。

「聖なる妹よ。僕にはわかっていたよ。フランソワーズ様だけが僕の妹だって・・・・・・」

「わたしの大事なフランソワーズに触れようとするな!」
 私に伸ばされたその手を、マクシミリアン様がはねのけた。

「神は試練を与えてその人間を強くするですって? なにを知ったような口ぶりで・・・・・・愚かな兄だわ。フランソワーズをいつも虐めていただけのくせに。わたくしがこのフランクに試練を与えたいぐらいよ」
 リュシュパン公爵夫人が、柳眉を逆立てる。

「ちょっと、待ってよ。お母様もお父様もお兄様まで、いきなりフランソワーズお姉様に媚びるなんて・・・・・・しかも娘はフランソワーズだけとか、妹はフランソワーズだけとか・・・・・・酷くない? 私はどうなるのよ!」

「うるさい! 黙れ。お前のような我が儘娘と違い、フランソワーズ様はとても素晴らしい娘だったのだ。もちろん、わしにはわかっていたが」

「そうよ、黙りなさい。ベッツィーは、これからフランソワーズ様に仕えて聖女様の専属侍女になるのよ。そうしたら、王族とも会えて玉の輿になれるかも・・・・・・」

「え? 嫌よ。こんな女の侍女なんて・・・・・・王族? 王子様ってこと?・・・・・・私、なるわ! フランソワーズ様、私をあなたの専属侍女にしてくださいませ」

「僕もフランソワーズ様の護衛騎士にしてください。兄であるこの僕が、フランソワーズ様をお守りするのは、天が僕に与えた使命だと思います。命を懸けてお守りいたします」

「ふぅーー。カステジャノス侯爵家には、まともな者はいないのか? この流れで聖女様がそのようなことを認めるわけがなかろう? 聖女様、あなた様はこの者達をどうしたいですか? 厳罰に処するのがよろしいかと思いますが・・・・・・」
 大神官様は私に向かって困ったように微笑み、そう尋ねられたのだった。 
しおりを挟む
感想 152

あなたにおすすめの小説

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

〈完結〉ここは私のお家です。出て行くのはそちらでしょう。

江戸川ばた散歩
恋愛
「私」マニュレット・マゴベイド男爵令嬢は、男爵家の婿である父から追い出される。 そもそも男爵の娘であった母の婿であった父は結婚後ほとんど寄りつかず、愛人のもとに行っており、マニュレットと同じ歳のアリシアという娘を儲けていた。 母の死後、屋根裏部屋に住まわされ、使用人の暮らしを余儀なくされていたマニュレット。 アリシアの社交界デビューのためのドレスの仕上げで起こった事故をきっかけに、責任を押しつけられ、ついに父親から家を追い出される。 だがそれが、この「館」を母親から受け継いだマニュレットの反逆のはじまりだった。

「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。

しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。

「妹の方が可愛い」と不倫夫に捨てられた私。どうぞ借金まみれの実家ごと引き取って。私が肩代わりしていた負債、すべてお二人に引き継いでおきました

唯崎りいち
恋愛
「お前より妹の方が可愛い」 不倫した夫は私を追い出し、略奪した妹と笑った。 どうぞ、その「可愛い妹」と地獄までお幸せに。 私が肩代わりしていた実家と店の多額の借金、すべてお二人に引き継いでおきましたから。 「財布」を失った元夫と、逃げ場を失った妹。 身の丈に合わない贅沢を望んだ寄生虫たちの、惨めな末路を特等席で眺めさせていただきます。

【完結】婚約破棄して泥を投げつけた元婚約者が「無能」と笑う中、光り輝く幼なじみの王子に掠め取られました。

ムラサメ
恋愛
​「お前のような無能、我が家には不要だ。今すぐ消えろ!」 ​婚約者・エドワードのために身を粉にして尽くしてきたフィオナは、卒業パーティーの夜、雨の中に放り出される。 泥にまみれ、絶望に沈む彼女の前に現れたのは、かつての幼なじみであり、今や国中から愛される「黄金の王子」シリルだった。 ​「やっと見つけた。……ねえ、フィオナ。あんなゴミに君を傷つけさせるなんて、僕の落ち度だね」 ​汚れを厭わずフィオナを抱き上げたシリルは、彼女を自分の屋敷へと連れ帰る。 「自分には価値がない」と思い込むフィオナを、シリルは異常なまでの執着と甘い言葉で、とろけるように溺愛し始めて――。 ​一方で、フィオナを捨てたエドワードは気づいていなかった。 自分の手柄だと思っていた仕事も、領地の繁栄も、すべてはフィオナの才能によるものだったということに。 ボロボロになっていく元婚約者。美しく着飾られ、シリルの腕の中で幸せに微笑むフィオナ。 ​「僕の星を捨てた報い、たっぷりと受けてもらうよ?」 ​圧倒的な光を放つ幼なじみによる、最高に華やかな逆転劇がいま始まる!

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

【完結】妹に婚約者まであげちゃったけれど、あげられないものもあるのです

ムキムキゴリラ
恋愛
主人公はアナスタシア。妹のキャシーにほしいとせがまれたら、何でも断らずにあげてきた結果、婚約者まであげちゃった。 「まあ、魔術の研究やりたかったから、別にいいんだけれどね」 それから、早三年。アナスタシアは魔術研究所で持ち前の才能を活かしながら働いていると、なんやかんやである騎士と交流を持つことに……。 誤字脱字等のお知らせをいただけると助かります。 感想もいただけると嬉しいです。 小説家になろうにも掲載しています。

私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?

みおな
ファンタジー
 私の妹は、聖女と呼ばれている。  妖精たちから魔法を授けられた者たちと違い、女神から魔法を授けられた者、それが聖女だ。  聖女は一世代にひとりしか現れない。  だから、私の婚約者である第二王子は声高らかに宣言する。 「ここに、ユースティティアとの婚約を破棄し、聖女フロラリアとの婚約を宣言する!」  あらあら。私はかまいませんけど、私が何者かご存知なのかしら? それに妹フロラリアはシスコンですわよ?  この国、滅びないとよろしいわね?  

処理中です...