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「まぁーー。綺麗! このように水面が光るのは初めて見ましたわ」
「奇跡ですわ。今、わたくし達は奇跡を見ているのです!」
湖の水面がキラキラと輝き、七色の光源のひとつひとつに小さな妖精の姿が見える。人の形をした小さな妖精は、さまざな色の可愛い服を着て、にこにこと飛び回り私の肩や手に乗った。
すると、さきほどの男性が「火傷の傷が消えていく!」と叫ぶ。
包帯をとり火傷の引き攣れた皮膚を露わにしていた紳士の頭上に、天からも淡い光が降り注がれて、その傷がだんだんと薄くなりついにはすっかり消えていく。それを見た貴族達は感動に涙し、なかには興奮のあまり失神する女性もいた。
「奇跡ですわ。水の妖精の可愛いこと! あれは精霊オンディーヌの配下の者でしょう? ということは、フランソワーズ様は水の精霊オンディーヌの守り子様?」
「偉大なる尊き存在よ! 天からも光が注がれた。ということは、聖女様でもいらっしゃる」
「妖精姫にして聖女様だわ! 今世にお出ましになられるとは・・・・・・なんとありがたい」
「あたくしが、このように素晴らしい力を持つフランソワーズ様を育てたのです。あたくしにはわかっていました! だから、わざと厳しく育てたのです。あたくしが愛しているのはあなただけよ、フランソワーズ様」
私の周りの人々が伏して崇めているなか、お母様はわなわなと震えながら私を見つめていたけれど、すぐに勝ち誇った表情を浮かべ私を自慢し始めた。
「そ、そうだとも! 父親のわしにだって実はわかっていたんだ。だから、わざとあのように振る舞っただけで、この子を奮起させる為の手段だったのだ。全てはお芝居だ。わしの娘はフランソワーズ様だけだ」
「そうです。今までのことは、全てわざとです。聖女様は逆境のなかから育まれると聞いたことがあります。神は試練を与えてその人間を強くするからです」
お兄様は私に向かって手を伸ばし、眩しそうに目を細める。
「聖なる妹よ。僕にはわかっていたよ。フランソワーズ様だけが僕の妹だって・・・・・・」
「わたしの大事なフランソワーズに触れようとするな!」
私に伸ばされたその手を、マクシミリアン様がはねのけた。
「神は試練を与えてその人間を強くするですって? なにを知ったような口ぶりで・・・・・・愚かな兄だわ。フランソワーズをいつも虐めていただけのくせに。わたくしがこのフランクに試練を与えたいぐらいよ」
リュシュパン公爵夫人が、柳眉を逆立てる。
「ちょっと、待ってよ。お母様もお父様もお兄様まで、いきなりフランソワーズお姉様に媚びるなんて・・・・・・しかも娘はフランソワーズだけとか、妹はフランソワーズだけとか・・・・・・酷くない? 私はどうなるのよ!」
「うるさい! 黙れ。お前のような我が儘娘と違い、フランソワーズ様はとても素晴らしい娘だったのだ。もちろん、わしにはわかっていたが」
「そうよ、黙りなさい。ベッツィーは、これからフランソワーズ様に仕えて聖女様の専属侍女になるのよ。そうしたら、王族とも会えて玉の輿になれるかも・・・・・・」
「え? 嫌よ。こんな女の侍女なんて・・・・・・王族? 王子様ってこと?・・・・・・私、なるわ! フランソワーズ様、私をあなたの専属侍女にしてくださいませ」
「僕もフランソワーズ様の護衛騎士にしてください。兄であるこの僕が、フランソワーズ様をお守りするのは、天が僕に与えた使命だと思います。命を懸けてお守りいたします」
「ふぅーー。カステジャノス侯爵家には、まともな者はいないのか? この流れで聖女様がそのようなことを認めるわけがなかろう? 聖女様、あなた様はこの者達をどうしたいですか? 厳罰に処するのがよろしいかと思いますが・・・・・・」
大神官様は私に向かって困ったように微笑み、そう尋ねられたのだった。
「奇跡ですわ。今、わたくし達は奇跡を見ているのです!」
湖の水面がキラキラと輝き、七色の光源のひとつひとつに小さな妖精の姿が見える。人の形をした小さな妖精は、さまざな色の可愛い服を着て、にこにこと飛び回り私の肩や手に乗った。
すると、さきほどの男性が「火傷の傷が消えていく!」と叫ぶ。
包帯をとり火傷の引き攣れた皮膚を露わにしていた紳士の頭上に、天からも淡い光が降り注がれて、その傷がだんだんと薄くなりついにはすっかり消えていく。それを見た貴族達は感動に涙し、なかには興奮のあまり失神する女性もいた。
「奇跡ですわ。水の妖精の可愛いこと! あれは精霊オンディーヌの配下の者でしょう? ということは、フランソワーズ様は水の精霊オンディーヌの守り子様?」
「偉大なる尊き存在よ! 天からも光が注がれた。ということは、聖女様でもいらっしゃる」
「妖精姫にして聖女様だわ! 今世にお出ましになられるとは・・・・・・なんとありがたい」
「あたくしが、このように素晴らしい力を持つフランソワーズ様を育てたのです。あたくしにはわかっていました! だから、わざと厳しく育てたのです。あたくしが愛しているのはあなただけよ、フランソワーズ様」
私の周りの人々が伏して崇めているなか、お母様はわなわなと震えながら私を見つめていたけれど、すぐに勝ち誇った表情を浮かべ私を自慢し始めた。
「そ、そうだとも! 父親のわしにだって実はわかっていたんだ。だから、わざとあのように振る舞っただけで、この子を奮起させる為の手段だったのだ。全てはお芝居だ。わしの娘はフランソワーズ様だけだ」
「そうです。今までのことは、全てわざとです。聖女様は逆境のなかから育まれると聞いたことがあります。神は試練を与えてその人間を強くするからです」
お兄様は私に向かって手を伸ばし、眩しそうに目を細める。
「聖なる妹よ。僕にはわかっていたよ。フランソワーズ様だけが僕の妹だって・・・・・・」
「わたしの大事なフランソワーズに触れようとするな!」
私に伸ばされたその手を、マクシミリアン様がはねのけた。
「神は試練を与えてその人間を強くするですって? なにを知ったような口ぶりで・・・・・・愚かな兄だわ。フランソワーズをいつも虐めていただけのくせに。わたくしがこのフランクに試練を与えたいぐらいよ」
リュシュパン公爵夫人が、柳眉を逆立てる。
「ちょっと、待ってよ。お母様もお父様もお兄様まで、いきなりフランソワーズお姉様に媚びるなんて・・・・・・しかも娘はフランソワーズだけとか、妹はフランソワーズだけとか・・・・・・酷くない? 私はどうなるのよ!」
「うるさい! 黙れ。お前のような我が儘娘と違い、フランソワーズ様はとても素晴らしい娘だったのだ。もちろん、わしにはわかっていたが」
「そうよ、黙りなさい。ベッツィーは、これからフランソワーズ様に仕えて聖女様の専属侍女になるのよ。そうしたら、王族とも会えて玉の輿になれるかも・・・・・・」
「え? 嫌よ。こんな女の侍女なんて・・・・・・王族? 王子様ってこと?・・・・・・私、なるわ! フランソワーズ様、私をあなたの専属侍女にしてくださいませ」
「僕もフランソワーズ様の護衛騎士にしてください。兄であるこの僕が、フランソワーズ様をお守りするのは、天が僕に与えた使命だと思います。命を懸けてお守りいたします」
「ふぅーー。カステジャノス侯爵家には、まともな者はいないのか? この流れで聖女様がそのようなことを認めるわけがなかろう? 聖女様、あなた様はこの者達をどうしたいですか? 厳罰に処するのがよろしいかと思いますが・・・・・・」
大神官様は私に向かって困ったように微笑み、そう尋ねられたのだった。
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