25 / 29
25
しおりを挟む
(ベッツィー視点)
わたしの同期は13人いた。お互いに友情が芽生え励まし合って訓練に耐える。
「ねぇ、皆ハサミを持ってきて。お互いの毛を一房づつ切って持っていようよ。あたし達が仲間だっていう証だよ。絶対に裏切らないで力を合わせて頑張ろうね」
「了解」
「もちろんだよ」
「うん。絶対、皆で生き残ろうね」
わたし達は、誓う。助け合って必ず、ずっと一緒にいると・・・・・・
半年間の訓練が終わり、わたし達に初めての任務が任された。それはある貴族の屋敷に潜り込み、メイドとして働きながら当主の動向を探ることだ。そこで判明したのは、こいつの違法な人身売買だった。
合法的な奴隷売買は国の管理下に置かれているが、違法なものは人攫いで奪って来た子供を闇で売る。こいつは見目麗しい女子限定で、平民の子供を誘拐していたのだ。見目麗しい子供はジダライナ国に密入国させ、そこで高く売る手はずになっていることを突きとめた。
「子供を攫って、いかがわしい真似をさせる為に売りさばくなんて、なんという鬼畜な所業なの!」
「子供を救い出そう。それから、こいつの証拠を全部持ち出して、ジョバンナ小隊長に報告よ」
「了解。皆、気を引き締めて。行くよっ!」
アジトの前に眠気を誘う乾燥薬草に火をつけて放り投げた。もくもくと立ちあがる煙にバタバタと倒れていく見張りの男達。倒れたところを見計らって、なかに侵入する。子供達がたくさん囚われていて、なかにも男達がいた。
「お前ら、なんだぁ? 女じゃねーーか。武器を捨てろ。さもないと子供達を殺すぞ」
黒髪の男が子供の喉にナイフを突きつけた。
わたしは武器を捨てるふりをして小型ナイフを黒髪男の心臓めがけて投げ、左手で吹き矢を口に含むと赤髪男の喉に突き刺す。すかさず、胴に括り付けていた薄型投げナイフをとりだし、次々と男達の急所めがけて投げていく。
一瞬の迷いも無く戦う。そうしなければこちらがやられる。生きている間は動き続け、敵を攻撃するんだ。わたしは絶対に死なない!
わたしの仲間達も同じように男達を倒していく。ナイフが飛び交い、剣とぶつかり合い金属音が響いた。
なんとか子供達をジョバンナ小隊長がいる安全な場所に移動させた時には、わたしの一番の親友が血を流していた。その傷を見ればよくここまで移動できたと思うほどの深さだ。
「・・・・・・そんなぁ・・・・・・ジョバンナ小隊長。助けてやってくださいよ。この子は親友なんです。ジェラルディン、死んじゃダメよ」
「この傷じゃぁ助からない。これが現実さ」
「・・・・・・酷いよ。ジェラルディンは、いい子だったのに・・・・・・たくさんわたしを励ましてくれたのに」
「こんなことはいくらでも続く。死ぬのは次はお前かもしれない。ここはそんな世界だ」
ジョバンナ小隊長が言ったその言葉にぞっとした。これは遊びじゃないんだ・・・・・・
それからもたくさんの任務に就き、そのたびに仲間は減っていく。わたしが最後の一人になった頃に、ジョバンナ小隊長に呼ばれた。
「聖女様が男子を出産なされた。お前に恩赦が出されたので、平民籍と新しい人生を送る為の軍資金を渡す。よく厳しい任務に耐えたな。お前はとても優秀だったから生き残れたんだ。自分を誇っていいぞ。幸せになれよ」
ジョバンナ小隊長はわたしを一瞬だけ抱きしめ、かなりの大金がわたしに手渡された。
厳しかった上司だが、決して意味のない厳しさでは無かった。だからこそ、わたしは生き残ることができたのだから。
「亡くなった仲間達のお墓を、これで作ってあげていいですか?」
「あぁ、いいとも。あいつらもきっと喜ぶ。そういう優しい気持ちが、きっとお前の人生を豊かにしてくれるよ。いい女になったな」
そんな言葉にわたしは涙が止まらなかった。
わたしの同期は13人いた。お互いに友情が芽生え励まし合って訓練に耐える。
「ねぇ、皆ハサミを持ってきて。お互いの毛を一房づつ切って持っていようよ。あたし達が仲間だっていう証だよ。絶対に裏切らないで力を合わせて頑張ろうね」
「了解」
「もちろんだよ」
「うん。絶対、皆で生き残ろうね」
わたし達は、誓う。助け合って必ず、ずっと一緒にいると・・・・・・
半年間の訓練が終わり、わたし達に初めての任務が任された。それはある貴族の屋敷に潜り込み、メイドとして働きながら当主の動向を探ることだ。そこで判明したのは、こいつの違法な人身売買だった。
合法的な奴隷売買は国の管理下に置かれているが、違法なものは人攫いで奪って来た子供を闇で売る。こいつは見目麗しい女子限定で、平民の子供を誘拐していたのだ。見目麗しい子供はジダライナ国に密入国させ、そこで高く売る手はずになっていることを突きとめた。
「子供を攫って、いかがわしい真似をさせる為に売りさばくなんて、なんという鬼畜な所業なの!」
「子供を救い出そう。それから、こいつの証拠を全部持ち出して、ジョバンナ小隊長に報告よ」
「了解。皆、気を引き締めて。行くよっ!」
アジトの前に眠気を誘う乾燥薬草に火をつけて放り投げた。もくもくと立ちあがる煙にバタバタと倒れていく見張りの男達。倒れたところを見計らって、なかに侵入する。子供達がたくさん囚われていて、なかにも男達がいた。
「お前ら、なんだぁ? 女じゃねーーか。武器を捨てろ。さもないと子供達を殺すぞ」
黒髪の男が子供の喉にナイフを突きつけた。
わたしは武器を捨てるふりをして小型ナイフを黒髪男の心臓めがけて投げ、左手で吹き矢を口に含むと赤髪男の喉に突き刺す。すかさず、胴に括り付けていた薄型投げナイフをとりだし、次々と男達の急所めがけて投げていく。
一瞬の迷いも無く戦う。そうしなければこちらがやられる。生きている間は動き続け、敵を攻撃するんだ。わたしは絶対に死なない!
わたしの仲間達も同じように男達を倒していく。ナイフが飛び交い、剣とぶつかり合い金属音が響いた。
なんとか子供達をジョバンナ小隊長がいる安全な場所に移動させた時には、わたしの一番の親友が血を流していた。その傷を見ればよくここまで移動できたと思うほどの深さだ。
「・・・・・・そんなぁ・・・・・・ジョバンナ小隊長。助けてやってくださいよ。この子は親友なんです。ジェラルディン、死んじゃダメよ」
「この傷じゃぁ助からない。これが現実さ」
「・・・・・・酷いよ。ジェラルディンは、いい子だったのに・・・・・・たくさんわたしを励ましてくれたのに」
「こんなことはいくらでも続く。死ぬのは次はお前かもしれない。ここはそんな世界だ」
ジョバンナ小隊長が言ったその言葉にぞっとした。これは遊びじゃないんだ・・・・・・
それからもたくさんの任務に就き、そのたびに仲間は減っていく。わたしが最後の一人になった頃に、ジョバンナ小隊長に呼ばれた。
「聖女様が男子を出産なされた。お前に恩赦が出されたので、平民籍と新しい人生を送る為の軍資金を渡す。よく厳しい任務に耐えたな。お前はとても優秀だったから生き残れたんだ。自分を誇っていいぞ。幸せになれよ」
ジョバンナ小隊長はわたしを一瞬だけ抱きしめ、かなりの大金がわたしに手渡された。
厳しかった上司だが、決して意味のない厳しさでは無かった。だからこそ、わたしは生き残ることができたのだから。
「亡くなった仲間達のお墓を、これで作ってあげていいですか?」
「あぁ、いいとも。あいつらもきっと喜ぶ。そういう優しい気持ちが、きっとお前の人生を豊かにしてくれるよ。いい女になったな」
そんな言葉にわたしは涙が止まらなかった。
82
あなたにおすすめの小説
私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?
みおな
ファンタジー
私の妹は、聖女と呼ばれている。
妖精たちから魔法を授けられた者たちと違い、女神から魔法を授けられた者、それが聖女だ。
聖女は一世代にひとりしか現れない。
だから、私の婚約者である第二王子は声高らかに宣言する。
「ここに、ユースティティアとの婚約を破棄し、聖女フロラリアとの婚約を宣言する!」
あらあら。私はかまいませんけど、私が何者かご存知なのかしら?
それに妹フロラリアはシスコンですわよ?
この国、滅びないとよろしいわね?
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】無能な聖女はいらないと婚約破棄され、追放されたので自由に生きようと思います
黒幸
恋愛
辺境伯令嬢レイチェルは学園の卒業パーティーでイラリオ王子から、婚約破棄を告げられ、国外追放を言い渡されてしまう。
レイチェルは一言も言い返さないまま、パーティー会場から姿を消した。
邪魔者がいなくなったと我が世の春を謳歌するイラリオと新たな婚約者ヒメナ。
しかし、レイチェルが国からいなくなり、不可解な事態が起き始めるのだった。
章を分けるとかえって、ややこしいとの御指摘を受け、章分けを基に戻しました。
どうやら、作者がメダパニ状態だったようです。
表紙イラストはイラストAC様から、お借りしています。
【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」
そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。
彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・
産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。
----
初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。
終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。
お読みいただきありがとうございます。
結婚するので姉様は出ていってもらえますか?
基本二度寝
恋愛
聖女の誕生に国全体が沸き立った。
気を良くした国王は貴族に前祝いと様々な物を与えた。
そして底辺貴族の我が男爵家にも贈り物を下さった。
家族で仲良く住むようにと賜ったのは古い神殿を改装した石造りの屋敷は小さな城のようでもあった。
そして妹の婚約まで決まった。
特別仲が悪いと思っていなかった妹から向けられた言葉は。
※番外編追加するかもしれません。しないかもしれません。
※えろが追加される場合はr−18に変更します。
【完結】何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので魔法で言えないようにしてみた
堀 和三盆
恋愛
「ずるいですわ、ずるいですわ、お義姉様ばかり! 私も伯爵家の人間になったのだから、そんな素敵な髪留めが欲しいです!」
ドレス、靴、カバン等の値の張る物から、婚約者からの贈り物まで。義妹は気に入ったものがあれば、何でも『ずるい、ずるい』と言って私から奪っていく。
どうしてこうなったかと言えば……まあ、貴族の中では珍しくもない。後妻の連れ子とのアレコレだ。お父様に相談しても「いいから『ずるい』と言われたら義妹に譲ってあげなさい」と、話にならない。仕方なく義妹の欲しがるものは渡しているが、いい加減それも面倒になってきた。
――何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので。
ここは手っ取り早く魔法使いに頼んで。
義妹が『ずるい』と言えないように魔法をかけてもらうことにした。
石女を理由に離縁されましたが、実家に出戻って幸せになりました
お好み焼き
恋愛
ゼネラル侯爵家に嫁いで三年、私は子が出来ないことを理由に冷遇されていて、とうとう離縁されてしまいました。なのにその後、ゼネラル家に嫁として戻って来いと手紙と書類が届きました。息子は種無しだったと、だから石女として私に叩き付けた離縁状は無効だと。
その他にも色々ありましたが、今となっては心は落ち着いています。私には優しい弟がいて、頼れるお祖父様がいて、可愛い妹もいるのですから。
腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。
四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」
突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる