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三日目にはスキーを楽しんだ。シップトン王国は温暖な地域だったので雪が降ることは滅多にない。だから、私はスキーをしたことがなかった。
メドフォード国では子供の頃からスキーを楽しむようで、王族専用の特別なスキー場も王宮のすぐ近くにあった。そこには王族とそのゲストのために、美しい山岳風のスキーロッジが建てられていた。ロッジには居心地の良い暖炉や快適な家具が置かれ、暖かい雰囲気が広がっていた。
スキー場には専属のスキー教師やガイドが常駐しており、王族たちは最高のスキーエクスペリエンスを楽しむことができる。私達は特別に設けられた専用のリフトで山頂まで移動した。そこでは様々な難易度のゲレンデが用意され、初心者から上級者まで、自分のスキーレベルに合わせたゲレンデを選ぶことができた。
スキーは得意だというライオネル殿下に、スキーを始める際の基本的な姿勢について教えてもらう。足は肩幅に開き、膝を軽く曲げた状態で立つ。スキーポールを手に持ち、正しいポジションで身体のバランスを保つ方法を学んだ。
歩行とスライディング、スキーのブレーキの使い方、ターン技術などを丁寧に教えていただくと、初心者レベルのゲレンデならなんとか楽しめるようになった。息をのむようなパノラマの眺望を楽しみながら滑り降りるのは爽快だった。
☆彡 ★彡
王宮の壮大な建物の後ろには、広大な裏庭が広がっていた。そこには美しい芝生が生え、多種多様な植物が繁茂している。自然の息吹を感じることができる空間だった。夜になると星が輝き、月の光が降り注ぐ神秘的な場所だ。
冬至祭りの最終日、裏庭の一角で私達は篝火を楽しんだ。石畳の円形の火床が設置され、そこに乾燥した葉や木材を入れ火をおこす。暖かな炎は優しく輝き、周囲を柔らかな光で包み込みこんだ。篝火の周りには木製の椅子やクッションが配置され、快適なくつろぎの空間が作られた。
そこで、ライオネル殿下のバイオリンが、星々の光を背景に、静寂を美しい旋律で破っていった。彼の指先は楽器の弦を優雅に撫で、その音は夜の闇に響き渡った。篝火の炎が微かな輝きを投げかけ、ライオネル殿下の演奏を照らし出す。音楽は澄み渡り、深い感情がその音色に込められているようだった。
庭園の木々はそっと風に揺れ、星々も黙って彼の演奏を聞いているようだった。彼の音楽は時折、哀愁に満ちた旋律となり、そして次第に力強く情熱的になっていく。演奏が終わると皆が惜しみない拍手をしたけれど、私は思わずうっとりと魅入ってしまい、拍手さえも忘れて余韻に浸っていたのよ。
広大な冬の空には星座が煌々と輝いている。私とライオネル殿下は寒さを感じさせない暖かなマントに身を包み、『セレスティア』について語った。それは冬至祭りの夜に特別に現れ、夢を叶える星座だといわれている。私とライオネル殿下は『セレスティア』を見上げ、その輝きに心を打たれた。
次に、彼は古代の星座物語を語った。ドラゴン座が天空に現れ、勇者と竜の壮絶な戦いを思い起こさせた。ライオネル殿下は星座が持つ神秘的な力と、夜空の美しさについて情熱的に語る。彼の声は暖かさと知識に満ちており、私はその言葉に耳を傾けながら、星々の世界に引き込まれていった。
夜が深まるにつれ、私とライオネル殿下は星座の輝きを楽しむだけでなく、互いのことについて語り合う。私にクランシー様という婚約者がいたことや、両親から修道院に送られたことなどを話してしまったの。
「これからはなにがあろうと、私が守るから安心して」
はにかみながらそうおっしゃった。星々の下での、この特別なひとときは、私と彼との絆を深め美しい冬至祭りの思い出として、新たに心に刻まれたのだった。
※sideココ
ヴィッキー伯母様とお母様が、ラバジェ伯爵邸の居間で、楽しげにおしゃべりをしている。私はソフィの部屋で寛いでいた。この部屋にあるものは自由に使って良いとヴィッキー伯母様がおっしゃったから、その通りに使わせてもらっている。とても快適だし、良い気分だった。
突然大きな声を張り上げたのはお母様だった。私はびっくりして居間に向かった。お母様が手に持っていたのは新聞で、メドフォード国の冬至祭りの記事が掲載されていた。
「ちょっと! この記事を見て!『この美しい令嬢は第2王子の婚約者?』と書いてあるけれど、この挿絵の顔はソフィに似ている気がするわ」
「お母様、見せてちょうだい!」
私はその新聞を覗き込む。そこにはメドフォード王国の冬至祭りの、伝統的な競技大会の挿絵が何枚も掲載されていた。多くの観客達が楽しんでおり、出店が並んでいる様子。カーマイン王太子殿下が見事な腕前で、的を射貫く様子。それを観覧する王族達の様子。・・・・・・そのなかに、なんとソフィにほんの少しだけ似た女性が、美男子と楽しげに語らっている挿絵があった。仲睦まじく寄り添っているようにも見える挿絵よ。
「この美しい男性が第2王子殿下なのね? でも、この女性はソフィじゃないわ。だって、あの子はゴッサム修道院にいるはずでしょう?」
ソフィがこんなに綺麗なわけないもの。
「ゴッサム修道院に確認しに行かなければならないわ。もし、これがソフィなら・・・・・・ボナデアお姉様を誘拐犯で訴えてやる!」
ヴィッキー伯母様は恐ろしい形相で呟いた。
まさか、本当にこの女性がソフィなの?
描かれた女性のディテールが非常に精緻で、顔の作りが鮮明に把握できた。ソフィに似ている気もするけれど、全くの別人だと思う。だって、この女性は自信に溢れていて、すっごい美人だもの!
たった数ヶ月で、こんなに綺麗に垢抜けるなんてあり得ない。それに、なんで第2王子と婚約できるの? ソフィはクランシー様のお飾り妻に決定しているじゃない?
それに、ボナデアって誰?
メドフォード国では子供の頃からスキーを楽しむようで、王族専用の特別なスキー場も王宮のすぐ近くにあった。そこには王族とそのゲストのために、美しい山岳風のスキーロッジが建てられていた。ロッジには居心地の良い暖炉や快適な家具が置かれ、暖かい雰囲気が広がっていた。
スキー場には専属のスキー教師やガイドが常駐しており、王族たちは最高のスキーエクスペリエンスを楽しむことができる。私達は特別に設けられた専用のリフトで山頂まで移動した。そこでは様々な難易度のゲレンデが用意され、初心者から上級者まで、自分のスキーレベルに合わせたゲレンデを選ぶことができた。
スキーは得意だというライオネル殿下に、スキーを始める際の基本的な姿勢について教えてもらう。足は肩幅に開き、膝を軽く曲げた状態で立つ。スキーポールを手に持ち、正しいポジションで身体のバランスを保つ方法を学んだ。
歩行とスライディング、スキーのブレーキの使い方、ターン技術などを丁寧に教えていただくと、初心者レベルのゲレンデならなんとか楽しめるようになった。息をのむようなパノラマの眺望を楽しみながら滑り降りるのは爽快だった。
☆彡 ★彡
王宮の壮大な建物の後ろには、広大な裏庭が広がっていた。そこには美しい芝生が生え、多種多様な植物が繁茂している。自然の息吹を感じることができる空間だった。夜になると星が輝き、月の光が降り注ぐ神秘的な場所だ。
冬至祭りの最終日、裏庭の一角で私達は篝火を楽しんだ。石畳の円形の火床が設置され、そこに乾燥した葉や木材を入れ火をおこす。暖かな炎は優しく輝き、周囲を柔らかな光で包み込みこんだ。篝火の周りには木製の椅子やクッションが配置され、快適なくつろぎの空間が作られた。
そこで、ライオネル殿下のバイオリンが、星々の光を背景に、静寂を美しい旋律で破っていった。彼の指先は楽器の弦を優雅に撫で、その音は夜の闇に響き渡った。篝火の炎が微かな輝きを投げかけ、ライオネル殿下の演奏を照らし出す。音楽は澄み渡り、深い感情がその音色に込められているようだった。
庭園の木々はそっと風に揺れ、星々も黙って彼の演奏を聞いているようだった。彼の音楽は時折、哀愁に満ちた旋律となり、そして次第に力強く情熱的になっていく。演奏が終わると皆が惜しみない拍手をしたけれど、私は思わずうっとりと魅入ってしまい、拍手さえも忘れて余韻に浸っていたのよ。
広大な冬の空には星座が煌々と輝いている。私とライオネル殿下は寒さを感じさせない暖かなマントに身を包み、『セレスティア』について語った。それは冬至祭りの夜に特別に現れ、夢を叶える星座だといわれている。私とライオネル殿下は『セレスティア』を見上げ、その輝きに心を打たれた。
次に、彼は古代の星座物語を語った。ドラゴン座が天空に現れ、勇者と竜の壮絶な戦いを思い起こさせた。ライオネル殿下は星座が持つ神秘的な力と、夜空の美しさについて情熱的に語る。彼の声は暖かさと知識に満ちており、私はその言葉に耳を傾けながら、星々の世界に引き込まれていった。
夜が深まるにつれ、私とライオネル殿下は星座の輝きを楽しむだけでなく、互いのことについて語り合う。私にクランシー様という婚約者がいたことや、両親から修道院に送られたことなどを話してしまったの。
「これからはなにがあろうと、私が守るから安心して」
はにかみながらそうおっしゃった。星々の下での、この特別なひとときは、私と彼との絆を深め美しい冬至祭りの思い出として、新たに心に刻まれたのだった。
※sideココ
ヴィッキー伯母様とお母様が、ラバジェ伯爵邸の居間で、楽しげにおしゃべりをしている。私はソフィの部屋で寛いでいた。この部屋にあるものは自由に使って良いとヴィッキー伯母様がおっしゃったから、その通りに使わせてもらっている。とても快適だし、良い気分だった。
突然大きな声を張り上げたのはお母様だった。私はびっくりして居間に向かった。お母様が手に持っていたのは新聞で、メドフォード国の冬至祭りの記事が掲載されていた。
「ちょっと! この記事を見て!『この美しい令嬢は第2王子の婚約者?』と書いてあるけれど、この挿絵の顔はソフィに似ている気がするわ」
「お母様、見せてちょうだい!」
私はその新聞を覗き込む。そこにはメドフォード王国の冬至祭りの、伝統的な競技大会の挿絵が何枚も掲載されていた。多くの観客達が楽しんでおり、出店が並んでいる様子。カーマイン王太子殿下が見事な腕前で、的を射貫く様子。それを観覧する王族達の様子。・・・・・・そのなかに、なんとソフィにほんの少しだけ似た女性が、美男子と楽しげに語らっている挿絵があった。仲睦まじく寄り添っているようにも見える挿絵よ。
「この美しい男性が第2王子殿下なのね? でも、この女性はソフィじゃないわ。だって、あの子はゴッサム修道院にいるはずでしょう?」
ソフィがこんなに綺麗なわけないもの。
「ゴッサム修道院に確認しに行かなければならないわ。もし、これがソフィなら・・・・・・ボナデアお姉様を誘拐犯で訴えてやる!」
ヴィッキー伯母様は恐ろしい形相で呟いた。
まさか、本当にこの女性がソフィなの?
描かれた女性のディテールが非常に精緻で、顔の作りが鮮明に把握できた。ソフィに似ている気もするけれど、全くの別人だと思う。だって、この女性は自信に溢れていて、すっごい美人だもの!
たった数ヶ月で、こんなに綺麗に垢抜けるなんてあり得ない。それに、なんで第2王子と婚約できるの? ソフィはクランシー様のお飾り妻に決定しているじゃない?
それに、ボナデアって誰?
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