(完結)追放された王女は隣国の後宮で囚われの奴隷?になるー溺愛されて困っています

青空一夏

文字の大きさ
7 / 8

7 王太子の恋人のふりをしてみた

しおりを挟む
7

私は、思いっきり、引いた表情をしていたに違いない。王太子は、言い訳じみた話を、いろいろしてきたわ。

「いや、決して、好きな女性がいないというわけではなく・・・もちろん、付き合っている女性はいるのだが・・・彼女はシャイなのだ・・・だから、人前に出ることも私の両親に会うことも躊躇している。だから、代わりに・・・」

「代わりに?」

私は、話の意図が掴めないでいた。好きな女性の代わりに? 私が気に入られてなんのメリットがあるの?・・・

「つまりだ、周囲を納得させて、結婚式で誓ってしまえば、その女性は私の妻だ・・・どうせ、結婚式の女性の衣装はベールで包まれていて、花嫁の顔は見えない」

ここまで、聞いて、私は納得した。了解です! 鬼畜な王太子様・・・鬼畜でもないか・・・つまり、愛する女性を大事にしたい?ってことかな・・・うーーん、わからない・・・でも、ま、いいか・・・この王太子様は私を助けてくれたのは事実だし・・・それに対しては恩を返すのがいいかもしれないな・・・

「承知いたしました。その大事な恋人の代わりに、皆様に王太子妃として相応しいと認められればいいということですね?」

私が確認すると、、王太子様は、『そういうことになるのかな?』などと、人ごとのようにおっしゃっている。

「ならば、あのお爺さんから助けていただいた恩もありますし、精一杯やらせていただきますね。それで、その仕事が済んだならば、私にこの国の戸籍と住む家を用意していただいてもよろしいでしょうか?」

「え? あぁ、戸籍と住む家か? ・・・そんなものは当然だ」

王太子様が、とても自信をもっておっしゃってくださったから、私は安心した。これは、ビジネスだわ。頑張りまぁす。

王様がいらっしゃったので、私は、すっと立ち上がり、完璧なカーテシーをした。

「まぁ、この方が王太子の思い人なのですね? 全く、どこの国の姫との縁談も断ると思っていたら・・・」

王妃様(多分)が、ニコニコと微笑みながらこちらにいらっしゃったので、私は王様の時より、一層丁寧なカーテシーをしたのだった。

王太子は私の耳元で囁いた。「合格だよ」

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

公爵令嬢は婚約者の王太子に横恋慕した自称聖女の妹に呪いをかけられる

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。 『目には目を歯には歯を、呪いには呪いを』 ベイリー公爵家の長女マリアンヌはとても幸せだった。幼馴染で王国一の美男子と評判なだけでなく、長剣を持っても王国有数の名手であるマクシミリアン王太子との結婚が正式に決まったのだ。幼い頃から婚約していたが、適齢期になっても互いに何の問題もなく、マリアンヌの十八歳の誕生日を待って挙式することになっていた。だがそれは、日頃から自分は聖女だとアピールして、マクシミリアン王太子の婚約者の座を奪おうとしていた妹のサロメに悪の決断をさせることになった。悪魔女である母親カトリーヌの血を色濃く継ぐサロメは、姉マリアンヌに最悪の呪いをかけたのだった。

最優秀な双子の妹に婚約者を奪われました。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 第2章、後日談と悪女の陰謀反撃を書くことにしました。

王太子に婚約破棄され塔に幽閉されてしまい、守護神に祈れません。このままでは国が滅んでしまいます。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 リドス公爵家の長女ダイアナは、ラステ王国の守護神に選ばれた聖女だった。 守護神との契約で、穢れない乙女が毎日祈りを行うことになっていた。 だがダイアナの婚約者チャールズ王太子は守護神を蔑ろにして、ダイアナに婚前交渉を迫り平手打ちを喰らった。 それを逆恨みしたチャールズ王太子は、ダイアナの妹で愛人のカミラと謀り、ダイアナが守護神との契約を蔑ろにして、リドス公爵家で入りの庭師と不義密通したと罪を捏造し、何の罪もない庭師を殺害して反論を封じたうえで、ダイアナを塔に幽閉してしまった。

醜い傷ありと蔑まれてきた私の顔に刻まれていたのは、選ばれし者の証である聖痕でした。今更、態度を改められても許せません。

木山楽斗
恋愛
エルーナの顔には、生まれつき大きな痣がある。 その痣のせいで、彼女は醜い傷ありと蔑まれて生きてきた。父親や姉達から嫌われて、婚約者からは婚約破棄されて、彼女は、痣のせいで色々と辛い人生を送っていたのである。 ある時、彼女の痣に関してとある事実が判明した。 彼女の痣は、聖痕と呼ばれる選ばれし者の証だったのだ。 その事実が判明して、彼女の周囲の人々の態度は変わった。父親や姉達からは媚を売られて、元婚約者からは復縁を迫られて、今までの態度とは正反対の態度を取ってきたのだ。 流石に、エルーナもその態度は頭にきた。 今更、態度を改めても許せない。それが彼女の素直な気持ちだったのだ。 ※5話目の投稿で、間違って別の作品の5話を投稿してしまいました。申し訳ありませんでした。既に修正済みです。

双子の姉に聴覚を奪われました。

浅見
恋愛
『あなたが馬鹿なお人よしで本当によかった!』 双子の王女エリシアは、姉ディアナに騙されて聴覚を失い、塔に幽閉されてしまう。 さらに皇太子との婚約も破棄され、あらたな婚約者には姉が選ばれた――はずなのに。 三年後、エリシアを迎えに現れたのは、他ならぬ皇太子その人だった。

【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!

貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。

お父様、お母様、わたくしが妖精姫だとお忘れですか?

サイコちゃん
恋愛
リジューレ伯爵家のリリウムは養女を理由に家を追い出されることになった。姉リリウムの婚約者は妹ロサへ譲り、家督もロサが継ぐらしい。 「お父様も、お母様も、わたくしが妖精姫だとすっかりお忘れなのですね? 今まで莫大な幸運を与えてきたことに気づいていなかったのですね? それなら、もういいです。わたくしはわたくしで自由に生きますから」 リリウムは家を出て、新たな人生を歩む。一方、リジューレ伯爵家は幸運を失い、急速に傾いていった。

完 弱虫のたたかい方 (番外編更新済み!!)

水鳥楓椛
恋愛
「お姉様、コレちょーだい」  無邪気な笑顔でオネガイする天使の皮を被った義妹のラテに、大好きなお人形も、ぬいぐるみも、おもちゃも、ドレスも、アクセサリーも、何もかもを譲って来た。  ラテの後ろでモカのことを蛇のような視線で睨みつける継母カプチーノの手前、譲らないなんていう選択肢なんて存在しなかった。  だからこそ、モカは今日も微笑んだ言う。 「———えぇ、いいわよ」 たとえ彼女が持っているものが愛しの婚約者であったとしても———、

処理中です...