8 / 8
8 恋人のふりのはずなのに(最終話)
しおりを挟む
8
ーー半年後ーー
私は、王太子様と一緒に過ごしているうちに、これが、演技だと忘れてしまう瞬間が多くなった。
この方が、好む本は私も好きだし、嫌いな食べ物も似ていた。王妃様とは、話もあって、演技の必要もないくらいに気があった。
これが、本当に恋人同士で、この王妃様がお義母様になってくださるのであれば、、これ以上ないくらい素敵なことなのに・・・これは、契約のようなものだから・・・どんなに、この方達と親しくなっても、私はここを去らなければならない・・・
「どうしたの? ナタリーちゃん。どこか具合でも悪いのかしら?」
そんなふうに、心配してくださる王妃様には、騙すようなかたちになって、本当に心苦しい思いだった。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
結婚の日が迫ってきた。私は、式の前までいて、多分直前にその女性と入れ替わるのだと思う。
「王太子様、家は見つけてくださいまして?」
私は、質問するけれど、王太子様はにこりと笑って心配ないと言うだけだ。
ついに、結婚式になって、綺麗な純白のドレスに身を包んだ私は、女性と入れ替わることなくそのまま結婚式を済ませてしまった。
私の頭は疑問符でいっぱいになる。いったい、その女性といつ入れ替わるの?
「まだ、気がつかないのかい?」
王太子が、私をお姫様抱っこして優しい声で聞いてきた。
「なにをですか?」
私は、首を傾げて尋ねた。
「今、私が抱いている女性が好きな女だ。実は、あの奴隷市場で一目惚れだった」
私は、初めて実の両親に感謝した。国外追放してくれて、ありがとう!
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚三年後
「生きていたのね? まぁ、こんな大国の王太子妃になったのなら、なぜ連絡を寄越さないの?」
私のお母様が、この国へ謁見に訪れた時に、私を見て、泣きながら抱きついてきた。
「どなたですか? 貴女のことなど知りませんわ」
私は、冷めた目で見つめて不愉快さに顔をしかめた。
「なにを言うの? 貴女は私の娘ではありませんか? 我が国の第一王女のナタリーでしょう?」
「いいえ、私は奴隷市場で売られていた卑しい女ですよ。貴女がたに娘と言われるくらいなら、奴隷だったと言われたほうがましです」
それを聞いて、お義母様が笑った。
「ほほほほ。この王太子妃は、私の従姉妹の娘ですよ。従姉妹はちなみに、大帝国の王妃になっています。高貴な姫君ですけれど、このようにジョークが過ぎるのです。名前も偶然同じですが、ただの偶然ですよ」
お顔は、にこやかに微笑んでいたが、目は笑っていなかった。私は身の上話を、お義母様には全て話していたから、多分、私の代わりに怒ってくださっているのだわ。
「あぁ、もし嘘つきな下の姫を女王に据えるつもりなら、我が国との交流もここまで、です。早急にお帰りください!」
私の夫の王太子は、そう言いながら、にっこりと私に微笑んだのだった。
完
ーー半年後ーー
私は、王太子様と一緒に過ごしているうちに、これが、演技だと忘れてしまう瞬間が多くなった。
この方が、好む本は私も好きだし、嫌いな食べ物も似ていた。王妃様とは、話もあって、演技の必要もないくらいに気があった。
これが、本当に恋人同士で、この王妃様がお義母様になってくださるのであれば、、これ以上ないくらい素敵なことなのに・・・これは、契約のようなものだから・・・どんなに、この方達と親しくなっても、私はここを去らなければならない・・・
「どうしたの? ナタリーちゃん。どこか具合でも悪いのかしら?」
そんなふうに、心配してくださる王妃様には、騙すようなかたちになって、本当に心苦しい思いだった。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
結婚の日が迫ってきた。私は、式の前までいて、多分直前にその女性と入れ替わるのだと思う。
「王太子様、家は見つけてくださいまして?」
私は、質問するけれど、王太子様はにこりと笑って心配ないと言うだけだ。
ついに、結婚式になって、綺麗な純白のドレスに身を包んだ私は、女性と入れ替わることなくそのまま結婚式を済ませてしまった。
私の頭は疑問符でいっぱいになる。いったい、その女性といつ入れ替わるの?
「まだ、気がつかないのかい?」
王太子が、私をお姫様抱っこして優しい声で聞いてきた。
「なにをですか?」
私は、首を傾げて尋ねた。
「今、私が抱いている女性が好きな女だ。実は、あの奴隷市場で一目惚れだった」
私は、初めて実の両親に感謝した。国外追放してくれて、ありがとう!
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚三年後
「生きていたのね? まぁ、こんな大国の王太子妃になったのなら、なぜ連絡を寄越さないの?」
私のお母様が、この国へ謁見に訪れた時に、私を見て、泣きながら抱きついてきた。
「どなたですか? 貴女のことなど知りませんわ」
私は、冷めた目で見つめて不愉快さに顔をしかめた。
「なにを言うの? 貴女は私の娘ではありませんか? 我が国の第一王女のナタリーでしょう?」
「いいえ、私は奴隷市場で売られていた卑しい女ですよ。貴女がたに娘と言われるくらいなら、奴隷だったと言われたほうがましです」
それを聞いて、お義母様が笑った。
「ほほほほ。この王太子妃は、私の従姉妹の娘ですよ。従姉妹はちなみに、大帝国の王妃になっています。高貴な姫君ですけれど、このようにジョークが過ぎるのです。名前も偶然同じですが、ただの偶然ですよ」
お顔は、にこやかに微笑んでいたが、目は笑っていなかった。私は身の上話を、お義母様には全て話していたから、多分、私の代わりに怒ってくださっているのだわ。
「あぁ、もし嘘つきな下の姫を女王に据えるつもりなら、我が国との交流もここまで、です。早急にお帰りください!」
私の夫の王太子は、そう言いながら、にっこりと私に微笑んだのだった。
完
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
549
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(7件)
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
第5話
なぜナタリーも下痢をしたのですか?
あの薬は飲んでいませんよね?
グリム童話のような感じ。
すっきりさっぱり読めて楽しい✧︎
こんばんは🌇
お読みいただきありがとうございます
童話のような感じになってましたか(笑)
すっきりさっぱり読めて楽しいとおっしゃっていただいて
とてもうれしいです🤗🎵
これからもよろしくお願いします🌷
ん"んっざまぁのおかわりが欲しくなっちゃったので脳内で妄想処理。
( *ˊᗜˋ)ノꕤ*.゚コンバンハ~♪
(•́∀•̀ฅ)アレレー💧
これ、ざまぁ足りませんでしたか?
妄想処理していただいて感謝です(๑•̀ㅁ•́ฅ✧
オヨミイタダキ(๑ˊ͈ ꇴ ˋ͈)アリガト〜🌼ゴザイマス・・・・・・うれぴーー🐥
コメントいただき(*ˊᵕˋo嬉o アリガト💕ゴザイマス