(完結)妹に虐げられた私は・・・・・・

青空一夏

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1  メイド扱いになった経緯

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「お父様、新しいドレスを買ってくださいな。今の流行は透けるように薄いモスリン素材のエンスパイア・スタイルなんですって」

「あぁ、いいとも。ところでローラのドレスも一緒に作ったほうがいいだろう? そのドレスは、ずいぶん昔のデザインに見えるが・・・・・・」

「ローラ様には困っていますの。いくら新しいドレスを仕立ててさしあげても、破いて捨ててしまうのですわ。ご覧になってください、このドレス」
 見覚えのないビリビリに破かれたドレスを持ってメイドのミリーがやって来る。

 新しいドレスを仕立ててもらったことは一度もないし、そのドレスは明らかにマリアのものだった。マリアの口角が嬉しそうに上がり、クスクスと笑い出す。

「先日は私の宝石を勝手に持ち出したのですよ! お姉様ってすごい意地悪なんです」

「私はドレスなど破ってはいません! 宝石は元々、私のものです。マリアにお母様の宝石を貸したっきり、戻ってこないので返してもらっただけです」

「あら、くださるって言ったじゃない? 私がもらったものを返す必要なんてないわ」

「ローラ! 人の物を勝手に盗るのは泥棒だぞ。せっかく買ってもらったドレスも破くなど、なんて我が儘で根性が腐っているんだ!」

「きっと私が元侍女なのをバカにしているのですわ。ローズ様の宝石も独り占めして隠しています。あれは当主夫人の私の物でしょう?」

「あぁ、ローズの宝石はスエンソン伯爵夫人になったマーガレットのものだな。渡しなさい」

「いいえ、嫌です。あれはお母様の形見です。お母様が嫁ぐ前の娘時代の宝石がほとんどではないですか!」

「ワシがローズになにも買ってやらなかったと言うのか! ローズが宝石を欲しがらなかっただけではないか! なんと頑固な父親を愚弄する性悪娘だ。これからはなんでもマーガレットの言うことに従いなさい」

「酷いです・・・・・・お父様は変わられました。優しかったお父様はどこにいってしまわれたの?」

「ふん! ローラ様のお父様は私の夫になったのです。もうローラ様のお父様じゃないのです」

「そうよ。もうお義姉様のお父様じゃないわ。私のお父様よ」

 マリアが私に侮蔑の眼差しを向けて、コロコロと楽しげな笑い声をあげた。

「ははは。二人とも愛しているよ。マーガレットとマリアの好きなように振る舞えば良い。ここはお前達の屋敷だ」

「ふふふ。お姉様、早速お部屋を私に譲ってくださらない? お姉様のお部屋は広くて日当たりもいいし、家具もおしゃれで素敵だわ。それは全て、私のものになるべきだと思うの」

「そうね、あの部屋はマリアの物だわ。ローラー様はメイド部屋に移ってそこで反省なさってくださいね。当分はメイドとして精進して、心の曇りを綺麗にすることですわ。性格が悪すぎますからね」



*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
参考登場人物


ローズ:ローラの母
ローラ:ヒロイン
マーガレット:継母
マリア:マーガレットの連れ子
ミリー:メイドの一人



エンスパイア・スタイル
自然な女性的なラインを表現した細くて直線的なファッションスタイル

※この小説は歴史的史実には全くもとづきませんので、ファッションの流行の変遷は史実どおりではありません。
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