(完)実の妹が私を嵌めようとするので義理の弟と仕返しをしてみます

青空一夏

文字の大きさ
1 / 4

1 麗しの妹は嘘を吐く(いつものことです)

しおりを挟む
 
「お姉様が私のブローチを盗りました。ひどいです !」

 それはもともと私のブローチで、ひと月程前にダーシーがあまりに欲しがったのであげました。それなのに自室の宝石箱にも入れず、サロンにあるピアノの上に置きっぱなしだったので私が片付けました。

「もういらないのかと思ったのよ。だって、ひと月も放置していたら普通はそう思うでしょう?」

「いいえ! もらった物をどう扱おうと私の自由なはずです。それを勝手に片付けるなんて泥棒と一緒ですよね!」

――え? だから、なぜそうなるの? 

「お父様に言いつけてやるんだから! お父様は亡きお母様に生き写しの私を、お姉様よりも可愛がっていますもの!」

――よく、把握していますね。その通りですよ。


バタバタバタバタ。ダーシーがすごい剣幕でお父様の所に移動します。よく走って元気ですこと!



「お父様ぁーー。お姉様が私のブローチを盗ったのぉーー」

 執務室から漏れ聞こえる猫なで声にため息がでてきますね。ほどなくして怒りの表情をたたえたお父様がやって来ました。

「お前はなぜいつも妹を虐めるんだ! ダーシーは王太子殿下の許嫁なのだぞ? 意地悪をして困るのはお前だからな」

 ダーシーはお父様の後ろで舌を出しています。

ーーまぁ、いいです。お父様にはなにを言っても無駄。

「申し訳ありませんでした」
 謝った私に「今日の夕食は抜きだ」のお父様の今月に入ってもう4回目の宣言です。

――へいへい。慣れましたよっと。

 私は自室で寝そべって可愛い弟が来るのを待っていました。

「お姉さま。大丈夫? 安心して。僕ね、コックさんと仲良しだから。お姉さまのぶんは僕が持って来てあげたよ。パンとスープとサラダしか持って来れなかったけれど・・・・・・スープには特別に余ったお肉と野菜を入れて煮込んであげたよ。コンソメスープだったからバターと小麦粉練って、ミルクを加えてね・・・・・・クリームシチューにしてみたんだ。メインディッシュがなくてごめんね」


「ふふっ。美味しい! このシチューがメインディッシュよ。ありがとう!アルバート」

「いいんだよ。それにしてもダーシーお姉様は酷いね ! ダーシお姉様なんて夜中じゅうお腹でも壊せば良いんだ」

 物騒なことを言う弟は本当の弟ではありません。数ヶ月前にエジャートン候爵家に引き取られた遠縁の子なのでした。

「あら、怖いことを言ってはダメよ。あれでもあなたのお姉様でもあるのだから」

 その夜お隣のダーシーの部屋からは一晩中、うめき声が聞こえていました。

「お腹、いたぁーーい。なんでかしら? 下痢が・・・・・ひゃぁーー」
 切羽詰まった声が時折聞こえ、ダーシーに天罰が下ったことがわかりました。

「うん、神様っているのですわねぇ」
 翌朝私が感心していると弟は爽やかな笑顔で微笑んだのでした。

「まさか、なにもしていないわよねぇ?」

「助けてあげただけだよ? 乳酸菌飲料をダーシーお姉様のスープに入れてあげたよ。便秘だと以前言っていたから乳酸菌でお通じがよくなるはずでしょ? ・・・・・ちょっとだけ賞味期限切れてたかもだけど・・・・・・」

「ぷ。あっはははは。大丈夫? 死なないわよね?」

「はい。死ぬほど痛いかもしれませんが、死にはしません」

 美しい顔をにこにこと微笑ませて言ったアルバートは実の妹よりも私の家族なのでした。


しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

姉から全て奪う妹

明日井 真
ファンタジー
「お姉様!!酷いのよ!!マリーが私の物を奪っていくの!!」 可愛い顔をした悪魔みたいな妹が私に泣きすがってくる。 だから私はこう言うのよ。 「あら、それって貴女が私にしたのと同じじゃない?」 *カテゴリー不明のためファンタジーにお邪魔いたします。

私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい

あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。 誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。 それが私の最後の記憶。 ※わかっている、これはご都合主義! ※設定はゆるんゆるん ※実在しない ※全五話

姑に嫁いびりされている姿を見た夫に、離縁を突きつけられました

碧井 汐桜香
ファンタジー
姑に嫁いびりされている姿を見た夫が、嬉しそうに便乗してきます。 学園進学と同時に婚約を公表し、卒業と同時に結婚したわたくしたち。 昔から憧れていた姑を「お義母様」と呼べる新生活に胸躍らせていると、いろいろと想定外ですわ。

断罪イベントの夢を見たから、逆ざまあしてみた

七地潮
ファンタジー
学園のパーティーで、断罪されている夢を見たので、登場人物になりきって【ざまぁ】してみた、よくあるお話。 真剣に考えたら負けです。 ノリと勢いで読んでください。 独自の世界観で、ゆるふわもなにもない設定です。 なろう様でもアップしています。

妹はわたくしの物を何でも欲しがる。何でも、わたくしの全てを……そうして妹の元に残るモノはさて、なんでしょう?

ラララキヲ
ファンタジー
 姉と下に2歳離れた妹が居る侯爵家。  両親は可愛く生まれた妹だけを愛し、可愛い妹の為に何でもした。  妹が嫌がることを排除し、妹の好きなものだけを周りに置いた。  その為に『お城のような別邸』を作り、妹はその中でお姫様となった。  姉はそのお城には入れない。  本邸で使用人たちに育てられた姉は『次期侯爵家当主』として恥ずかしくないように育った。  しかしそれをお城の窓から妹は見ていて不満を抱く。  妹は騒いだ。 「お姉さまズルい!!」  そう言って姉の着ていたドレスや宝石を奪う。  しかし…………  末娘のお願いがこのままでは叶えられないと気付いた母親はやっと重い腰を上げた。愛する末娘の為に母親は無い頭を振り絞って素晴らしい方法を見つけた。  それは『悪魔召喚』  悪魔に願い、  妹は『姉の全てを手に入れる』……── ※作中は[姉視点]です。 ※一話が短くブツブツ進みます ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げました。

お姉様は嘘つきです! ~信じてくれない毒親に期待するのをやめて、私は新しい場所で生きていく! と思ったら、黒の王太子様がお呼びです?

朱音ゆうひ@『桜の嫁入り』発売中です
恋愛
男爵家の令嬢アリシアは、姉ルーミアに「悪魔憑き」のレッテルをはられて家を追い出されようとしていた。 何を言っても信じてくれない毒親には、もう期待しない。私は家族のいない新しい場所で生きていく!   と思ったら、黒の王太子様からの招待状が届いたのだけど? 別サイトにも投稿してます(https://ncode.syosetu.com/n0606ip/)

水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?

ラララキヲ
ファンタジー
 わたくしは出来損ない。  誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。  それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。  水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。  そんなわたくしでも期待されている事がある。  それは『子を生むこと』。  血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……  政略結婚で決められた婚約者。  そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。  婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……  しかし……──  そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。  前世の記憶、前世の知識……  わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……  水魔法しか使えない出来損ない……  でも水は使える……  水……水分……液体…………  あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?  そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──   【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】 【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】 【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

処理中です...