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アリッサのおバカな言動で愛を確かめ合うノーランとディダ(バイオレット王女)
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ーーバイオレット王女(ディダ視点)ーー
「お帰りなさい!ノーランさまぁーー」
相変わらずの美しい男性しか目に入らないアリッサは満面の笑みで、意味不明な言葉を口にして小首を傾げ小動物のような愛らしさを演出していた。
これは、観光も混じった”ブロンディ王国の王女の結婚式見物”と王様は旅の途中で教えてくださった。皮肉なものだ。バイオレット王女の人生は捨てディダとして生きなければならない私が再び祖国に戻り、私を追い出した妹とジェイデン様との結婚式に参加するとは・・・・・・
ノーラン様は、さきほどのアリッサの言葉を完璧に無視して私のお父様に挨拶をしている。お母様とアリッサはその間じゅう、私の姿をジロジロと上から下まで眺めているのだった。
アリッサは天使のような無邪気な笑顔を浮かべて私に近づいてきて、
「ねぇ、貴女のそのストール素敵ねぇ。私にくださらない? それとあの者が抱いている茶色い生き物も欲しいですぅ」
アリッサは私の子犬のディーを指さしてにっこりしたのだった。
「その茶色い毛玉のような生き物は、初めて見ました。子猫ではないのですね?犬でこれほど小さいとは!私も欲しい。他にはいないのですか?」
お母様まで、前のめりになってディーに触ろうとするのだった。背後では、宰相のふりをしたトリスタン王とディビット様の忍び笑いが聞こえてきた。アリッサのこのような振る舞いは、ブロンディ王国を貶め他の国々からバカにされることになるのだ。
「口の聞き方に気をつけなさい。次期女王のはずの貴女がそのような振る舞いをして恥ずかしいことです」
思わず、言ってしまって後悔した。私は、バイオレット王女ではなくただの愛妾なのに・・・・・・
「なんですって? 貴女はただの王太子妃候補でしょう? 候補なら、ただの貴族の娘なのでしょう? 次期女王に向かって無礼でしょう?」
アリッサは、私をにらみつけ、ディーを侍女から無理矢理、奪い取るとぎゅっと抱きしめた。
「その無礼な言葉はこの犬で帳消しにしてあげるわ! 感謝しなさいよ」
このアリッサの言動に、ノーラン様がさきほどから放っていた黒いオーラに殺気が加わったのを感じた。
背後のトリスタン王とディビット様は、珍しい生き物を見るような眼差しでアリッサを観察していたのだった。
ーーノーラン(カルロス王国の王太子)視点ーー
「お帰りなさい! ノーランさまぁー」
アリッサ王女は私に駆け寄ってきて、そう言った気がしたがこれはきっと幻覚だろう。一国の女王になろうという王女が、そのようなことを言うはずがない。
昨日の父上達と飲んだ酒がまだ体内に残っているのかもしれない。そう思っていたところに、次々とこの王女がわけのわからないことを言い出したのだ。
「ねぇ、貴女のそのストール素敵ねぇ。私にくださらない? それとあの者が抱いている茶色い生き物も欲しいですぅ」
(は? この王女は正気ではないのか? なぜ、この王女を病院に閉じ込めない?)
「なんですって? 貴女はただの王太子妃候補でしょう? 候補なら、ただの貴族の娘なのでしょう? 次期女王に向かって無礼でしょう?」
「その無礼な言葉はこの犬で帳消しにしてあげるわ! 感謝しなさいよ」
アリッサ王女が放ったこれらの言葉に、私は我慢の限界を超えた。
「この女性は候補ではない。私の唯一、心から愛する女性だ。彼女こそ王太子妃だ。カルロス王国の王太子妃に向かってお前こそ無礼であろう! それと、その子犬は私が愛する妃のためにプレゼントしたものだ。返してもらおうか」
全く、いかれた王女とその母親め! それを見て父親も注意しないとは・・・・・・この国も終わったな。ふとディダを見ると、嬉しそうに私に微笑んでいた。
これ、もしかしたら私はディダにプロポーズしたことになるのでは・・・・・・こんなどさくさに紛れてではなくもっとロマンチックにしようと思っていたのに・・・・・・
ディダの後ろにいた父上は、にんまりとして私をおかしそうに見ていた。宰相のディビットも意味深な笑みを浮かべている。
待てよ、・・・・・・ディダの先ほどの言葉はこの国の女王が言うような言葉だった・・・・・・ということは・・・・・・あぁ、やっと気がついたよ。父上、貴方の策略は大成功だ。
「お帰りなさい!ノーランさまぁーー」
相変わらずの美しい男性しか目に入らないアリッサは満面の笑みで、意味不明な言葉を口にして小首を傾げ小動物のような愛らしさを演出していた。
これは、観光も混じった”ブロンディ王国の王女の結婚式見物”と王様は旅の途中で教えてくださった。皮肉なものだ。バイオレット王女の人生は捨てディダとして生きなければならない私が再び祖国に戻り、私を追い出した妹とジェイデン様との結婚式に参加するとは・・・・・・
ノーラン様は、さきほどのアリッサの言葉を完璧に無視して私のお父様に挨拶をしている。お母様とアリッサはその間じゅう、私の姿をジロジロと上から下まで眺めているのだった。
アリッサは天使のような無邪気な笑顔を浮かべて私に近づいてきて、
「ねぇ、貴女のそのストール素敵ねぇ。私にくださらない? それとあの者が抱いている茶色い生き物も欲しいですぅ」
アリッサは私の子犬のディーを指さしてにっこりしたのだった。
「その茶色い毛玉のような生き物は、初めて見ました。子猫ではないのですね?犬でこれほど小さいとは!私も欲しい。他にはいないのですか?」
お母様まで、前のめりになってディーに触ろうとするのだった。背後では、宰相のふりをしたトリスタン王とディビット様の忍び笑いが聞こえてきた。アリッサのこのような振る舞いは、ブロンディ王国を貶め他の国々からバカにされることになるのだ。
「口の聞き方に気をつけなさい。次期女王のはずの貴女がそのような振る舞いをして恥ずかしいことです」
思わず、言ってしまって後悔した。私は、バイオレット王女ではなくただの愛妾なのに・・・・・・
「なんですって? 貴女はただの王太子妃候補でしょう? 候補なら、ただの貴族の娘なのでしょう? 次期女王に向かって無礼でしょう?」
アリッサは、私をにらみつけ、ディーを侍女から無理矢理、奪い取るとぎゅっと抱きしめた。
「その無礼な言葉はこの犬で帳消しにしてあげるわ! 感謝しなさいよ」
このアリッサの言動に、ノーラン様がさきほどから放っていた黒いオーラに殺気が加わったのを感じた。
背後のトリスタン王とディビット様は、珍しい生き物を見るような眼差しでアリッサを観察していたのだった。
ーーノーラン(カルロス王国の王太子)視点ーー
「お帰りなさい! ノーランさまぁー」
アリッサ王女は私に駆け寄ってきて、そう言った気がしたがこれはきっと幻覚だろう。一国の女王になろうという王女が、そのようなことを言うはずがない。
昨日の父上達と飲んだ酒がまだ体内に残っているのかもしれない。そう思っていたところに、次々とこの王女がわけのわからないことを言い出したのだ。
「ねぇ、貴女のそのストール素敵ねぇ。私にくださらない? それとあの者が抱いている茶色い生き物も欲しいですぅ」
(は? この王女は正気ではないのか? なぜ、この王女を病院に閉じ込めない?)
「なんですって? 貴女はただの王太子妃候補でしょう? 候補なら、ただの貴族の娘なのでしょう? 次期女王に向かって無礼でしょう?」
「その無礼な言葉はこの犬で帳消しにしてあげるわ! 感謝しなさいよ」
アリッサ王女が放ったこれらの言葉に、私は我慢の限界を超えた。
「この女性は候補ではない。私の唯一、心から愛する女性だ。彼女こそ王太子妃だ。カルロス王国の王太子妃に向かってお前こそ無礼であろう! それと、その子犬は私が愛する妃のためにプレゼントしたものだ。返してもらおうか」
全く、いかれた王女とその母親め! それを見て父親も注意しないとは・・・・・・この国も終わったな。ふとディダを見ると、嬉しそうに私に微笑んでいた。
これ、もしかしたら私はディダにプロポーズしたことになるのでは・・・・・・こんなどさくさに紛れてではなくもっとロマンチックにしようと思っていたのに・・・・・・
ディダの後ろにいた父上は、にんまりとして私をおかしそうに見ていた。宰相のディビットも意味深な笑みを浮かべている。
待てよ、・・・・・・ディダの先ほどの言葉はこの国の女王が言うような言葉だった・・・・・・ということは・・・・・・あぁ、やっと気がついたよ。父上、貴方の策略は大成功だ。
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