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晩餐会で負けた(アリッサ王女視点)

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 私は、あの小さな子犬がたまらなく欲しかったのにお預けを食らってしまった。

「なによぉ、犬ぐらいくれたっていいじゃない! ケチんぼめぇ!」

 私は自分の部屋で、ベッドに身を投げてさっきの屈辱を思い出していた。でも、このネックレスでちょっと良い気分なんだ。

 宰相の秘書だっけ? 優しいおじさんが、プレゼントをくれた。ダイヤがいっぱい散りばめられたすっごく豪華なネックレスに驚いてしまった。

 こんなネックレスはブロンディ王国ではカミラ女王だってしていなかった。もっとも、お婆様はしけた概念の持ち主で贅沢なものはあまり持とうとしなかったけれど。

 私は、今日の晩餐会にこれをしようと思う。そうよ、その為にこそ、これをくれたのだと気がついた。早速、この為に新調したドレスを着てみた。

 オレンジ色の鮮やかなドレスでレースがそこかしこに付いていて、飾りリボンだって裾にぐるりとつけさせたんだから! これ以上は飾りが付けられないと、デザイナーが言うほど豪華なドレスは私を天使のようにかわいく見せていた。

 これで、あのかっこいいけれど、いけ好かないノーラン様も私の虜になるはずよ。ふふふ。あのちょっと美人な王太子妃候補なんて目じゃないわぁ。


*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*


晩餐会で、ジェイデンはすごく顔色が悪かった。

「どうかした? 具合でも悪いの?」

 問いかけても、首を横に振るだけで、なにも言わないのよ。ふん、まぁ、いいけど・・・・・・ジェイデンより、やっぱりあのノーラン様の方が、数百倍かっこいいってわかったから・・・・・・ジェイデンがお腹が痛いのなんて気にならないわ。だって、どうせ、お腹でも壊したのだと思うの。全然、目の前のご馳走に手を付けないのですもの。


 私のドレスを他国の王族達が、羨ましそうに見ていてすごく得意だった。ところが、カルロス王国のノーラン様とあの女が遅れて晩餐会の会場に入って来た途端に、全ての視線があの女に集中した。

 その女のドレスは私と同じ色のオレンジ。すっきりシンプルなデザインで、貧乏くさいと思ったら、全然違った! 裾にはダイヤが満遍なく縫い付けられ、歩くたびにキラキラと輝いていた。そして、その胸元には、私がもらったネックレスの100倍は価値がありそうな大粒のダイヤが燦然と輝いていた。

 なによ? あの大粒のダイヤ? あんなの見たことない! それにあのドレス! 体にそったシンプルなデザインはあの女のプロポーションの良さを際立たせている! しかも、下品には見えずあくまで上品なのはどうしてよ?

 あぁ、あの腕輪もダイヤがたっぷり使われているじゃない。イヤリングも!あぁーー、あぁーー、もぉーー!
しかも、あのティアラはなによ! ダイヤだけじゃない。ルビーもサファイアもエメラルドも! ありとあらゆる宝石が使われてこの世の贅沢が凝縮されているじゃないの!! あれひとつで、城のひとつやふたつは軽く建てられそう・・・・・・負けた・・・・・・なによぉーー。あのティアラ・・・・・・欲しいよぉ。





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