12 / 23
12 『恋人その2様』はどうしたのかしら?
しおりを挟む
ここは私とカイド様が慌ただしく結婚式を挙げた十日後のお披露目の会場です。ザヘリー公爵邸の大広間で、高位貴族の貴婦人達に囲まれてお祝いの言葉を頂いていました。
「あらぁーー。カイドの奥様って貴女なの? ふーーん。思っていたより綺麗なのね?」
そこに姿を現したのは、キャサリン・ライダー子爵令嬢でした。どうやら、この方はカイド様の『恋人その1様』のようですね。
「借金だらけの貧弱な男爵令嬢だった方がずいぶんと出世なさったのね? 浅ましいことですわ。どうせ、お金で買われたのでしょう?」
キャサリン様はニヤニヤしながらその大きな胸の谷間を、わざと私に見せつけてきました。さらにこちらに近づいてきた別の女性は、丁寧に私に挨拶をしてくださいます。
「初めまして。あたくしはアイリーン・イヴェット男爵令嬢ですわ。以後、お見知りおきくださいませ」
アイリーン様はきっちりと自己紹介をし、優雅にカーテシーをして見せたのです。確かに、今の私はカイド様の妻なので、身分は上になるのだと思います。
「まぁ、ご丁寧に、ありがとうございます。私はカイド様の妻のアイビーです。仲良くできると嬉しいですわ」
私のその言葉を、アイリーン様は鼻でお笑いになります。
「あいにくですが、仲良くなれるとは思えませんわ。だって、あたくしは・・・・・・」
「あぁ、お待ちになって。みなまでおっしゃらなくてもわかります。えぇっと、アイリーン様は『恋人その2様』でございましょう? それと、こちらのキャサリン様は『恋人その1』様ですね。ところで、アイリーン様はとてもスラリとした素晴らしい美貌ですねぇ。舞台女優やモデルさんのようです」
「へ? まっ、まぁ、確かに私ほど美しい女はそうはいませんわ。ですから、私こそはカイド様に相応しいと思いますわ」
アイリーン様は得意そうにおっしゃいます。
「カイド様に相応しいねぇ。ちょっと、お二人で並んでいただけますか? うーーん、確かに美男美女で素晴らしいバランスです! よろしいんじゃないでしょうか? お似合いですね」
カイド様の銀髪とアイリーン様の金髪の対比が絶妙で、同じく美しいアメジストの瞳を持っています。まるでひと組のお人形さんのように見えるのでした。素晴らしい芸術品だと思います。
「でしたら、カイド様の妻の座を代わっていただけませんこと?」
これはお仕事なのです。妻の座には私の大事なお給料がかかっていますので、簡単に引き下がるわけにはまいりません。
「それは困ります。ですが、アイリーン様の存在は認めてさしあげます。もし、カイド様のお子様を懐妊なさったら私たちの養子にしたいです。きっと、見目麗しい子どもができますわね? 美男美女ですもの! とても楽しみにしていますわ」
私はカイド様の子供を妊娠することはありません。なので、代わりに生んでくださればとても好都合です。そう考えると、ついアイリーン様を応援したくなりました。
「アイリーン様! 恋人は他に4人いましてよ? ぜひ、頑張って勝ち抜いて、元気な赤ちゃんを生んでくださいねっ!」
「うっ・・・・・・うわぁぁぁーーん」
涙目になったアイリーン様は、泣きながら大広間から走り去ってしまいました。
(いったい、どうされたのでしょうか? 夫人方が愉快そうに笑うのはなぜでしょう?)
すっかり高位貴族の奥方様たちに気に入られた私なのでした。
「あらぁーー。カイドの奥様って貴女なの? ふーーん。思っていたより綺麗なのね?」
そこに姿を現したのは、キャサリン・ライダー子爵令嬢でした。どうやら、この方はカイド様の『恋人その1様』のようですね。
「借金だらけの貧弱な男爵令嬢だった方がずいぶんと出世なさったのね? 浅ましいことですわ。どうせ、お金で買われたのでしょう?」
キャサリン様はニヤニヤしながらその大きな胸の谷間を、わざと私に見せつけてきました。さらにこちらに近づいてきた別の女性は、丁寧に私に挨拶をしてくださいます。
「初めまして。あたくしはアイリーン・イヴェット男爵令嬢ですわ。以後、お見知りおきくださいませ」
アイリーン様はきっちりと自己紹介をし、優雅にカーテシーをして見せたのです。確かに、今の私はカイド様の妻なので、身分は上になるのだと思います。
「まぁ、ご丁寧に、ありがとうございます。私はカイド様の妻のアイビーです。仲良くできると嬉しいですわ」
私のその言葉を、アイリーン様は鼻でお笑いになります。
「あいにくですが、仲良くなれるとは思えませんわ。だって、あたくしは・・・・・・」
「あぁ、お待ちになって。みなまでおっしゃらなくてもわかります。えぇっと、アイリーン様は『恋人その2様』でございましょう? それと、こちらのキャサリン様は『恋人その1』様ですね。ところで、アイリーン様はとてもスラリとした素晴らしい美貌ですねぇ。舞台女優やモデルさんのようです」
「へ? まっ、まぁ、確かに私ほど美しい女はそうはいませんわ。ですから、私こそはカイド様に相応しいと思いますわ」
アイリーン様は得意そうにおっしゃいます。
「カイド様に相応しいねぇ。ちょっと、お二人で並んでいただけますか? うーーん、確かに美男美女で素晴らしいバランスです! よろしいんじゃないでしょうか? お似合いですね」
カイド様の銀髪とアイリーン様の金髪の対比が絶妙で、同じく美しいアメジストの瞳を持っています。まるでひと組のお人形さんのように見えるのでした。素晴らしい芸術品だと思います。
「でしたら、カイド様の妻の座を代わっていただけませんこと?」
これはお仕事なのです。妻の座には私の大事なお給料がかかっていますので、簡単に引き下がるわけにはまいりません。
「それは困ります。ですが、アイリーン様の存在は認めてさしあげます。もし、カイド様のお子様を懐妊なさったら私たちの養子にしたいです。きっと、見目麗しい子どもができますわね? 美男美女ですもの! とても楽しみにしていますわ」
私はカイド様の子供を妊娠することはありません。なので、代わりに生んでくださればとても好都合です。そう考えると、ついアイリーン様を応援したくなりました。
「アイリーン様! 恋人は他に4人いましてよ? ぜひ、頑張って勝ち抜いて、元気な赤ちゃんを生んでくださいねっ!」
「うっ・・・・・・うわぁぁぁーーん」
涙目になったアイリーン様は、泣きながら大広間から走り去ってしまいました。
(いったい、どうされたのでしょうか? 夫人方が愉快そうに笑うのはなぜでしょう?)
すっかり高位貴族の奥方様たちに気に入られた私なのでした。
182
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
【完結】探さないでください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
私は、貴方と共にした一夜を後悔した事はない。
貴方は私に尊いこの子を与えてくれた。
あの一夜を境に、私の環境は正反対に変わってしまった。
冷たく厳しい人々の中から、温かく優しい人々の中へ私は飛び込んだ。
複雑で高級な物に囲まれる暮らしから、質素で簡素な物に囲まれる暮らしへ移ろいだ。
無関心で疎遠な沢山の親族を捨てて、誰よりも私を必要としてくれる尊いこの子だけを選んだ。
風の噂で貴方が私を探しているという話を聞く。
だけど、誰も私が貴方が探している人物とは思わないはず。
今、私は幸せを感じている。
貴方が側にいなくても、私はこの子と生きていける。
だから、、、
もう、、、
私を、、、
探さないでください。
【完結】旦那様、わたくし家出します。
さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。
溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。
名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。
名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。
登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*)
第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
結婚するので姉様は出ていってもらえますか?
基本二度寝
恋愛
聖女の誕生に国全体が沸き立った。
気を良くした国王は貴族に前祝いと様々な物を与えた。
そして底辺貴族の我が男爵家にも贈り物を下さった。
家族で仲良く住むようにと賜ったのは古い神殿を改装した石造りの屋敷は小さな城のようでもあった。
そして妹の婚約まで決まった。
特別仲が悪いと思っていなかった妹から向けられた言葉は。
※番外編追加するかもしれません。しないかもしれません。
※えろが追加される場合はr−18に変更します。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる