【完結】旦那様、契約妻の私は放っておいてくださいませ

青空一夏

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22 指圧!? 

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 侍女の上にトラビス王子殿下が乗っております。侍女はうつ伏せで、トラビス王子殿下が背中に乗る。そして押しまくっているのは両手の親指でした。

「指圧の極意は親指、親指! ぐいっとツボに押し当てて、グリグリすれば天国、天国♪」

 なにやら楽しそうな歌をうたいながらのトラビス王子殿下は侍女の背中を押し、そのたびに侍女が苦しげな又は気持ち良さそうな声を漏らすのでした。

「トラビス王子殿下。あなたがたは何をなさっているのです?」

 お二人は私に気がつくと、気まずそうに目を逸らします。

「アンネが肩や腰が痛むというのでな。異国の施術に興味があったので、実験台になってもらったのだ」

「そっ、そうですわ! 本当に、私たちにやましいことはありませんっ!」

「わかった! トラビス王子殿下はアレを開業したいのですね。そう言えば、私も異国の指圧というものを本で見たことがありました。『指の魔法整体院』です!」

「え? まぁ、うん。そうかもしれない」

「でも、第三王子殿下は臣籍に下って公爵閣下になりますわね。指圧師になったら王妃殿下が許さない。はっ! だから、ここで隠れて『指の魔法整体院』ごっこをしているのですね? なんて不憫なのでしょう」

 私は王妃殿下に、全てをお話ししてご相談しましたよ。トラビス王子殿下の夢を応援したい! トラビス王子殿下はとても尊いお方です。 他人の身体を気持ちよくして差し上げるなんて、最高のお仕事ですわ!



 ☆彡 ★彡



 後日、私は王妃殿下に呼ばれました。

「アイビー。トラビスは王位継承権を放棄させました。アンネと結婚し『指の魔法整体院』を開業します」

「えっ! それは凄いですね。おふたりで支え合えば、きっと幸せになりますわ」

「アイビーが『真実の愛を貫き人々の健康のために、王位継承権を捨てたトラビス王子』という美談を考えてくれて助かったわ。本当にありがとう! 私はアイビーに頭があがらないわ」

「あのぉ、私は真実をお伝えしただけですけど、王妃殿下が嬉しいと思うことは、私にとっても喜びです」



 そんな出来事があった後、私はイボちゃんとクレオパトラ様のお屋敷に遊びに行きました。

「聞いたわよ。あのトラビス王子、侍女を妊娠させていたそうじゃない?」

 クレオパトラ様がいきなりの爆弾発言です。脚本家になったカイド様のために、日々ゴシップ情報の収集に勤しむクレオパトラ様は良妻賢母です。

「え? そうなの? お二人は指圧をしていて・・・・・・」

 私があの裏庭の件をお話すると、クレオパトラ様とイボちゃんはお腹を抱えて笑いました。

「アイビーちゃん。きっと、ふたりは直前まで・・・・・・をしていたのですわぁ。アイビーちゃんの足音をきいて慌てて指圧ごっこになったのよぉーー。あぁ、私もその現場にいたかった!」

「だけど、トラビス王子殿下も王位継承権剥奪で平民にまでなったってことは、他にもいろいろ余罪があったのかもね」

 クレオパトラ様は怖いことをおっしゃいますね。でも、それは大当たりでした。地味なトラビス王子殿下は「マッサージをしてあげる」と言っては、メイドや侍女に手を出していたそうです。うーーん、平凡な容姿の男性でも、多くの女性に手を出すことはあるのですね。だったら、容姿が良いほうがましなのかもしれません。

 決めました! 私は独身を貫きますわ!

 ということで、可愛いわんちゃんを飼いましたよ。小さくてふわふわの子犬です! この子はもう家族ですわ。私の恋人でもあり息子(わんこはオスです)でもあります。これで独身まっしぐら!

 と思ったら、私にも春が訪れましたぁーー!


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 ※次回、最終回。愛犬家の方に捧げます!
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