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屋根裏部屋の王女様とドライアドの王子の恋物語
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さて、彼らが祈りを捧げている相手はというと‥‥‥木の精霊ドライアドの王子なのでした。
「さて、罰など人間に与えた覚えもないし、そもそもディオール王女が亡くなったなど、どの精霊も言ってなかったが‥‥」
ドライアドの王子はダルトワ王国の城に忍びこみます。城内の広間では、大勢の貴族がきらびやかに着飾り踊っています。贅を尽くした料理が並び、貴族達はそれをガツガツと食べながら朝方までパーティは続くのです。
ドライアドの王子は、美しい貴公子に変身すると城の中を探索します。たくさんの豪華な部屋のなかにはディオール王女の姿はありません。
――本当に死んでいるはずはないのだが‥‥
首を傾げた時にちょうど、粗末な屋根裏部屋からもの音がしました。鍵がかけられたその扉を、難なくそっと開けると柔らかな色合いの金髪にスミレ色の瞳の愛らしい若い女性が、質素なドレスを着て床にすわっていました。
「あなたは、だぁれ?」
声もかわいいこの女性は、ディオール王女その人だったのです。
ドライアドの王子は、ディオール王女に尋ねました。『なぜ、そのような粗末なドレスで寒くて暗い屋根裏部屋にいるのか』と。
「正妃のお母様が亡くなってからは、ずっとここにいます。お父様が、私は不義の子だとおっしゃってここに閉じ込めました。最近、発覚したとかで‥‥そんなことは全く信じられません。お母様は、そのようなことをする女性ではありませんでした」
「ふん。なんたる卑劣な王だ。死人に口なしだからな。正妃様が亡くなってから罪をでっち上げるとは‥‥しかも、君は民衆には死んだことにされている」
「そうでしたか‥‥では、きっと私がお母様のもとに行くのはもうすぐですね。私は殺されるのでしょう」
利発そうな口調で穏やかに話す王女様を王子は、じっと見つめている。
「ならば、ドライアドの王子である私の妃になりませんか?」
「私は精霊ではありません。きっと、そちらでは暮らせません。それに、民衆に重税を課しているというお父様をそのままにして逃げるわけにはいきません」
「では、どうすると仰るのですか?」
「私のこの手で、お父様を亡き者にしますわ。どうせ、私はもう死んだことになっているのでしょう?ならば、お父様を殺して罪人になり処刑されましょう」
美しく愛らしいディオール王女が、真珠のような涙をこぼしています。
それを聞いたドライアドの王子は、すぐさま森に戻り父である精霊王に呼びかけた。
「父上、私を精霊界から追放してください。この国の正妃の産んだディオール王女様と結婚し、この国を治めたいと思います」
「お前は永遠の命を捨てるのか?人間の命など100年もないのだぞ!」
「充分です。愛する女性といられるのなら本望です。私がこの国を賢く治めれば、この国は豊かになり私は人々の心の中で永遠に生きられる」
ドライアドの王子は、きっぱりとした口調で、そう言うと満足げに微笑んだのです。
王と側妃とその王女は国外に追放され、ドライアドの王子とディオール王女が国を治めました。生涯仲睦まじく暮らし、国は繁栄し人々は幸せに暮らしました。とさ。
「さて、罰など人間に与えた覚えもないし、そもそもディオール王女が亡くなったなど、どの精霊も言ってなかったが‥‥」
ドライアドの王子はダルトワ王国の城に忍びこみます。城内の広間では、大勢の貴族がきらびやかに着飾り踊っています。贅を尽くした料理が並び、貴族達はそれをガツガツと食べながら朝方までパーティは続くのです。
ドライアドの王子は、美しい貴公子に変身すると城の中を探索します。たくさんの豪華な部屋のなかにはディオール王女の姿はありません。
――本当に死んでいるはずはないのだが‥‥
首を傾げた時にちょうど、粗末な屋根裏部屋からもの音がしました。鍵がかけられたその扉を、難なくそっと開けると柔らかな色合いの金髪にスミレ色の瞳の愛らしい若い女性が、質素なドレスを着て床にすわっていました。
「あなたは、だぁれ?」
声もかわいいこの女性は、ディオール王女その人だったのです。
ドライアドの王子は、ディオール王女に尋ねました。『なぜ、そのような粗末なドレスで寒くて暗い屋根裏部屋にいるのか』と。
「正妃のお母様が亡くなってからは、ずっとここにいます。お父様が、私は不義の子だとおっしゃってここに閉じ込めました。最近、発覚したとかで‥‥そんなことは全く信じられません。お母様は、そのようなことをする女性ではありませんでした」
「ふん。なんたる卑劣な王だ。死人に口なしだからな。正妃様が亡くなってから罪をでっち上げるとは‥‥しかも、君は民衆には死んだことにされている」
「そうでしたか‥‥では、きっと私がお母様のもとに行くのはもうすぐですね。私は殺されるのでしょう」
利発そうな口調で穏やかに話す王女様を王子は、じっと見つめている。
「ならば、ドライアドの王子である私の妃になりませんか?」
「私は精霊ではありません。きっと、そちらでは暮らせません。それに、民衆に重税を課しているというお父様をそのままにして逃げるわけにはいきません」
「では、どうすると仰るのですか?」
「私のこの手で、お父様を亡き者にしますわ。どうせ、私はもう死んだことになっているのでしょう?ならば、お父様を殺して罪人になり処刑されましょう」
美しく愛らしいディオール王女が、真珠のような涙をこぼしています。
それを聞いたドライアドの王子は、すぐさま森に戻り父である精霊王に呼びかけた。
「父上、私を精霊界から追放してください。この国の正妃の産んだディオール王女様と結婚し、この国を治めたいと思います」
「お前は永遠の命を捨てるのか?人間の命など100年もないのだぞ!」
「充分です。愛する女性といられるのなら本望です。私がこの国を賢く治めれば、この国は豊かになり私は人々の心の中で永遠に生きられる」
ドライアドの王子は、きっぱりとした口調で、そう言うと満足げに微笑んだのです。
王と側妃とその王女は国外に追放され、ドライアドの王子とディオール王女が国を治めました。生涯仲睦まじく暮らし、国は繁栄し人々は幸せに暮らしました。とさ。
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