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1 壊れた結婚生活

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 私とアランは結婚3年目。子供はなかなかできないが、今までの彼はそんなことは気にしないと言ってくれていた。

「僕とアナスタシアが愛し合っていれば、子供ができなくても幸せに暮らせるよ。養子をとる方法だってあるしね」

 そんなふうに気遣ってくれる夫に感謝し、私は伯爵夫人としての勤めを立派にこなそうと、社交界でのお付き合いも夫人同士のお茶会にも積極的に参加していた。

 イーサ伯爵家の領地では陶器作りが盛んで、特にその優美なティーカップ&ソーサーは、抜群の人気を誇っていた。この人気のティーカップ&ソーサーは、ここに嫁いできてから全て私がデザインしたものだった。

 王都の屋敷で暮す私のイーサ伯爵夫人としての役割はこのティーカップ&ソーサーのお披露目と売り込み。希望があれば特注でその方だけのティーカップもデザインする。それはとても高値で取引され、イーサ伯爵家の重要な収入源にもなっていた。


 ところが最近のアランは私に、
「イーサ伯爵夫人とし全く役立たずだよね? 子供ができないのはなぜなんだ! 爵位を継ぐ子供を産むことこそが女の役目なのに!」
 そんな言葉を投げつけてくるようになったのだ。

「役立たず? 私がデザインしたものがどれぐらいの収益をあげているのかわかっている?」

「あぁ、最近のそういう得意気な様子もうんざりだよ」

 王宮内での役職にも就いているアランは月の半分は王都にいるが、王宮に出仕する必要がない日は領地の屋敷にいることが多くなった。そこには前伯爵夫妻が住んでいる。つまり私の義両親のことだ。

 


 感謝祭は家族や親戚が集まってご馳走を食べて祝う日だが、今まではイーサ伯爵家の領地で義両親や夫側の親戚達が集まり祝っていた。

「今回はアナスタシアは領地に戻らなくて良いよ。僕一人でいつものように帰るから。来なくていい!」

「えっ! どうして?」

「さぁ、どうしてだろうなぁ? 自分の胸に手をあてて考えてみろよ。僕のアナスタシアに対する思いやりだよ。なかなか子供が産まれないだろう? 行けば俺の両親や親戚に孫の顔をまだ見せられない不甲斐ない嫁って責められるよね? そんなの嫌だろう?」

 なぜ最近になってやたらに子供ができないことを責めだすのか? なぜ、そんなにも領地の屋敷に行かせたがらないのか?

 私は真相が知りたくて夫には黙って感謝祭当日に、領地に戻ることにした。領地の屋敷に戻ると華やかにかざりつけられた庭園には大きなテーブルがいくつも並び、感謝祭のご馳走が所狭しと並べられていた。

 夫側の親戚一同が楽しげにおしゃべりをしている中央に、お腹の大きな妊婦がこの屋敷の女主人のように振る舞い幸せそうな微笑みを浮かべていたのだった。

ーーあれは・・・・・・だれ?

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