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1 ここまで尽くした私に婚約破棄ですか?
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私はウォルポール伯爵家の四女。ウォルポール伯爵家は貧乏の子だくさんを地で行く家でした。四男四女の一番末っ子、それが私ルーナ・ウォルポール伯爵令嬢。
この世界では貴族同士の結婚にはとてもお金がかかるの。特に女性が爵位持ちの嫡男に嫁ぐには、それなりの持参金がいるのです。
そんなお金など到底用意できないウォルポール家、当然家柄の良い嫡男様などには嫁げるわけもなく、私は自分で生きていくために幼い頃から女官を目指していました。
「本当にルーナは優秀ね! きっと女官になれるわ!」
お母様もそうおっしゃってくださり、私は誇らしさでいっぱいになりました。家は貧しかったのですが成績が良かった私は、貴族学園に王立奨学金で行くことができました。
そこで出会ったのがマックス・オズボーンです。彼はオズボーン子爵家の三男で、大人しい草食系男子でした。私はどういうわけかあまり覇気のない、いわゆるダメな男が好きなようでした。
「マックスなんてどこがいいの? 優柔不断で男らしさの欠片もないじゃない?」
親友にそう言われても頼られると頑張ってしまう女、それが私です。貧乏な家系ですし家族の誰もがふわっとした性格ですから、自分がしっかりしないと生きてはいけないのです。
末っ子で兄姉達のいろいろな失敗を見ていました。どうすれば成功できるか研究することができたので効率よく勉強もできましたし、人間関係もしてはいけないことは姉達の失敗談から学びました。 そう言う意味では兄姉達がいて、とてもラッキーでした。
けれど、その副産物として不出来な人を見守りたいという性癖がついたようです。・・・・・・情けなや・・・・・・
それで、私の彼がマックス。当然、不出来でございました! 彼はあまり頭が良くないし努力が苦手、ずぼらなところのある男性でした。けれど私には優しく微笑んだ時に口元から覗く八重歯がキュートだったのです。
さて、マックスも文官を目指しておりましたが不合格。次の年も落ちました。清々しいほどのダメ男ですよねぇ。
「僕、生きていて恥ずかしいよ。両親も僕を能なしと言うし家からも追い出されて・・・・・・」
彼は私が借りていた部屋に転がり込み、ずっと住みついてしまったのでした。
女官のお給料は年収1,500万フラン。そこらの男性の年収よりずっと多いのでした。それにひきかえ彼は無職。当然生活費の全ては私が出していました。
「僕、文官は無理っぽい。貴族学園の講師になろうと思う」
いきなりの方向転換を3年目にし、もちろん応援しておりましたが受けた貴族学園のどこにも採用されません。彼は自暴自棄になり、いっときは精神のバランスまで崩し病院通い。もちろん私が支えましたとも!
そうしてやっと次の年には講師になれて、その仕事に慣れるまではたくさんの愚痴を聞きアドバイスも散々してあげた私です。
それから3年、彼にしてはずいぶん頑張ったようです。その学園の名物講師になり人気もうなぎ登り、お給料もやっと私に追いつくようになりました。
そして苦節8年目の二週間前に、やっとプロポーズしてもらいこの世の春を味わっていた私。結婚式をする教会もドレスもいろいろ手配(もちろん私が)、式は半年後で新居は海の見える高台に購入予定でした。(もちろん私のお金で)
で、今日のディナー(もちろん私が作った)を仲良く食べているとマックスの口から思いも寄らぬ言葉がでてきたのです。
「ルーナってさぁ、もう25だよね? それってもうおばさんじゃん。だからね、結婚するのやめたよ。実はさ、17歳の可愛い子から交際申し込まれたんだ。こんなの断れるはずがないよね? だから、別れて」
「ほぇ? マックス? 私が25になるまで結婚できなかったのはあなたのせいなのだけれど! 普通は学園を卒業して17歳から20歳の間に嫁ぐのが常識だけれど、あなたは文官の試験を落っこちて3年半無職だったでしょう? やっと貴族学園の講師になっても初めのお給料はとても低かったじゃない?」 」
「ほら、また上から目線止めろよ! もう僕はルーナと同じぐらい稼げるんだ。とにかく、ルーナといると母親みたいでウザいんだよぉ。まださ、結婚式のキャンセル料かからないでしょう? キャンセルしといて。あと来週にはこの部屋を出て行くから僕の荷物を詰めるのやら引っ越し作業を協力してくれよ」
「はぁ? 自分で荷物ぐらい詰めやがれ! 来週と言わず、今すぐさっさと出て行ってよ! ここは私の部屋よ。」
この世界では貴族同士の結婚にはとてもお金がかかるの。特に女性が爵位持ちの嫡男に嫁ぐには、それなりの持参金がいるのです。
そんなお金など到底用意できないウォルポール家、当然家柄の良い嫡男様などには嫁げるわけもなく、私は自分で生きていくために幼い頃から女官を目指していました。
「本当にルーナは優秀ね! きっと女官になれるわ!」
お母様もそうおっしゃってくださり、私は誇らしさでいっぱいになりました。家は貧しかったのですが成績が良かった私は、貴族学園に王立奨学金で行くことができました。
そこで出会ったのがマックス・オズボーンです。彼はオズボーン子爵家の三男で、大人しい草食系男子でした。私はどういうわけかあまり覇気のない、いわゆるダメな男が好きなようでした。
「マックスなんてどこがいいの? 優柔不断で男らしさの欠片もないじゃない?」
親友にそう言われても頼られると頑張ってしまう女、それが私です。貧乏な家系ですし家族の誰もがふわっとした性格ですから、自分がしっかりしないと生きてはいけないのです。
末っ子で兄姉達のいろいろな失敗を見ていました。どうすれば成功できるか研究することができたので効率よく勉強もできましたし、人間関係もしてはいけないことは姉達の失敗談から学びました。 そう言う意味では兄姉達がいて、とてもラッキーでした。
けれど、その副産物として不出来な人を見守りたいという性癖がついたようです。・・・・・・情けなや・・・・・・
それで、私の彼がマックス。当然、不出来でございました! 彼はあまり頭が良くないし努力が苦手、ずぼらなところのある男性でした。けれど私には優しく微笑んだ時に口元から覗く八重歯がキュートだったのです。
さて、マックスも文官を目指しておりましたが不合格。次の年も落ちました。清々しいほどのダメ男ですよねぇ。
「僕、生きていて恥ずかしいよ。両親も僕を能なしと言うし家からも追い出されて・・・・・・」
彼は私が借りていた部屋に転がり込み、ずっと住みついてしまったのでした。
女官のお給料は年収1,500万フラン。そこらの男性の年収よりずっと多いのでした。それにひきかえ彼は無職。当然生活費の全ては私が出していました。
「僕、文官は無理っぽい。貴族学園の講師になろうと思う」
いきなりの方向転換を3年目にし、もちろん応援しておりましたが受けた貴族学園のどこにも採用されません。彼は自暴自棄になり、いっときは精神のバランスまで崩し病院通い。もちろん私が支えましたとも!
そうしてやっと次の年には講師になれて、その仕事に慣れるまではたくさんの愚痴を聞きアドバイスも散々してあげた私です。
それから3年、彼にしてはずいぶん頑張ったようです。その学園の名物講師になり人気もうなぎ登り、お給料もやっと私に追いつくようになりました。
そして苦節8年目の二週間前に、やっとプロポーズしてもらいこの世の春を味わっていた私。結婚式をする教会もドレスもいろいろ手配(もちろん私が)、式は半年後で新居は海の見える高台に購入予定でした。(もちろん私のお金で)
で、今日のディナー(もちろん私が作った)を仲良く食べているとマックスの口から思いも寄らぬ言葉がでてきたのです。
「ルーナってさぁ、もう25だよね? それってもうおばさんじゃん。だからね、結婚するのやめたよ。実はさ、17歳の可愛い子から交際申し込まれたんだ。こんなの断れるはずがないよね? だから、別れて」
「ほぇ? マックス? 私が25になるまで結婚できなかったのはあなたのせいなのだけれど! 普通は学園を卒業して17歳から20歳の間に嫁ぐのが常識だけれど、あなたは文官の試験を落っこちて3年半無職だったでしょう? やっと貴族学園の講師になっても初めのお給料はとても低かったじゃない?」 」
「ほら、また上から目線止めろよ! もう僕はルーナと同じぐらい稼げるんだ。とにかく、ルーナといると母親みたいでウザいんだよぉ。まださ、結婚式のキャンセル料かからないでしょう? キャンセルしといて。あと来週にはこの部屋を出て行くから僕の荷物を詰めるのやら引っ越し作業を協力してくれよ」
「はぁ? 自分で荷物ぐらい詰めやがれ! 来週と言わず、今すぐさっさと出て行ってよ! ここは私の部屋よ。」
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