13 / 13
番外編
4 ルーナとイモージェン、イモールンの友情(最終話)
しおりを挟む
私達家族とスコット男爵一家は連れだってその青空旅館を訪れた。
「ようこそ青空旅館へ!! いらっしゃいませ」
仲居さん達がズラッと並んだその奥にイモージェンがにこにこしながら丁寧にお辞儀をしている。
「お父様! お母様も・・・・・・イモールンお姉様・・・・・・来てくださったんですか」
たちまち涙目になるイモージェンに傍らにいた女将さんも嬉しそうにうなづいている。
「こんな嬉しいことはありませんよ。一番いいお部屋に案内いたしますのでどうぞゆっくりと皆さんでお話をなさってください。ジェンちゃん、ここは良いからお母様たちと話しておいで」
「はい! お義母様。ありがとうございます」
イモージェンは本当に女将さんに可愛がられているのがわかる。なんていい職場と嫁ぎ先を見つけたのだろう。
「ルーナ様がね、一緒に行きませんかって誘ってくださったのよ! イモージェン、あんたのことはもう怒ってないしルーナ様も同じ気持ちだそうよ」
イモールンさんが私の気持ちを代弁してくれるのも嬉しい。
「イモールンお姉様! あれからとても反省していて、いつかこんなふうに仲直りできたらって思っていたんです」
イモージェンは嬉し泣きしながらイモールンさんに抱きついていた。イモールンさんも涙ぐむ。そして私も、もらい泣き。家族の絆が回復した瞬間よね。
イモージェンの旦那様のケイラブさんにもご挨拶できて私とイモールンさん、イモージェンは青空旅館に滞在中たくさん話をしたの。
イモールンさんは子供の教育におけるちょっとした悩みを、イモージェンはお客様に対するおもてなしの話でちょっとしたトラブルを、私は女官で財務部だからお役所仕事的な愚痴をこぼしたりしてね。
職種が違うから相手の話も新鮮で学ぶべきことがたくさんあったの。それに女同士で仕事のちょっとした愚痴が吐き出せるってすごく楽しい。もちろん、マイナスの話ばかりではなくて良かったことや感動したことなどもお互いポツポツと話し出していたわ。
青空旅館の大浴場の入浴時間を合わせるまでに仲良くなった私達は一緒に大浴場にも入ったわよ。若女将だから本来はお客様と入浴はしないけれど、今日は特別って女将に許してもらったらしい。スコット男爵夫人もダリアも一緒にお風呂に浸かると、皆がより親しくなれるから不思議ね。
これぞ裸の付き合い。入浴しながらもおしゃべりで盛り上がっているとイモージェンが目を輝かせて言った。
「途中で学園を退学になった私だけれど、女同士の友情ってきっとこんな感じなのかな? 女の子の友人っていなかったから嬉しいです。従業員の女性達とは仲良しだけれど友人とはまた違うし・・・・・・」
イモージェンは少し寂しそうに笑った。
「だったら、私と友人になりましょうよ。あんなことがあったのだからとても縁が深いと思うの。旅館の若女将ってお休みはないの? 今度は我が家に遊びにきてほしいわ。イモールンもね」
イモージェンはまた泣いたし、イモールンさんはそんな妹の頭を撫でていた。仲良し姉妹が復活ね。そして、私には親友が二人できたわ。
イモージェンは両親と姉にも許してもらい幸せそうに笑っていた。ダリアはイモージェンも気に入ったらしく、また来年もここに来ると宣言していた。
それから毎年青空旅館に来るのが恒例になったことは言うまでもないわ。毎年っていうより毎月? もちろん宿代は払っているわよ! 親友の旅館ですもの。女官同士の行事にだってここの宴会場を使うしねw
ということで、
私達の友情と青空旅館に乾杯w!😄♫🌷
🌼おまけ
マックス・オズボーン視点(すっかり職人口調のマックスさんです)
俺はもう職人的な技術を身につけ高所恐怖症は克服していたよ。風車はちょっときつかったから、窓拭きのおじさんになってみたんだ。
「今日は老舗旅館青空の窓拭きだぞ! 老舗旅館だから高層ってほどじゃないが気をつけて拭けよぉーー」
高層建築物清掃業の親方から言われてうなづいた俺だけど、拭いてるうちに見知った顔が雁首揃えてそこにいることに気がついたぜ。
ーーやばいよ。二度と会いたくない奴らじゃねーかよ! スコット男爵一家とルーナ達! 俺だってバレたらすっげ嫌だな。
そう思って深く帽子をかぶりながらも3階の窓を拭いている時だ。イモージェンと目が合ったけれどなんの反応もなく、ルーナともすれ違ったが気づかれなかった。
帰りにあいつらの笑い声が聞こえてきて俺は自分の風貌が全く変わったことに改めて気づかされたんだ。
「ねぇ、あの清掃業のおじさん気持ち悪いわね。ジロジロこちらばかりを見てさぁ。あんなにハゲた皺だらけのおじさんに知り合いなんていないわよね?」
俺は窓ガラスに映った自分を確かめた。確かに最近髪が薄くなっていたし、紫外線にさらされるから日焼けした肌は皺がとても深く刻まれていたよ。
ーーはぁ~~。経年劣化・・・・・・建物だけじゃね~~よなぁ。帰りに顔に塗る日焼け止めクリームでも買ってくかなぁ。焼き鳥でいっぱいひっかけてから帰るかなぁ。
そう思った俺の頭にひやっとした感触が伝わる。上をみるとカラスか・・・・・・最近は女の代わりに鳥に好かれている気がするなぁ。
完
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
最後なんか感動というよりコミカルになっちゃったです。
異世界中世ヨーロッパ風が現代日本風に変貌してしまい申し訳ありません(•́ε•̀;ก)💦
「ようこそ青空旅館へ!! いらっしゃいませ」
仲居さん達がズラッと並んだその奥にイモージェンがにこにこしながら丁寧にお辞儀をしている。
「お父様! お母様も・・・・・・イモールンお姉様・・・・・・来てくださったんですか」
たちまち涙目になるイモージェンに傍らにいた女将さんも嬉しそうにうなづいている。
「こんな嬉しいことはありませんよ。一番いいお部屋に案内いたしますのでどうぞゆっくりと皆さんでお話をなさってください。ジェンちゃん、ここは良いからお母様たちと話しておいで」
「はい! お義母様。ありがとうございます」
イモージェンは本当に女将さんに可愛がられているのがわかる。なんていい職場と嫁ぎ先を見つけたのだろう。
「ルーナ様がね、一緒に行きませんかって誘ってくださったのよ! イモージェン、あんたのことはもう怒ってないしルーナ様も同じ気持ちだそうよ」
イモールンさんが私の気持ちを代弁してくれるのも嬉しい。
「イモールンお姉様! あれからとても反省していて、いつかこんなふうに仲直りできたらって思っていたんです」
イモージェンは嬉し泣きしながらイモールンさんに抱きついていた。イモールンさんも涙ぐむ。そして私も、もらい泣き。家族の絆が回復した瞬間よね。
イモージェンの旦那様のケイラブさんにもご挨拶できて私とイモールンさん、イモージェンは青空旅館に滞在中たくさん話をしたの。
イモールンさんは子供の教育におけるちょっとした悩みを、イモージェンはお客様に対するおもてなしの話でちょっとしたトラブルを、私は女官で財務部だからお役所仕事的な愚痴をこぼしたりしてね。
職種が違うから相手の話も新鮮で学ぶべきことがたくさんあったの。それに女同士で仕事のちょっとした愚痴が吐き出せるってすごく楽しい。もちろん、マイナスの話ばかりではなくて良かったことや感動したことなどもお互いポツポツと話し出していたわ。
青空旅館の大浴場の入浴時間を合わせるまでに仲良くなった私達は一緒に大浴場にも入ったわよ。若女将だから本来はお客様と入浴はしないけれど、今日は特別って女将に許してもらったらしい。スコット男爵夫人もダリアも一緒にお風呂に浸かると、皆がより親しくなれるから不思議ね。
これぞ裸の付き合い。入浴しながらもおしゃべりで盛り上がっているとイモージェンが目を輝かせて言った。
「途中で学園を退学になった私だけれど、女同士の友情ってきっとこんな感じなのかな? 女の子の友人っていなかったから嬉しいです。従業員の女性達とは仲良しだけれど友人とはまた違うし・・・・・・」
イモージェンは少し寂しそうに笑った。
「だったら、私と友人になりましょうよ。あんなことがあったのだからとても縁が深いと思うの。旅館の若女将ってお休みはないの? 今度は我が家に遊びにきてほしいわ。イモールンもね」
イモージェンはまた泣いたし、イモールンさんはそんな妹の頭を撫でていた。仲良し姉妹が復活ね。そして、私には親友が二人できたわ。
イモージェンは両親と姉にも許してもらい幸せそうに笑っていた。ダリアはイモージェンも気に入ったらしく、また来年もここに来ると宣言していた。
それから毎年青空旅館に来るのが恒例になったことは言うまでもないわ。毎年っていうより毎月? もちろん宿代は払っているわよ! 親友の旅館ですもの。女官同士の行事にだってここの宴会場を使うしねw
ということで、
私達の友情と青空旅館に乾杯w!😄♫🌷
🌼おまけ
マックス・オズボーン視点(すっかり職人口調のマックスさんです)
俺はもう職人的な技術を身につけ高所恐怖症は克服していたよ。風車はちょっときつかったから、窓拭きのおじさんになってみたんだ。
「今日は老舗旅館青空の窓拭きだぞ! 老舗旅館だから高層ってほどじゃないが気をつけて拭けよぉーー」
高層建築物清掃業の親方から言われてうなづいた俺だけど、拭いてるうちに見知った顔が雁首揃えてそこにいることに気がついたぜ。
ーーやばいよ。二度と会いたくない奴らじゃねーかよ! スコット男爵一家とルーナ達! 俺だってバレたらすっげ嫌だな。
そう思って深く帽子をかぶりながらも3階の窓を拭いている時だ。イモージェンと目が合ったけれどなんの反応もなく、ルーナともすれ違ったが気づかれなかった。
帰りにあいつらの笑い声が聞こえてきて俺は自分の風貌が全く変わったことに改めて気づかされたんだ。
「ねぇ、あの清掃業のおじさん気持ち悪いわね。ジロジロこちらばかりを見てさぁ。あんなにハゲた皺だらけのおじさんに知り合いなんていないわよね?」
俺は窓ガラスに映った自分を確かめた。確かに最近髪が薄くなっていたし、紫外線にさらされるから日焼けした肌は皺がとても深く刻まれていたよ。
ーーはぁ~~。経年劣化・・・・・・建物だけじゃね~~よなぁ。帰りに顔に塗る日焼け止めクリームでも買ってくかなぁ。焼き鳥でいっぱいひっかけてから帰るかなぁ。
そう思った俺の頭にひやっとした感触が伝わる。上をみるとカラスか・・・・・・最近は女の代わりに鳥に好かれている気がするなぁ。
完
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
最後なんか感動というよりコミカルになっちゃったです。
異世界中世ヨーロッパ風が現代日本風に変貌してしまい申し訳ありません(•́ε•̀;ก)💦
15
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(95件)
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に相応しいエンディング
無色
恋愛
月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。
ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。
さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。
ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。
だが彼らは愚かにも知らなかった。
ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。
そして、待ち受けるエンディングを。
なんでも押し付けてくる妹について
里見知美
恋愛
「ねえ、お姉さま。このリボン欲しい?」
私の一つ下の妹シェリルは、ことある毎に「欲しい?」と言っては、自分がいらなくなったものを押し付けてくる。
しかもお願いっていうんなら譲ってあげる、と上から目線で。
私よりもなんでも先に手に入れておかないと気が済まないのか、私が新品を手に入れるのが気に食わないのか。手に入れてしまえば興味がなくなり、すぐさま私に下げ渡してくるのである。まあ、私は嫡女で、無駄に出費の多い妹に家を食い潰されるわけにはいきませんから、再利用させていただきますが。
でも、見た目の良い妹は、婚約者まで私から掠め取っていった。
こればっかりは、許す気にはなりません。
覚悟しなさいな、姉の渾身の一撃を。
全6話完結済み。
【完結】殿下、私ではなく妹を選ぶなんて……しかしながら、悲しいことにバットエンドを迎えたようです。
みかみかん
恋愛
アウス殿下に婚約破棄を宣言された。アルマーニ・カレン。
そして、殿下が婚約者として選んだのは妹のアルマーニ・ハルカだった。
婚約破棄をされて、ショックを受けるカレンだったが、それ以上にショックな事実が発覚してしまう。
アウス殿下とハルカが国の掟に背いてしまったのだ。
追記:メインストーリー、只今、完結しました。その後のアフターストーリーも、もしかしたら投稿するかもしれません。その際は、またお会いできましたら光栄です(^^)
妹の方がかわいいからと婚約破棄されましたが、あとで後悔しても知りませんよ?
志鷹 志紀
恋愛
「すまない、キミのことを愛することができなくなった」
第二王子は私を謁見の間に連れてきて、そう告げた。
「つまり、婚約破棄ということですね。一応、理由を聞いてもよろしいですか?」
「キミの妹こそが、僕の運命の相手だったんだよ」
「そうですわ、お姉様」
王子は私の妹を抱き、嫌な笑みを浮かべている。
「ええ、私は構いませんけれど……あとで後悔しても知りませんよ?」
私だけが知っている妹の秘密。
それを知らずに、妹に恋をするなんて……愚かな人ですね。
義妹が聖女を引き継ぎましたが無理だと思います
成行任世
恋愛
稀少な聖属性を持つ義妹が聖女の役も婚約者も引き継ぐ(奪う)というので聖女の祈りを義妹に託したら王都が壊滅の危機だそうですが、私はもう聖女ではないので知りません。
婚約破棄ならもうしましたよ?
春先 あみ
恋愛
リリア・ラテフィール伯爵令嬢の元にお約束の婚約破棄を突き付けてきたビーツ侯爵家嫡男とピピ男爵令嬢
しかし、彼等の断罪イベントは国家転覆を目論む巧妙な罠!?…だったらよかったなぁ!!
リリアの親友、フィーナが主観でお送りします
「なんで今日の今なのよ!!婚約破棄ならとっくにしたじゃない!!」
………
初投稿作品です
恋愛コメディは初めて書きます
楽しんで頂ければ幸いです
感想等いただけるととても嬉しいです!
2019年3月25日、完結致しました!
ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
🤣🤣🤣
このお話でも
名言ありましたね〜!
男は、ではなくあなたのような種類の男は です
まさしくその通り
後ろ暗いことのある人は
自身の属するカテゴリーの人間全てが
己と同等の卑しい行いをするものだ
と言い放ち
自分の間違った行為を正当化させようとする
少し考えれば、穴だらけの愚かな理屈
屁理屈ともいえぬご都合主義
それを庇う異性も、また、自身に都合が良いから
同調する(笑)
そんな意見や風潮が大多数だと
言い負けることもある
ゆえに
気をつけねばならぬ
常に真実をみる賢さを持たなくてはならない
なんていうことを思わされる
気分の良いお話でした!
おはよ(ฅ´٥`๑)☀
そうそう
男は浮気をする生き物だとか
男は、、、女は、、、、
って何でも一緒くたにしてはいけないよね
人による
これしかないズラ
いつも
ありがとうねෆ❛ั◡❛ัෆ✩⃛*
今日も良い一日をーー💕
、____
`\::::::|
∥::::| こんばんは!
ガ∥:∧_∧
チ ∥( ・ω・ )
ャ |o つ
\∥しーJ
゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙
マックスさん
わりとしぶといです
(◍´ꇴ`◍)ʬʬ
こちらこそ
最後までお読みいただき
ありがとうございます🌺
∧_∧
(_ _ ) ぺこっ
ヽ ノ)
」」
*∧🎀∧*
⁽(˶> ᎑ <˶) ⁾⁾゚
*〇☕〇おはょ~
はい
今の職場で結果、やり甲斐のある仕事を見つけています.。.:*♡✿ฺ
出会い🌈🍀きっとあると思いますーー🎶
>イモージェンも多分ーー
ですね☺
年上の男性に憧れるって
よくあることです
ぅんぅん♡( ॑˘ ॑* ) ⁾⁾
>反省しない人にはーー
(๑ ˊ͈- ᴗ - ˋ͈)ᵃʳⁱᵍᵃᵗᵒ〜* ॰ॱゴザイマス
感想ありがとうございます
゚*🍀🕊️🎶*゚ ゜゚*🍀🕊️🎶*゚ ゜゚*🍀🕊️🎶*゚ ゜