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番外編
3 ルーナに届いた招待状
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私は無事に女の子を出産した。サンディにそっくりでとても可愛い子だった。
「ダリアはルーナにそっくりでとても可愛い」
サンディはいつもそう言うけれど、結局私達の良いところをいろいろ受け継いだ自慢の娘ってことだ。
娘が5歳になろうとした頃、風の噂にイモージェンが結婚したことを聞いた。
真面目に老舗旅館で働いて慰謝料を毎月振り込んでくれたのは知っていたけれど、まさかそこの若旦那と結婚するとは思ってもいなかった。
「女将からよく働くしっかり者と、娘のように可愛がられているらしいよ。実際、あのイモージェンがそんなに勤勉な大人になるなんて思ってもいなかったよ」
「ホントよね。私もびっくりだわ」
そんなことを話し合っていた矢先、一枚の招待状が私に届いたのよ。
ご無沙汰しております。この度、縁あって青空旅館の若女将として再出発することになりましたイモージェンです。かつてのお詫びも兼ねて今一度お会いして謝りたいと思っております。義母の女将もぜひ招待に応じていただけると嬉しいと申しております。ご家族でお越しいただけたら幸いです。心を込めておもてなしいたします
イモージェンより
「あらぁーー! 嬉しいわね。すごい成長だわ。 イモージェンはやればできる子、すごく良い子だったのね」
「あぁ、嬉しい発見だね。あのような行動をしていた子が紆余曲折ありながらも正しい道で頑張っているって素敵なことだね」
「ほんとよねぇーー。夢があっていいわ。少しぐらい人生つまづいたっていくらでも幸せになれることを証明してくれたわね」
私とサンディは喜んでその招待に応じることにしたのだった。
「ダリアちゃん、聞いて! 来週はね、とても素敵な旅館に泊まりに行くのよ。山があって湖があって空気が美味しくて・・・・・・どう? 嬉しい?」
「うん! しゅごく嬉しいなぁーー! 美味しい食べ物もいっぱいありゅ?」
「もちろんよ! そこはお料理もとても美味しいんですって」
私はこの嬉しい招待のお礼になにかを持って行こうと考えたけれどなにも思いつかなかった。
――なにを買って行けばいい? あそこは格式のある老舗旅館で食べ物も飲み物も持って行くのは気が引けるし・・・・・・
そしたら夫が素敵な提案をしてきたのよ。
「これからスコット男爵家に訪問してみないかい? あそこの父親はイモージェンを勘当したけれど、定期的に青空旅館のことを聞き込みさせているらしい」
「うふふ。あなたがなにを考えているか私にはわかったわよ。物じゃなくて人を連れていくのね?」
私達からの訪問を快く受けてくださったスコット男爵家では、私達が何を言い出すのか不安そうな表情でいた。
「実はイモージェンさんから私にお手紙がありまして、あの頃のことを詫びたいので招待させてほしいと書いてありました。とてもしっかりした素敵な女性になりましたね」
「え? イモージェンがそんな手紙を差し上げたのですか? それで、どうなさるおつもりですか?」
「もちろん、イモージェンさんに会いに行きたいですわ。そこで提案があるのですが、一緒に皆で青空旅館に行きませんか? 招待してもらっていますが私達はちゃんと宿代はお支払いするつもりなんですよ。ですから、この招待状の特典はスコット男爵にお譲りしたいと・・・・・・」
「いえ、いえ! いけません。私どもこそ宿代をきっちり払いますとも。一度家族で行こうと思っていたところですから」
譲り合いの嵐が続いて私達はいつのまにか大笑いしていた。
「こんな嬉しい譲り合いってありませんね!」
私達は打ち解けてダリアはイモールンさんにすっかり懐いていた。
「イモールンお姉しゃんにお庭の花や昆虫の名前をおちえてもりゃったよ」
イモールンさんは平民学校でとても頑張っているのは知っていたし、ボランティアで学校に通えない病気の子の勉強もみているようだ。
「私も大きくなったらおかあしゃまのような女官かイモールンお姉しゃんのような先生になりたいな」
「素敵な夢だわ!」
私は心の底からダリアにそう言ったのだった。
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
次回、最終回です。みんなが青空旅館に集合して和解。素敵な友情が芽生えますよ!
「ダリアはルーナにそっくりでとても可愛い」
サンディはいつもそう言うけれど、結局私達の良いところをいろいろ受け継いだ自慢の娘ってことだ。
娘が5歳になろうとした頃、風の噂にイモージェンが結婚したことを聞いた。
真面目に老舗旅館で働いて慰謝料を毎月振り込んでくれたのは知っていたけれど、まさかそこの若旦那と結婚するとは思ってもいなかった。
「女将からよく働くしっかり者と、娘のように可愛がられているらしいよ。実際、あのイモージェンがそんなに勤勉な大人になるなんて思ってもいなかったよ」
「ホントよね。私もびっくりだわ」
そんなことを話し合っていた矢先、一枚の招待状が私に届いたのよ。
ご無沙汰しております。この度、縁あって青空旅館の若女将として再出発することになりましたイモージェンです。かつてのお詫びも兼ねて今一度お会いして謝りたいと思っております。義母の女将もぜひ招待に応じていただけると嬉しいと申しております。ご家族でお越しいただけたら幸いです。心を込めておもてなしいたします
イモージェンより
「あらぁーー! 嬉しいわね。すごい成長だわ。 イモージェンはやればできる子、すごく良い子だったのね」
「あぁ、嬉しい発見だね。あのような行動をしていた子が紆余曲折ありながらも正しい道で頑張っているって素敵なことだね」
「ほんとよねぇーー。夢があっていいわ。少しぐらい人生つまづいたっていくらでも幸せになれることを証明してくれたわね」
私とサンディは喜んでその招待に応じることにしたのだった。
「ダリアちゃん、聞いて! 来週はね、とても素敵な旅館に泊まりに行くのよ。山があって湖があって空気が美味しくて・・・・・・どう? 嬉しい?」
「うん! しゅごく嬉しいなぁーー! 美味しい食べ物もいっぱいありゅ?」
「もちろんよ! そこはお料理もとても美味しいんですって」
私はこの嬉しい招待のお礼になにかを持って行こうと考えたけれどなにも思いつかなかった。
――なにを買って行けばいい? あそこは格式のある老舗旅館で食べ物も飲み物も持って行くのは気が引けるし・・・・・・
そしたら夫が素敵な提案をしてきたのよ。
「これからスコット男爵家に訪問してみないかい? あそこの父親はイモージェンを勘当したけれど、定期的に青空旅館のことを聞き込みさせているらしい」
「うふふ。あなたがなにを考えているか私にはわかったわよ。物じゃなくて人を連れていくのね?」
私達からの訪問を快く受けてくださったスコット男爵家では、私達が何を言い出すのか不安そうな表情でいた。
「実はイモージェンさんから私にお手紙がありまして、あの頃のことを詫びたいので招待させてほしいと書いてありました。とてもしっかりした素敵な女性になりましたね」
「え? イモージェンがそんな手紙を差し上げたのですか? それで、どうなさるおつもりですか?」
「もちろん、イモージェンさんに会いに行きたいですわ。そこで提案があるのですが、一緒に皆で青空旅館に行きませんか? 招待してもらっていますが私達はちゃんと宿代はお支払いするつもりなんですよ。ですから、この招待状の特典はスコット男爵にお譲りしたいと・・・・・・」
「いえ、いえ! いけません。私どもこそ宿代をきっちり払いますとも。一度家族で行こうと思っていたところですから」
譲り合いの嵐が続いて私達はいつのまにか大笑いしていた。
「こんな嬉しい譲り合いってありませんね!」
私達は打ち解けてダリアはイモールンさんにすっかり懐いていた。
「イモールンお姉しゃんにお庭の花や昆虫の名前をおちえてもりゃったよ」
イモールンさんは平民学校でとても頑張っているのは知っていたし、ボランティアで学校に通えない病気の子の勉強もみているようだ。
「私も大きくなったらおかあしゃまのような女官かイモールンお姉しゃんのような先生になりたいな」
「素敵な夢だわ!」
私は心の底からダリアにそう言ったのだった。
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次回、最終回です。みんなが青空旅館に集合して和解。素敵な友情が芽生えますよ!
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