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1 私の婚約者の子供を妊娠したというお姉様
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私はブロッサム・ビアス。ビアス侯爵家の次女で、私の婚約者はフロイド・ターナー伯爵子息だった。彼はターナー伯爵家の次男である。結婚式を一ヶ月後に控え、私は仕上がってきたドレスを侍女に着せてもらい、お母様とお父様に見せていた。
ビアス候爵家の居間でくるりと回って見せる。ドレスはエンパイアラインで、胸の下からスカートが広がるゆったりとしたデザインだった。素材は純白に輝くシフォンで、繊細なレースの装飾や刺繍が施されている。
「まぁ、素敵! そのドレスはお腹周りをカバーできて良いわね。コーデリアにぴったりよ」
「まだ、コーデリアのお腹は目立たないが、それなら大丈夫だろう」
なぜ、お姉様の名前がでてくるの? 幻聴が聞こえるなんて、私はきっと疲れているのね。
「フロイド・ターナー伯爵子息がお越しです」
執事ホプキンの声で現実に引き戻された。お父様とお母様が玄関に向かったので私もそれに続いた。
「ごきげんよう、ビアス侯爵夫妻に、ブロッサム嬢」
フロイド・ターナー伯爵子息は私を見つけるとニコリと笑った。今日も素敵ね。彼はブロンドにブルーの瞳で甘い顔立ちをしている美青年だった。彼の微笑みを見て私はうっとりした。彼は私の婚約者なのだもの、素敵に決まっているわ。その笑顔は私だけに向けられたものよね?
「フロイド様。このウェディングドレスを見てください。素敵でしょう?」
私はフロイド様に自慢するようにドレスを見せた。
彼は、「そうだね」と微笑んだ。私のドレスを素敵と思ってくれるのが嬉しい。その先には、「綺麗だね」の言葉が続くと思っていたのに、全く予想しない言葉が返ってきた。
「コーデリアにとても似合うと思うよ」
一瞬、何を言われたのか分からず固まってしまった。お姉様の名前が聞こえた気がしたけれど、きっと聞き間違いに違いない。
「このドレスは、私のために仕立てたのよ? だから私が着るわ。なぜ、お姉様の名前がでてくるの?」
「あら、そんなの決まっているじゃない。結婚式にそのドレスを着るのが私だからですわ」
コーデリアお姉様が私の背後から突然現れ、勝ち誇ったような表情を浮かべながらにんまりと笑った。
「なぜですか? フロイド様は私の婚約者ですよ? 意味がわかりません」
動揺する私を見て、お姉様はあざ笑うように顔を歪めた。
「そんなの決まってるじゃない。フロイド様の子供ができちゃったみたいなのよ。 だから、私は彼と結婚したいの」
私は信じられない思いに押しつぶされ、その場にしゃがみ込んでしまった。けれど、誰も私の体調を気にする人はいない。
「裏切ったんですね? フロイド様」
「違うよ、コーデリアの方が僕と相性が良かっただけだよ。だから、ブロッサムとは婚約破棄してコーデリアと結婚するよ」
悪びれもせず、彼はそう言った。
「この場合はフロイド様とお姉様に非があるので、婚約破棄はむしろ私からできるはずですよね?」
あまりのことに、泣きたくないのに、涙がとめどなく流れてきた。泣けばよけい惨めなのに。
「ちょっと、ブロッサム! コーデリアは妊娠しているかもしれないのよ。これはおめでたいことなのだから、ケチをつけないでちょうだい」
お母様は私を厳しく叱りつけ、怒った表情を浮かべたのだった。
ビアス候爵家の居間でくるりと回って見せる。ドレスはエンパイアラインで、胸の下からスカートが広がるゆったりとしたデザインだった。素材は純白に輝くシフォンで、繊細なレースの装飾や刺繍が施されている。
「まぁ、素敵! そのドレスはお腹周りをカバーできて良いわね。コーデリアにぴったりよ」
「まだ、コーデリアのお腹は目立たないが、それなら大丈夫だろう」
なぜ、お姉様の名前がでてくるの? 幻聴が聞こえるなんて、私はきっと疲れているのね。
「フロイド・ターナー伯爵子息がお越しです」
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彼は、「そうだね」と微笑んだ。私のドレスを素敵と思ってくれるのが嬉しい。その先には、「綺麗だね」の言葉が続くと思っていたのに、全く予想しない言葉が返ってきた。
「コーデリアにとても似合うと思うよ」
一瞬、何を言われたのか分からず固まってしまった。お姉様の名前が聞こえた気がしたけれど、きっと聞き間違いに違いない。
「このドレスは、私のために仕立てたのよ? だから私が着るわ。なぜ、お姉様の名前がでてくるの?」
「あら、そんなの決まっているじゃない。結婚式にそのドレスを着るのが私だからですわ」
コーデリアお姉様が私の背後から突然現れ、勝ち誇ったような表情を浮かべながらにんまりと笑った。
「なぜですか? フロイド様は私の婚約者ですよ? 意味がわかりません」
動揺する私を見て、お姉様はあざ笑うように顔を歪めた。
「そんなの決まってるじゃない。フロイド様の子供ができちゃったみたいなのよ。 だから、私は彼と結婚したいの」
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「ちょっと、ブロッサム! コーデリアは妊娠しているかもしれないのよ。これはおめでたいことなのだから、ケチをつけないでちょうだい」
お母様は私を厳しく叱りつけ、怒った表情を浮かべたのだった。
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