(完結)お姉様を選んだことを今更後悔しても遅いです!

青空一夏

文字の大きさ
6 / 18

6 ブロッサムは副メイド長になる? / 怪我した小さなガマガエルを助けるブロッサム

しおりを挟む
「ユーラ侍女長! 私がブロッサムさんの指導をいたしますわ」

 ご親切にも、ケイテイ様が私の教育を買って出てくださった。なんて優しい方なのでしょう。

「えっ? ケイテイさんは侍女としてここで働いていますよね? ブロッサムさんはメイドなので、そもそもお仕事の内容が違いますよ」

「サンディメイド長の許可をいただいています。ユーラ侍女長よりサンディメイド長の方が、ターナー伯爵家に長年仕えていると聞きました」

 もしかして、私のことで揉めてる?

「すみません。お掃除やコックさんのお手伝いなら、今までもやってきたので、ご指導いただかなくても大丈夫ですよ」

 私は掃除道具があると思われる地下に行き、早速必要な掃除具や洗剤、清掃用具を見つけた。ほうき、ちりとり、掃除用クロス、拭き掃除用のモップ、バケツ、ゴミ袋、窓拭き用具などが収納された掃除用具部屋は、大抵地下のランドリールームの横にある。

 家具や調度品を移動させ掃除しやすい状態にするので、近くにいたメイドにも声をかけて協力して移動させた。

 ほうきを使って床を掃除し、ほこりを取り除く。モップで床を磨き、家具たちを元通りの位置に戻す。そうしてお次は、拭き掃除用の清掃液に浸したクロスで、家具、棚、テーブルなどを丁寧に拭いた。

 さらに、木材用の保護剤を使用して、上等な家具を綺麗に磨きあげる。窓ガラスや鏡を拭く際にはミルクが必要だ。厨房に行きコック長さんに、余ったミルクを分けてもらった。

 綿のクロスをミルクに浸し固く絞って窓ガラスを拭いていく。その後、別のクロスを温水で湿らせ、窓ガラスを二度拭きし、 最後に乾いた布で拭き上げると、ピカピカになった。


「大変優秀なメイドです。これなら私の指導もいりませんね。数日間、様子を見て問題ないようなら、副メイド長にしても良いぐらいです」

 サンディメイド長から声がかけられて、私は元気よくお礼を言った。掃除が終わったら、ゴミを集めてゴミ袋に入れ、裏庭に設置してある焼却炉に持っていった。

 食べ残しの食材などは地に埋め、それが肥沃な土に変わるよう神に祈りを捧げながら、土を優しくかぶせていると、その後ろから非難の言葉が聞こえた。

「ちょっと、あんた! 調子に乗っているんじゃないわよっ! 今日来たばかりで副メイド長になるなんて、あたいらは許さないからねっ!」

 ケイテイさんが率いるメイド達が、私に一斉になにかを投げつけてきたわ。よく見たらイナゴで、とても美味しそうだった。

「あら、食べ物を無駄にしてはいけませんよ。これは茹でたり焼いて食べる貴重なタンパク源です」

「バッタを食べる? 冗談でしょう? 普通のメイドなら泣いて嫌がるわよ」

「こちらの領地では召し上がらないのですか? ビアス侯爵領では普通に食べますよ。なかなか美味しいのですわ」

   イナゴが私に投げつけられたのを見て、持ち歩いていた大判のハンカチでそれを包み、厨房室へ運ぶことに決めた。

 庭園を歩いている途中、池のほとりでガマガエルたちが楽しそうに合唱している場面に遭遇した。しばらくその光景を楽しんでいるうちに、小さなガマガエルの一匹が脚を引きずっているのに気づいた。

 小さなガマガエルの傷口を、もう一枚の清潔なハンカチで拭き、近くに生えていたアロエベラの液を優しく塗ってあげた。そのカエルは少し驚いたような目つきで私を見つめていたけれど、じっと動かずに我慢していた。ハンカチを切り裂いて、カエルの脚に包帯のように巻いてあげたわ。

「安静にしていればすぐに回復すると思うわ。私はイナゴを調理して戻ってくるから、お大事にね」と言うと、ガマガエルたちが一斉に「ゲコゲコ」と返事をした。まるで私の言葉が理解されているかのようだったのよ。





※(ちょこっとメイド達視点)


「あんなに可愛い顔をしていて、虫も怖がらないなんて生意気よね」

「なんとかして追い出したいわね」

「それにしても、今日は池の周りのガマ達のうるさいこと! そうだ! あの醜悪なガマガエルに囲まれたら泣いて逃げ帰るんじゃない? ガマ達をたくさん捕まえて、あの子の寝ているベッドに放り投げるのよ」

「あっははは! すっごく楽しそうね。やりましょう、やりましょう」

 侍女のケイティさんも大賛成してくれたから、あたいらは今夜それを決行するよ! ケイティさんは男爵家のお嬢様で、とてもお偉い方らしい。

 もしかしたらクリスフォード様の奥方になるかもしれない、とご本人(ケイティ)がおっしゃっていた。これは次期奥方様の命令でもあるから、絶対成功させなくっちゃね。

しおりを挟む
感想 46

あなたにおすすめの小説

皆さん勘違いなさっているようですが、この家の当主はわたしです。

和泉 凪紗
恋愛
侯爵家の後継者であるリアーネは父親に呼びされる。 「次期当主はエリザベスにしようと思う」 父親は腹違いの姉であるエリザベスを次期当主に指名してきた。理由はリアーネの婚約者であるリンハルトがエリザベスと結婚するから。 リンハルトは侯爵家に婿に入ることになっていた。 「エリザベスとリンハルト殿が一緒になりたいそうだ。エリザベスはちょうど適齢期だし、二人が思い合っているなら結婚させたい。急に婚約者がいなくなってリアーネも不安だろうが、適齢期までまだ時間はある。お前にふさわしい結婚相手を見つけるから安心しなさい。エリザベスの結婚が決まったのだ。こんなにめでたいことはないだろう?」 破談になってめでたいことなんてないと思いますけど?  婚約破棄になるのは構いませんが、この家を渡すつもりはありません。

平民の娘だから婚約者を譲れって? 別にいいですけど本当によろしいのですか?

和泉 凪紗
恋愛
「お父様。私、アルフレッド様と結婚したいです。お姉様より私の方がお似合いだと思いませんか?」  腹違いの妹のマリアは私の婚約者と結婚したいそうだ。私は平民の娘だから譲るのが当然らしい。  マリアと義母は私のことを『平民の娘』だといつも見下し、嫌がらせばかり。  婚約者には何の思い入れもないので別にいいですけど、本当によろしいのですか?    

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

婚約破棄から50年後

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。 そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

処理中です...