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16 コーデリアの末路
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私はお父様達の計画を知っていた。だって、お父様は私に「ビアス侯爵令嬢になりたいだろう?」と聞いてきたから。
「もちろんなりたいわ。だって、ブロッサムばかりが綺麗なドレスを着るなんて不公平ですもの」
「だったら、トーマスがこの馬車に細工をする間、見張っててくれないか? 子供のお前なら怪しまれない」
それはもう遠い昔の記憶だった。私はビアス侯爵家の馬車置き場から少し離れた場所に立ち、そちらに行こうとする使用人達の気を引いた。
「ねぇ、ほんの少しだけ遊んだちょうだい。 闇の中で見つかり、光の中で失われる。それは何かしら?」
「まぁまぁ、コーデリアお嬢様はなぞなぞがしたいのですね。わかりました。ほんの少しだけですよ」
私は無邪気さを装い、彼らを馬車置き場に行かせないようにしたし、行くとしてもトーマスにわかるように大きな声をあげ警告した。
「コーデリアよ。よくやった。お前が頑張ってくれたおかげで、トーマスも良い仕事ができたぞ」
お父様はその仕事がどのようなものか私に詳しくは説明しなかった。でも、私にはそれが人に言ってはいけないものだとわかっていた。
その結果、ビアス侯爵は亡くなり、私達はビアス侯爵家に住み贅沢を享受した。なにもかも計画通りで、ブロッサムを隅っこに追いやり、できの悪い妹として扱った。
とても気分が良かった。ざまぁみろよ。「大事に育てられたビアス侯爵家の宝とやらは、これから私達がしっかり躾けてあげる」、とお母様はおっしゃった。
ここまでのことを、私は留置場で思い出していると、壁から無数の手が伸びてきた。
「悪魔の申し子め! 悔い改めよ!」
「お前は犯罪者だ」
不気味な声も響くなか、私はそれが幻だとわかっていても、恐ろしくて謝り続けた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。だって、どうしても贅沢がしたかったのよぉおおーー」
留置場の廊下では度々チビッコガエルを見かけたし、その子はたまに人間にも姿を変えて私を脅した。
「本当のことを言えよ。罪を償えば楽になるよ」と。
私は自分の罪を全て証言した。ブロッサムに毎日意地悪をし、彼女が与えられるべき生活を全て奪ってきたことを。その先に待っていたのは・・・・・・
☆彡 ★彡
私は今、下水道清掃人として働いている。私の仕事は王都の下水道を掃除し整備することよ。これは非常に過酷で不快な仕事だった。
まず、私たちは石や煉瓦で覆われた地下の水路や溝に身体を滑り込ませる。中に入ると暗闇が広がり、不快な臭いが立ちこめている。ろくでなしの男たちと一緒に働いており、私が数少ない女性であるため、時折下卑た視線や下品な言葉を投げかけられた。
下水道内は狭く、頭をぶつけることもしばしば。水と汚物の混じった泥水が足元を流れていて、私たちは足元がぬかるむ中を進むのよ。手には手袋をはめ顔には布を巻くけれど、臭いは辛抱できないほど不快なものだった。
それに、下水道には排泄物が流れ込むため、疫病の原因となる細菌が豊富に存在していた。これらの細菌に触れることで、感染のリスクが高まることは、最近の研究で明らかになったことだった。感染すると隔離され、私達は死を待つだけの存在になり放置された。
また、下水道内の空気は有毒で呼吸器感染症のリスクもあった。この有害なガスを吸い込むことで、肺疾患や呼吸器感染症にかかる可能性が高まる。
つまりここは死んでも良い人間しか働いていない。
基本、下水道清掃人は使い捨てだ。だから、私のような犯罪に関わった人間しかいない。ビアス侯爵家を乗っ取ろうとした私達は、王家から見せしめのようにこのような刑に処せられた。
同僚達は次々と病に冒され死んでいく。きっと、私もいずれそうなる。死に神が私のすぐ側で笑いながら待ち構えているのだった。
୨୧⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒୨୧
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「だったら、トーマスがこの馬車に細工をする間、見張っててくれないか? 子供のお前なら怪しまれない」
それはもう遠い昔の記憶だった。私はビアス侯爵家の馬車置き場から少し離れた場所に立ち、そちらに行こうとする使用人達の気を引いた。
「ねぇ、ほんの少しだけ遊んだちょうだい。 闇の中で見つかり、光の中で失われる。それは何かしら?」
「まぁまぁ、コーデリアお嬢様はなぞなぞがしたいのですね。わかりました。ほんの少しだけですよ」
私は無邪気さを装い、彼らを馬車置き場に行かせないようにしたし、行くとしてもトーマスにわかるように大きな声をあげ警告した。
「コーデリアよ。よくやった。お前が頑張ってくれたおかげで、トーマスも良い仕事ができたぞ」
お父様はその仕事がどのようなものか私に詳しくは説明しなかった。でも、私にはそれが人に言ってはいけないものだとわかっていた。
その結果、ビアス侯爵は亡くなり、私達はビアス侯爵家に住み贅沢を享受した。なにもかも計画通りで、ブロッサムを隅っこに追いやり、できの悪い妹として扱った。
とても気分が良かった。ざまぁみろよ。「大事に育てられたビアス侯爵家の宝とやらは、これから私達がしっかり躾けてあげる」、とお母様はおっしゃった。
ここまでのことを、私は留置場で思い出していると、壁から無数の手が伸びてきた。
「悪魔の申し子め! 悔い改めよ!」
「お前は犯罪者だ」
不気味な声も響くなか、私はそれが幻だとわかっていても、恐ろしくて謝り続けた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。だって、どうしても贅沢がしたかったのよぉおおーー」
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それに、下水道には排泄物が流れ込むため、疫病の原因となる細菌が豊富に存在していた。これらの細菌に触れることで、感染のリスクが高まることは、最近の研究で明らかになったことだった。感染すると隔離され、私達は死を待つだけの存在になり放置された。
また、下水道内の空気は有毒で呼吸器感染症のリスクもあった。この有害なガスを吸い込むことで、肺疾患や呼吸器感染症にかかる可能性が高まる。
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