(完結)お姉様を選んだことを今更後悔しても遅いです!

青空一夏

文字の大きさ
16 / 18

16 コーデリアの末路

しおりを挟む
 私はお父様達の計画を知っていた。だって、お父様は私に「ビアス侯爵令嬢になりたいだろう?」と聞いてきたから。

「もちろんなりたいわ。だって、ブロッサムばかりが綺麗なドレスを着るなんて不公平ですもの」

「だったら、トーマスがこの馬車に細工をする間、見張っててくれないか? 子供のお前なら怪しまれない」

 それはもう遠い昔の記憶だった。私はビアス侯爵家の馬車置き場から少し離れた場所に立ち、そちらに行こうとする使用人達の気を引いた。

「ねぇ、ほんの少しだけ遊んだちょうだい。 闇の中で見つかり、光の中で失われる。それは何かしら?」

「まぁまぁ、コーデリアお嬢様はなぞなぞがしたいのですね。わかりました。ほんの少しだけですよ」

 私は無邪気さを装い、彼らを馬車置き場に行かせないようにしたし、行くとしてもトーマスにわかるように大きな声をあげ警告した。

「コーデリアよ。よくやった。お前が頑張ってくれたおかげで、トーマスも良い仕事ができたぞ」

 お父様はその仕事がどのようなものか私に詳しくは説明しなかった。でも、私にはそれが人に言ってはいけないものだとわかっていた。

 その結果、ビアス侯爵は亡くなり、私達はビアス侯爵家に住み贅沢を享受した。なにもかも計画通りで、ブロッサムを隅っこに追いやり、できの悪い妹として扱った。

 とても気分が良かった。ざまぁみろよ。「大事に育てられたビアス侯爵家の宝とやらは、これから私達がしっかり躾けてあげる」、とお母様はおっしゃった。

 ここまでのことを、私は留置場で思い出していると、壁から無数の手が伸びてきた。

「悪魔の申し子め! 悔い改めよ!」

「お前は犯罪者だ」

 不気味な声も響くなか、私はそれが幻だとわかっていても、恐ろしくて謝り続けた。

「ごめんなさい。ごめんなさい。だって、どうしても贅沢がしたかったのよぉおおーー」

 留置場の廊下では度々チビッコガエルを見かけたし、その子はたまに人間にも姿を変えて私を脅した。

「本当のことを言えよ。罪を償えば楽になるよ」と。

 私は自分の罪を全て証言した。ブロッサムに毎日意地悪をし、彼女が与えられるべき生活を全て奪ってきたことを。その先に待っていたのは・・・・・・


☆彡 ★彡


 私は今、下水道清掃人として働いている。私の仕事は王都の下水道を掃除し整備することよ。これは非常に過酷で不快な仕事だった。

 まず、私たちは石や煉瓦で覆われた地下の水路や溝に身体を滑り込ませる。中に入ると暗闇が広がり、不快な臭いが立ちこめている。ろくでなしの男たちと一緒に働いており、私が数少ない女性であるため、時折下卑た視線や下品な言葉を投げかけられた。

 下水道内は狭く、頭をぶつけることもしばしば。水と汚物の混じった泥水が足元を流れていて、私たちは足元がぬかるむ中を進むのよ。手には手袋をはめ顔には布を巻くけれど、臭いは辛抱できないほど不快なものだった。

 それに、下水道には排泄物が流れ込むため、疫病の原因となる細菌が豊富に存在していた。これらの細菌に触れることで、感染のリスクが高まることは、最近の研究で明らかになったことだった。感染すると隔離され、私達は死を待つだけの存在になり放置された。

 また、下水道内の空気は有毒で呼吸器感染症のリスクもあった。この有害なガスを吸い込むことで、肺疾患や呼吸器感染症にかかる可能性が高まる。
 つまりここは死んでも良い人間しか働いていない。

 基本、下水道清掃人は使い捨てだ。だから、私のような犯罪に関わった人間しかいない。ビアス侯爵家を乗っ取ろうとした私達は、王家から見せしめのようにこのような刑に処せられた。

 同僚達は次々と病に冒され死んでいく。きっと、私もいずれそうなる。死に神が私のすぐ側で笑いながら待ち構えているのだった。




୨୧⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒୨୧

宣伝

「可愛くない私に価値はないのでしょう?」レジーナブックスより発売中です。

 よろしくお願いします。
しおりを挟む
感想 46

あなたにおすすめの小説

皆さん勘違いなさっているようですが、この家の当主はわたしです。

和泉 凪紗
恋愛
侯爵家の後継者であるリアーネは父親に呼びされる。 「次期当主はエリザベスにしようと思う」 父親は腹違いの姉であるエリザベスを次期当主に指名してきた。理由はリアーネの婚約者であるリンハルトがエリザベスと結婚するから。 リンハルトは侯爵家に婿に入ることになっていた。 「エリザベスとリンハルト殿が一緒になりたいそうだ。エリザベスはちょうど適齢期だし、二人が思い合っているなら結婚させたい。急に婚約者がいなくなってリアーネも不安だろうが、適齢期までまだ時間はある。お前にふさわしい結婚相手を見つけるから安心しなさい。エリザベスの結婚が決まったのだ。こんなにめでたいことはないだろう?」 破談になってめでたいことなんてないと思いますけど?  婚約破棄になるのは構いませんが、この家を渡すつもりはありません。

平民の娘だから婚約者を譲れって? 別にいいですけど本当によろしいのですか?

和泉 凪紗
恋愛
「お父様。私、アルフレッド様と結婚したいです。お姉様より私の方がお似合いだと思いませんか?」  腹違いの妹のマリアは私の婚約者と結婚したいそうだ。私は平民の娘だから譲るのが当然らしい。  マリアと義母は私のことを『平民の娘』だといつも見下し、嫌がらせばかり。  婚約者には何の思い入れもないので別にいいですけど、本当によろしいのですか?    

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

婚約破棄から50年後

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。 そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

父の後妻に婚約者を盗られたようです。

和泉 凪紗
恋愛
 男爵令嬢のアルティナは跡取り娘。素敵な婚約者もいて結婚を待ち遠しく思っている。婚約者のユーシスは最近忙しいとあまり会いに来てくれなくなってしまった。たまに届く手紙を楽しみに待つ日々だ。  そんなある日、父親に弟か妹ができたと嬉しそうに告げられる。父親と後妻の間に子供ができたらしい。  お義母様、お腹の子はいったい誰の子ですか?

処理中です...