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9 これからが、本当の姉妹よ (カトリーヌ視点)本編完結
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ダコスの結婚式は私の一番悲しい日だった。ギルバート様が私を裏切って妹と結婚するなんてあんまりだ。
すでにホワイト公爵家の養女になっていた私は、カサンドラお母様(ホワイト公爵夫人)に式に参列したくないと漏らした。
「そうね・・・・・・行きたくないわよね」
「ダメだ! 私達は皆で参列するよ。カトリーヌ、この結婚式はそれほど辛いものじゃないよ。後からわかる」
ニヤリと笑うショーンお父様(ホワイト公爵)に戸惑いながらも、仕方なく参列した私だ。
――人生最悪の日だわ! ダコス・・・・・・酷い子ね。
式は順調に進行していき・・・・・・ところが、
「神はこの女をプァヴァリー準男爵夫人と認められ祝福を与えました。さぁ、誓いのキスを!」
そうおっしゃった神父様。
――それって誰?
隣を見るとギルバートがいて、ダコスの横にもギルバート?
「あれは私の従兄弟だよ。平民だけれど良い男だから大丈夫! そのうち男爵ぐらいにはなれるから。生真面目で面倒見が良いんだ。きっとダコスも変わるよ」
――なんて嬉しいんだろう! ギルバートが私を裏切っていなかった。しかも、ダコスの結婚相手は彼の従兄弟。今まで好きではなかったダコスだけれど、変わってくれるのなら話しは別よ。
私は嬉しさに涙したけれど、ダコスは悲しさで大泣きしているみたい。
「ダコスはトイレのくみ取りは嫌だもん!」
相変らず意味不明な言葉を言う妹に同情すら覚えた。ダコスの母親サマンサは、デタラメばかりダコスに教えているような気がしてならない。
「平民は汚くてトイレも穴を掘ってそこでするんでしょう? だから身分の高い男性に好かれないと糞だらけになるのよね? お姉様」
いつだったか、そんな質問をされ仰天したことを覚えている。
今どきそんなことをしているのは、スラム街に住む路上生活者ぐらいだ。家庭教師も私にだけはいたけれど、ダコスにはいなかった。
「学があって鼻持ちならない女は嫌味なだけだとダーリン(レティラ伯爵)は言ったわ。だからね、ただ女は可愛くニコニコして男性の言うままにしていればいいの」
サマンサがダコスにそう言い含める場面を何度も目にした。
――それは、お父様(レティラ伯爵)だけの考えで一般的ではないわ。ダコスは真剣に聞いているけれど・・・・・・なんてバカなことを教えるのかしら?
そんな昔の思い出をフルフルと首を振り遠くへ押しやると、私はギルバート様に微笑んだ。
「ありがとう! ダコスのこともちゃんと考えてくれたのね?」
「もちろんさ。愛する人を幸せにするには、周りも含めて幸せにしなきゃ完璧な幸せとは言えないよ。ダコスとはきっとこれから仲良くなれる」
「そうね。あの子も可哀想な環境だったかもしれないから、あの性格が治って仲良くなれたら嬉しいわ! ありがとう。愛しているわ」
私はギルバートの手を握りしめ、にっこり笑う彼の瞳をじっと見つめた。信頼できる澄んだ瞳に私は最高に幸せな気分になった。
自分達だけじゃなくて周りも幸せに巻き込む彼のやり方が好きだ。私はそんな彼といられてとてもハッピーなの。
ダコスはピンクの頬を赤く染めて泣き出しているけれど、それを赤ちゃんのようにあやしているバートン様は確かに適任だわ。
――妹をよろしくお願いしますね!
心の中でつぶやいた私だった。
私達の結婚式は予定通り行われてキュルス侯爵夫人になった私は、日々忙しく慈善事業や奉仕活動などに携わっていた。
そして、今日はダコスがキュルス侯爵家に行儀作法を習いにやって来る初日!
「お姉様。ふつつかなダコスですが、今日はよろしくお願いします」
かわいいリボンをあしらったピンクのドレスを着て、頬はふっくらでエクボを見せて微笑んだダコス。
「ぷっ。ダコス! 貴女ったら、なんてかわいいの! あの胸のあきすぎた色気ムンムンのドレスはやめたのね?」
「はい、バートンが似合わないって。私にはこのようなかわいいデザインがいいって言われましたわ。それと・・・・・・お姉様。今までごめんなさい。できればダコスと仲良くしていただけると嬉しいです」
「まぁ、もちろんよ! さぁ、これから私達は本当の姉妹になるのよ」
完
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
いったん、完結とします。
両親のプチざまぁは明日から!(残酷描写はありません! きつめなざまぁを好む方には物足りないかと思いますので、お読みにならないほうが良いです)
すでにホワイト公爵家の養女になっていた私は、カサンドラお母様(ホワイト公爵夫人)に式に参列したくないと漏らした。
「そうね・・・・・・行きたくないわよね」
「ダメだ! 私達は皆で参列するよ。カトリーヌ、この結婚式はそれほど辛いものじゃないよ。後からわかる」
ニヤリと笑うショーンお父様(ホワイト公爵)に戸惑いながらも、仕方なく参列した私だ。
――人生最悪の日だわ! ダコス・・・・・・酷い子ね。
式は順調に進行していき・・・・・・ところが、
「神はこの女をプァヴァリー準男爵夫人と認められ祝福を与えました。さぁ、誓いのキスを!」
そうおっしゃった神父様。
――それって誰?
隣を見るとギルバートがいて、ダコスの横にもギルバート?
「あれは私の従兄弟だよ。平民だけれど良い男だから大丈夫! そのうち男爵ぐらいにはなれるから。生真面目で面倒見が良いんだ。きっとダコスも変わるよ」
――なんて嬉しいんだろう! ギルバートが私を裏切っていなかった。しかも、ダコスの結婚相手は彼の従兄弟。今まで好きではなかったダコスだけれど、変わってくれるのなら話しは別よ。
私は嬉しさに涙したけれど、ダコスは悲しさで大泣きしているみたい。
「ダコスはトイレのくみ取りは嫌だもん!」
相変らず意味不明な言葉を言う妹に同情すら覚えた。ダコスの母親サマンサは、デタラメばかりダコスに教えているような気がしてならない。
「平民は汚くてトイレも穴を掘ってそこでするんでしょう? だから身分の高い男性に好かれないと糞だらけになるのよね? お姉様」
いつだったか、そんな質問をされ仰天したことを覚えている。
今どきそんなことをしているのは、スラム街に住む路上生活者ぐらいだ。家庭教師も私にだけはいたけれど、ダコスにはいなかった。
「学があって鼻持ちならない女は嫌味なだけだとダーリン(レティラ伯爵)は言ったわ。だからね、ただ女は可愛くニコニコして男性の言うままにしていればいいの」
サマンサがダコスにそう言い含める場面を何度も目にした。
――それは、お父様(レティラ伯爵)だけの考えで一般的ではないわ。ダコスは真剣に聞いているけれど・・・・・・なんてバカなことを教えるのかしら?
そんな昔の思い出をフルフルと首を振り遠くへ押しやると、私はギルバート様に微笑んだ。
「ありがとう! ダコスのこともちゃんと考えてくれたのね?」
「もちろんさ。愛する人を幸せにするには、周りも含めて幸せにしなきゃ完璧な幸せとは言えないよ。ダコスとはきっとこれから仲良くなれる」
「そうね。あの子も可哀想な環境だったかもしれないから、あの性格が治って仲良くなれたら嬉しいわ! ありがとう。愛しているわ」
私はギルバートの手を握りしめ、にっこり笑う彼の瞳をじっと見つめた。信頼できる澄んだ瞳に私は最高に幸せな気分になった。
自分達だけじゃなくて周りも幸せに巻き込む彼のやり方が好きだ。私はそんな彼といられてとてもハッピーなの。
ダコスはピンクの頬を赤く染めて泣き出しているけれど、それを赤ちゃんのようにあやしているバートン様は確かに適任だわ。
――妹をよろしくお願いしますね!
心の中でつぶやいた私だった。
私達の結婚式は予定通り行われてキュルス侯爵夫人になった私は、日々忙しく慈善事業や奉仕活動などに携わっていた。
そして、今日はダコスがキュルス侯爵家に行儀作法を習いにやって来る初日!
「お姉様。ふつつかなダコスですが、今日はよろしくお願いします」
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「ぷっ。ダコス! 貴女ったら、なんてかわいいの! あの胸のあきすぎた色気ムンムンのドレスはやめたのね?」
「はい、バートンが似合わないって。私にはこのようなかわいいデザインがいいって言われましたわ。それと・・・・・・お姉様。今までごめんなさい。できればダコスと仲良くしていただけると嬉しいです」
「まぁ、もちろんよ! さぁ、これから私達は本当の姉妹になるのよ」
完
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
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