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アイザックの処分その2ーまだ準備もしていないぞ! (アイザック視点)
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私は、その兵士に髪の毛を掴まれて、ズルズルと屋敷の奥に引っ張られた。屋敷のなかは、ピカピカに磨き上げられていて、大理石の床にはちり一つ落ちていない。そこに、私の髪から灰色の染料がポタポタと落ちると、その兵士は私を思いっきり殴った。
ガッツンと殴られた私は床に倒れ込み、右肩を強打した。ものすごく、痛かった!
「おい、今、なんで殴った? おかしいだろう?」
私は、右肩をさすりながらも、あまりの痛さに目は涙目だ。
「あ? お前のその汚い髪のせいで大理石の床が汚れたからだ」
「むちゃくちゃな理由じゃないかっ! そこのババ・・・・・・あ、間違えました・・・・・・そこのお方が染料をかけたせいだろ? だとしたら、この床の汚れは私のせいではない。」
私は、この、唐変木に抗議をしたんだ。なんで、私のせいではないことで殴られなければならない?
「お前のせいだよ。お前の髪の色が、私は気に入らなかった。そんな髪の色で産まれたお前が悪い! だから、もう一発、殴ってよい」
王の姉上は、私を冷たい眼差しで眺めて兵士に命じた。
私は、3発殴られた。おかしいだろう・・・・・・回数まで勝手に増やされている!
「おい! このお方は一発と言った。なんで、3発殴った?」
私は、兵士の顔を睨み付けた。
「あぁー? うるさい奴め! お前の顔が嫌いだからだよ!」
そ、そんなことってあるか? 顔が嫌いだと?・・・・・・意味不明だ・・・・・・
「なにが、不思議だ? お前は、散々と理不尽なことをグレイスにもリリィにもしてきたそうじゃないか? それが、今はお前に返ってきているだけだ」
王の姉上は、愉快そうな声をあげて笑った。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
私は地下の薄暗い狭い部屋で過ごさなければならなかった。寒くて凍えた。湿気を含んだ汚い布団からは変なニオイがした。こんなところでは、寝られない。いつだって、ふかふかの布団で寝ていたのに。なんて、私は不幸なんだろう・・・・・・
朝早くに起床し、台所で火をおこし、井戸に水をくみに行く。井戸まで何往復もして水が入った重いバケツを運んだ。腰が痛くてたまらない。なんで、下働きの小僧のようなことをしなければいけないんだ!
皿や、調理器具を冷たい水で洗わされた。手が切れるかと思うほどの冷たい水に手がすっかり赤くなる。 慣れない野菜をむいたり、切ったりで傷だらけにもなった。こんなクソみたいなことは、やっていられない!
私は、三日目にはコックに言われたことを半分だけやって、あとは体調が悪いふりをした。コックや周りの者達は、休んでいろと言ってくれた。なんて、チョロい奴らだ!あはは!
仮病を使えばサボれることがわかった私は三日に一回は仮病を使った。そして、ぽかぽかの陽射しがあたる庭園の片隅で昼寝をして過ごした。
しかし、本当に体調を崩し熱が出た時に王の姉上は言った。
「今こそ、働かせよ! 死んでもかまわぬ」
人でなしだ! 人間の皮を被った鬼だ! この王の姉上はサドなんだ・・・・・・
「なんて、残酷な方なんだ! 私は熱があるんですよ? 立っているのも辛いくらい苦しいんです!」
「あぁ、そのようだな。しかし、仮病を使って楽したツケは、ここで払うことになる。働け! 働かなければムチで叩かせる」
「鬼だ! こんな病人を虐めて、グレイスの仇を取るつもりですね?」
「あっははは! グレイス・アティカス侯爵夫人の仇だと? これが、我が息子の大事な嫁の仇を取るつもりの仕打ちだと言うのなら、私はその敵討ちの準備も始めていないぞ!」
王には、この姉上と妹もいたことを思い出す。そして、あの勇者のアレクサンダーは王の甥っ子と後から公表されていたっけ・・・・・・では、ここはあの勇者の・・・・・・実家なのか?
準備もしていないだと・・・・・・じゃぁ、これからが・・・・・・本当の地獄・・・・・・?
私は、膝から崩れおちて、その背中には容赦なくムチが飛んできたのだった。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
※唐変木(とうへんぼく)・・・気のきかない人物。物わかりの悪い人物を罵って言う言葉。延長線上で、おバカ的な意味も含めて使いました。読者様から、読みと意味がわからないとのお問い合わせがあったので、念のため記載させていただきました。
ガッツンと殴られた私は床に倒れ込み、右肩を強打した。ものすごく、痛かった!
「おい、今、なんで殴った? おかしいだろう?」
私は、右肩をさすりながらも、あまりの痛さに目は涙目だ。
「あ? お前のその汚い髪のせいで大理石の床が汚れたからだ」
「むちゃくちゃな理由じゃないかっ! そこのババ・・・・・・あ、間違えました・・・・・・そこのお方が染料をかけたせいだろ? だとしたら、この床の汚れは私のせいではない。」
私は、この、唐変木に抗議をしたんだ。なんで、私のせいではないことで殴られなければならない?
「お前のせいだよ。お前の髪の色が、私は気に入らなかった。そんな髪の色で産まれたお前が悪い! だから、もう一発、殴ってよい」
王の姉上は、私を冷たい眼差しで眺めて兵士に命じた。
私は、3発殴られた。おかしいだろう・・・・・・回数まで勝手に増やされている!
「おい! このお方は一発と言った。なんで、3発殴った?」
私は、兵士の顔を睨み付けた。
「あぁー? うるさい奴め! お前の顔が嫌いだからだよ!」
そ、そんなことってあるか? 顔が嫌いだと?・・・・・・意味不明だ・・・・・・
「なにが、不思議だ? お前は、散々と理不尽なことをグレイスにもリリィにもしてきたそうじゃないか? それが、今はお前に返ってきているだけだ」
王の姉上は、愉快そうな声をあげて笑った。
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私は地下の薄暗い狭い部屋で過ごさなければならなかった。寒くて凍えた。湿気を含んだ汚い布団からは変なニオイがした。こんなところでは、寝られない。いつだって、ふかふかの布団で寝ていたのに。なんて、私は不幸なんだろう・・・・・・
朝早くに起床し、台所で火をおこし、井戸に水をくみに行く。井戸まで何往復もして水が入った重いバケツを運んだ。腰が痛くてたまらない。なんで、下働きの小僧のようなことをしなければいけないんだ!
皿や、調理器具を冷たい水で洗わされた。手が切れるかと思うほどの冷たい水に手がすっかり赤くなる。 慣れない野菜をむいたり、切ったりで傷だらけにもなった。こんなクソみたいなことは、やっていられない!
私は、三日目にはコックに言われたことを半分だけやって、あとは体調が悪いふりをした。コックや周りの者達は、休んでいろと言ってくれた。なんて、チョロい奴らだ!あはは!
仮病を使えばサボれることがわかった私は三日に一回は仮病を使った。そして、ぽかぽかの陽射しがあたる庭園の片隅で昼寝をして過ごした。
しかし、本当に体調を崩し熱が出た時に王の姉上は言った。
「今こそ、働かせよ! 死んでもかまわぬ」
人でなしだ! 人間の皮を被った鬼だ! この王の姉上はサドなんだ・・・・・・
「なんて、残酷な方なんだ! 私は熱があるんですよ? 立っているのも辛いくらい苦しいんです!」
「あぁ、そのようだな。しかし、仮病を使って楽したツケは、ここで払うことになる。働け! 働かなければムチで叩かせる」
「鬼だ! こんな病人を虐めて、グレイスの仇を取るつもりですね?」
「あっははは! グレイス・アティカス侯爵夫人の仇だと? これが、我が息子の大事な嫁の仇を取るつもりの仕打ちだと言うのなら、私はその敵討ちの準備も始めていないぞ!」
王には、この姉上と妹もいたことを思い出す。そして、あの勇者のアレクサンダーは王の甥っ子と後から公表されていたっけ・・・・・・では、ここはあの勇者の・・・・・・実家なのか?
準備もしていないだと・・・・・・じゃぁ、これからが・・・・・・本当の地獄・・・・・・?
私は、膝から崩れおちて、その背中には容赦なくムチが飛んできたのだった。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
※唐変木(とうへんぼく)・・・気のきかない人物。物わかりの悪い人物を罵って言う言葉。延長線上で、おバカ的な意味も含めて使いました。読者様から、読みと意味がわからないとのお問い合わせがあったので、念のため記載させていただきました。
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