(完)義妹が全てを奪っていったーもう貴女には騙されない

青空一夏

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6 ネックレス事件(アーリア視点)

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 「アーリア様、私のお部屋でおしゃべりしましょう。そうだわ! とても、綺麗なネックレスをお母様に買っていただいたのです。見せてさしあげたいわ」

 これも、以前と同じセリフです。私は、にっこりうなづいてイェーナの後に続きます。



 前回の展開は今からお話しするようなものでした。

「こちらのネックレスはアーリア様にとてもお似合いですわ。どうぞ、つけてみてください」

 私にネックレスを渡し、私が持った瞬間にイェーナがネックレスを勢いよく引っ張ったのです。あっけなくネックレスの糸が切れて通してあった淡水パールが床に広がりました。

「まぁ~~、酷い! このネックレスはお気に入りでしたのよ。わざと、ひっぱって糸を引きちぎるなんて!」

 大騒ぎしながらお父様に、泣きつきに行ったのです。

「なんでそんなことばかりするんだ! アーリアには失望したよ。バレリアが亡くなったばかりだから大目にみていたが、お前はこれからもっと厳しく躾けなければならん!」

「そうですわねぇ。甘やかすからこんなことになるのではないかしら? 罰として専属侍女をクビにすればいいですわ。やはり、悪いことをしたら痛い目にあうことを覚えさせないと、とんでもない乱暴者になってしまいます。もちろん、アーリア様のことを思って、このようなことを申し上げているのですよ? アーリア様の意地悪で傲慢な性格を治すには荒療治しかないですよ」

 エイシャはニヤニヤしながら、お父様に助言したのでした。この件でイワナはクビになり、二度と会うことはなかったのです。



 
 今回は……そんなことは、もちろんさせません!


☆彡★彡☆彡


 私はイェーナの部屋に連れていかれますが、さりげなく自分のネックレスを確認します。今日の私はエフレイン伯父様からプレゼントされた高価な真珠のネックレスをつけております。

 昨晩、エフレイン伯父様に申し訳ないと思いながら通してある糸に傷をつけました。もちろん、伯父様からいただいたネックレスを傷つけたくはありません。ですがイワナをクビにさせない為にも、インパクトのあるものを使う必要があったのです。

 イェーナの部屋はショッキングピンクの絨毯にカーテン、ソファの色は鮮やかな黄色です。なんだか、目がチカチカして落ち着かない部屋でした。イェーナは鮮やかな原色が好きなようでして、今日のドレスの色も鮮やかなオレンジ色です。

 けばけばしさが際立つ内装のお部屋に入ると、早速イェーナは宝石箱を開けてネックレスを取り出しました。

「こちらのネックレスはアーリア様にとてもお似合いですわ。どうぞ、つけてみてください」

 私はその言葉に自分のしていたネックレスを外して、

「まぁ、ありがとう! では、イェーナ様にはこれをつけてみて欲しいですわ」

と、にこやかに微笑みながら言いました。

 一目で高価なものとわかる真珠のネックレスにイェーナの瞳が輝きます。お互いがネックレスを差しだし、受け取ることになったわけです。

 そして、もちろん彼女は私に差し出したネックレスを離さずに引っ張ります。それとほぼ同時に私も自分のネックレスを引っ張ると、粒の揃った光沢のある高価な真珠がショッキングピンクの絨毯の上に転がり広がっていったのでした。

「まぁ~~、酷い! このネックレスはお気に入りでしたのよ。わざと、ひっぱって糸を引きちぎるなんて!」

 このイェーナの叫ぶ声に負けないくらいに、

「酷いわぁーー! イェーナ様が私のネックレスを壊してしまいましたわ。これは伯父様の大事なものなのに!」

と、私も一緒になって叫びました。ちょうど紅茶とお菓子を運んできた侍女二人が入ってくるところでして、その惨状を見て慌てて階下のサロンにいるお父様のところに報告に行きます。

「大変です! イェーナ様が、アーリア様の大事な真珠のネックレスを引きちぎりました。高価な真珠が床いっぱいに広がって、アーリア様はお泣きになっています!」

 その侍女達がお父様に話している言葉が聞こえてくると、イェーナの顔色は青ざめました。あの侍女達は私がプレゼントを渡した侍女達のなかにいたようです。

 バタバタとお父様がこちらにやって来て、床に広がった私のネックレスの真珠を確認すると、イェーナの頬を殴りました。

「この、バカ者がっ! なんてことをしてくれたんだ! エフレイン・アンバー侯爵様がこのことを知ったら、どんなにお怒りになるか! エイシャ! お前の娘はろくでなしだな。こういう娘の罰はどうするべきだ?」

 お父様はエイシャに詰め寄りますが、エイシャは青ざめたまま何も言いません。以前のエイシャの提案を今度は私がしてさしあげようと思います。

「エイシャ様がイェーナ様を甘やかすから、こんなことになるのではないでしょうか? 専属侍女を減らせばいいかもしれません。やはり、悪いことをしたら反省させなければいけませんよね? もちろん、イェーナ様のことを思って、このようなことを申し上げているのですよ? 私はエフレイン伯父様にこのことは申し上げませんわ。きっと、このネックレスが羨ましかったのでしょう。このよう高価なネックレス貸してさしあげようとした私が悪かったかもしれません」

「わ、私のネックレスだって……壊れてしまいました…・・アーリア様が引っ張ったんです!」

 「まさか! そのような淡水パールのネックレスなど、アーリア様が壊す理由がありません! アーリア様のネックレスはその淡水パールの100倍以上は高価なものですよ。使用人の私達が見ても明らかに最上級のパールのネックレスをお持ちのアーリア様が、イェーナ様のネックレスを羨ましがって引きちぎるでしょうか?」

 イェーナの言葉に侍女達が声を揃えて反論し、クスクスと笑う者までいたのです。イェーナは使用人達から好かれていなかったようですし、私のプレゼント作戦が予想以上の効果があったのでしょう。

 この言葉にお父様は深くうなづき、エイシャを鋭く睨みました。

「こんな愚かな娘がいると、エイシャとの再婚も考えてしまうな。イェーナの専属侍女はクビだ。こんな嘘つきに侍女などいらん!」

「えぇ? なぜ、この屋敷の侍女のことを一方的に決めるのですか?」

「なぜだと? それはお前達の生活費を私が出しているからだ! この屋敷に住めるのも、侍女を雇えるのも私が金を出しているからだということを忘れるな!」

 お父様の激しい剣幕にエイシャは、ビクッと肩を震わせて悔しそうに顔を歪めたのでした。

「クビになる侍女がかわいそうですから、私の侍女にしてよろしいですか?」

「もちろんだとも。アーリアは優しくて天使のようだな。侍女達もアーリアに仕えた方が嬉しいだろう」

 私の言葉にお父様は機嫌良くうなづき、イェーナの専属侍女二人は嬉しそうに微笑んだのでした。

「アーリア様に仕えることになって、とても嬉しいです!」

「誠心誠意、お仕えします!」

 私の専属侍女にアジアとイブの二人が加わった瞬間なのでした。 
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