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番外編
その後のサファイアー3
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「そう言えば名前を言ってなかったな。俺の名前はテデイ。明日から俺は隣国へ旅立つから、今日が最後だ」
「えぇ、今日で最後ね。だったら、あなたの女装でなくて男性の格好が見たいわ。最後だから私と男性の姿で街を歩いてほしいの」
「はぁーー。そんなことをなんで強請るんだよ。面倒くさい奴・・・・・・俺に惚れたか?」
「うふふふ、まさか・・・・・・でもいいでしょう? 思い出にしたいの。私の旅の最後の思い出」
「そっか。まぁ、叶えてやるか」
男性の服を着たテディも、やっぱりすっごく素敵だ。キラキラ光る金髪と、蒼く澄み渡る空を切り取ったような瞳。高い鼻梁に形のいい唇。
「綺麗ねぇ。テディって本当に綺麗だと思うわ。それに強いし優しい。私は一生忘れないわ。この10日間、ありがとう」
私からお礼を言われたテディの顔は照れて真っ赤だ。
最後のベネチララ。思いっきり楽しもう。
「サンマルコメ寺院の鐘楼に一緒に登りましょうよ。最後にベネチララの町並みとラグーンを見て目に焼き付けなきゃ」
「また行きたいのか? まぁ、いいけどな。あそこは混むから、これからすぐ行こう。早朝が空いてていいんだ」
広場からの高さは90メートルほどある。そこからはこの国の素晴らしい町並みが広がる。頭上にある大きな鐘が鳴ると耳が割れるほど大きな音でびっくりする。慌てて耳を塞ぎ二人で大笑い。
いつの間にか、手を繋ぎあってドドゥカーレ宮殿の豪華に装飾された部屋を見て回る。
「迷路みたいだから、迷子にならないようにな」
そう言って私に伸ばした彼の手を、ずっと離したくない気がした。
リアルトマ橋でお買い物をするのも楽しかった。ここはショッピングウォークで吹きガラスやジュエリーなどを買うことができる。
「これ、お姉様にとても似合いそうだわ。これを買う」
「お前さっきから、ねーさん、ねーさんって、自分のも買えよ」
「ううん、いらない。だって私はここの町並みとか運河とか、綺麗なものをたくさん心の中にしまっておけたから。ほら、あなたとも会えたしね!」
「そっか・・・・・・」
テディは眩しそうな眼差しで私を見つめた。
夕方になり一緒に夕食とワインを楽しみ、彼は私に小さな包みを差し出す。
「ほら、取っとけよ。お前に似合いそうなブレスレットがあったからな。俺からのプレゼントさ。たまにはそれを見て俺を思い出せ」
「まぁ、綺麗! ありがとう。ずっと大事にするね」
スカイブルーのベネチラランガラスのブレスレットだ。その綺麗な色合いは彼の瞳と同じ。素直に嬉しい、と思った。
ホテルに戻る途中のソットポルテゴ(トンネル)もテディがいるから怖くない。
「どっちがホテルに先につくか競争しましょう!」彼がとめるのも構わず、ほろ酔いの私は駆けだした。
そこには柄の悪い男達がたむろしていて、私はすぐにそいつらに捕まった。後から駆けてきたテディを見て、そいつらの一人はニヤリと笑う。
「おやおや、お前って男だったのか? それじゃ、こいつはお前の女か。なら、この女を傷つけたくなかったら抵抗するなよ」
私の首筋にあたる鋭い刃物。ひやりとした感触に酔いが一気にさめた。テディはすぐに武器を全て路上に投げて、男達の殴られるままに少しも抵抗しない。
(私のせいだ、テディは一人ならすっごく強いのに・・・・・・死んじゃう、このままだと、彼が殴り殺されちゃう・・・・・・)
私を押さえつけている男の腕を噛み、足を踏みつけ必死に抵抗して彼の側に寄れば、彼は即座に反撃して男達を倒していく。でも、男達の一人が隠し持っていたナイフが彼のお腹を切り裂いた。
赤い血が流れて、刺した男は満足そうに駆け去っていく。
(テディの血が止まらない。どうしてよ。こんなところで死なないでよ。私を一人にしないでよ!)
「お願い、死なないで・・・・・・一緒にずっといたいよ。私を一人にしないでよ!」
「こんな傷で死ぬかよ」
笑いながら言うテディは私の髪をそっと撫でた。
「えぇ、今日で最後ね。だったら、あなたの女装でなくて男性の格好が見たいわ。最後だから私と男性の姿で街を歩いてほしいの」
「はぁーー。そんなことをなんで強請るんだよ。面倒くさい奴・・・・・・俺に惚れたか?」
「うふふふ、まさか・・・・・・でもいいでしょう? 思い出にしたいの。私の旅の最後の思い出」
「そっか。まぁ、叶えてやるか」
男性の服を着たテディも、やっぱりすっごく素敵だ。キラキラ光る金髪と、蒼く澄み渡る空を切り取ったような瞳。高い鼻梁に形のいい唇。
「綺麗ねぇ。テディって本当に綺麗だと思うわ。それに強いし優しい。私は一生忘れないわ。この10日間、ありがとう」
私からお礼を言われたテディの顔は照れて真っ赤だ。
最後のベネチララ。思いっきり楽しもう。
「サンマルコメ寺院の鐘楼に一緒に登りましょうよ。最後にベネチララの町並みとラグーンを見て目に焼き付けなきゃ」
「また行きたいのか? まぁ、いいけどな。あそこは混むから、これからすぐ行こう。早朝が空いてていいんだ」
広場からの高さは90メートルほどある。そこからはこの国の素晴らしい町並みが広がる。頭上にある大きな鐘が鳴ると耳が割れるほど大きな音でびっくりする。慌てて耳を塞ぎ二人で大笑い。
いつの間にか、手を繋ぎあってドドゥカーレ宮殿の豪華に装飾された部屋を見て回る。
「迷路みたいだから、迷子にならないようにな」
そう言って私に伸ばした彼の手を、ずっと離したくない気がした。
リアルトマ橋でお買い物をするのも楽しかった。ここはショッピングウォークで吹きガラスやジュエリーなどを買うことができる。
「これ、お姉様にとても似合いそうだわ。これを買う」
「お前さっきから、ねーさん、ねーさんって、自分のも買えよ」
「ううん、いらない。だって私はここの町並みとか運河とか、綺麗なものをたくさん心の中にしまっておけたから。ほら、あなたとも会えたしね!」
「そっか・・・・・・」
テディは眩しそうな眼差しで私を見つめた。
夕方になり一緒に夕食とワインを楽しみ、彼は私に小さな包みを差し出す。
「ほら、取っとけよ。お前に似合いそうなブレスレットがあったからな。俺からのプレゼントさ。たまにはそれを見て俺を思い出せ」
「まぁ、綺麗! ありがとう。ずっと大事にするね」
スカイブルーのベネチラランガラスのブレスレットだ。その綺麗な色合いは彼の瞳と同じ。素直に嬉しい、と思った。
ホテルに戻る途中のソットポルテゴ(トンネル)もテディがいるから怖くない。
「どっちがホテルに先につくか競争しましょう!」彼がとめるのも構わず、ほろ酔いの私は駆けだした。
そこには柄の悪い男達がたむろしていて、私はすぐにそいつらに捕まった。後から駆けてきたテディを見て、そいつらの一人はニヤリと笑う。
「おやおや、お前って男だったのか? それじゃ、こいつはお前の女か。なら、この女を傷つけたくなかったら抵抗するなよ」
私の首筋にあたる鋭い刃物。ひやりとした感触に酔いが一気にさめた。テディはすぐに武器を全て路上に投げて、男達の殴られるままに少しも抵抗しない。
(私のせいだ、テディは一人ならすっごく強いのに・・・・・・死んじゃう、このままだと、彼が殴り殺されちゃう・・・・・・)
私を押さえつけている男の腕を噛み、足を踏みつけ必死に抵抗して彼の側に寄れば、彼は即座に反撃して男達を倒していく。でも、男達の一人が隠し持っていたナイフが彼のお腹を切り裂いた。
赤い血が流れて、刺した男は満足そうに駆け去っていく。
(テディの血が止まらない。どうしてよ。こんなところで死なないでよ。私を一人にしないでよ!)
「お願い、死なないで・・・・・・一緒にずっといたいよ。私を一人にしないでよ!」
「こんな傷で死ぬかよ」
笑いながら言うテディは私の髪をそっと撫でた。
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