3 / 8
3 自然とマリーナから防壁を築いていくローズ
しおりを挟む
謎に涙目になりしきりに腕を掻いているマリーナと一緒に王宮に向かうが、気が重いったらない。
――どうしたら皇太子に嫌われるかな。これが重要なのよね。はじめからマリーナが選ばれればあたしは殺されないはず。だとすればマリーナを売り込んであたしの至らなさをアピールすればいいのよ!
王宮に着き早速容姿のチェックからされるけれどこれはあたしもマリーナもいとも簡単にクリアしてしまう。あたしローズは整いすぎた顔立ちが冷たく感じる大人っぽいタイプだし、妹マリーナは愛くるしい瞳の可愛らしい美少女だったからだ。
あたしは早速マリーナの世話をあれこれやきはじめた。マリーナの髪をしっかり整え髪飾りの位置を直し、頬には携帯用の紅を少しだけ塗ってあげたくらいだ。
「お姉様、なんで人前で私の世話を細々となさるんですの? 恥ずかしいです! 私はもう大人ですよ!」
真っ赤になって怒るマリーナが案外かわいい。
「あら、いくつになってもあなたは可愛い私の妹でしょう? だからね、ぜひあなたに皇太子妃になってほしいのよ。なので、こうして髪を整え紅をさしているんじゃないの! あ、リップも貸してあげるわ。これ、あげるから持っていなさいよ。新色ですって。お母様からいただいたのよ」
あたしはお母様からもらったばかりのリップをマリーナの手に握らせた。
皇太子妃候補選考委員会の一人があたしに近づいて質問してくる。
「お二人は姉妹であってもライバルですよ? ローズ様は皇太子妃候補になりたくないのですか?」
「私は妹がとても皇太子妃になりたいのを知っております。その深い気持ちに比べたら私の気持ちなどごく浅いものです。なので、今回は妹を応援するつもりで参りました」
あたしはまさしくこれが本心だったのでにっこりと微笑んでこの気持ちを伝えた。
「素晴らしい! 妹思いの上に自己犠牲が美しい。このような方こそ皇太子妃に相応しいでしょう」
「いいえ! 皇太子妃には妹こそ相応しいですわ。ほら、このマリーナの大きな瞳をご覧ください。皇太子への愛が溢れておりますし、語学は母国語しか話せませんが努力次第でなんとかなりますし、確か地理も歴史も疎いですがそれもこの私が教えてあげれば完璧なのですわ。なにより、皇太子妃になりたいというこの熱意は凄まじく……」
青ざめたマリーナは口をパクパクさせているけれどここはもう一押しだと思う。
「私は妹マリーナの応援をしたいので、この皇太子妃候補のリストから外してくださいませ」
必死でお願いしてみるあたしだ。あとでお父様に叱られたっていいわ。
殺される未来しかない皇妃になったって意味がないもの。ここは全力回避をしたい!
「それはならん! この国の年頃の女性は全て兄上の妻になる資格を与えられる。しかしなかなか珍しいことを言う女だな。そなたの名前は?」
いつの間にか傍らに立っていた美しい貴公子があたしに尋ねた。
「ローズ・エメラルド侯爵令嬢でございます」
「エメラルド家の長女か。私は第二皇子のフィンリーだ。お前は面白いから、皇太子妃候補に選ばれなかったら私の妃候補にしてやろう」
――ひぃ~~。どっちも御免被るわ。妃と名前がつく立場には心底恐怖しかなかった。しかも第2皇子なんて漫画にいたっけ?
そうして、それからなされた皇太子殿下を交えた面接の折には自分の長所など一切言わずして、妹マリーナの長所ばかりを並べ立て、自分の短所は包み隠さずお話し申しあげたのだった。
結果はどちらもなぜか皇太子候補に選ばれてしまったが……けれどあたしは思わぬことを選考委員会の方々から聞いた。
「マリーナ嬢はローズ嬢にいじめられているようなことを終始皇太子殿下におっしゃっていましたが、ローズ嬢はマリーナ嬢の長所を熱心に語られて心底妹を大事にしているのがわかりました。妹さんはどうやら虚言癖があるようですな。これが選考委員の概ねの印象です。しかし、皇太子殿下はかわいいマリーナ嬢を気に入られたようでして候補に残されましたが、我々の虚言癖だという印象は拭えません」
「あのぅ~~なにかの間違いでは? けっしてマリーナは虚言癖などではありません。まぁ、一種の被害妄想が大きくなっていく病気ですから。悪気はないのですよ?」
あたしの言葉に他の選考委員会の方々も頷き納得していたようだった。
「確かに病気ですな。これだけ妹を褒め称えている姉に、その姉から意地悪をされているとこのような場所で漏らす妹。病気だとすれば辻褄があう。これはきっちり記録にも残し皇帝陛下や皇后殿下にはご報告申しあげましょう」
かくしてマリーナは虚言癖のような病気というレッテルを皇帝陛下と皇后殿下から貼られ記録にも残ることになったのだった。
――どうしたら皇太子に嫌われるかな。これが重要なのよね。はじめからマリーナが選ばれればあたしは殺されないはず。だとすればマリーナを売り込んであたしの至らなさをアピールすればいいのよ!
王宮に着き早速容姿のチェックからされるけれどこれはあたしもマリーナもいとも簡単にクリアしてしまう。あたしローズは整いすぎた顔立ちが冷たく感じる大人っぽいタイプだし、妹マリーナは愛くるしい瞳の可愛らしい美少女だったからだ。
あたしは早速マリーナの世話をあれこれやきはじめた。マリーナの髪をしっかり整え髪飾りの位置を直し、頬には携帯用の紅を少しだけ塗ってあげたくらいだ。
「お姉様、なんで人前で私の世話を細々となさるんですの? 恥ずかしいです! 私はもう大人ですよ!」
真っ赤になって怒るマリーナが案外かわいい。
「あら、いくつになってもあなたは可愛い私の妹でしょう? だからね、ぜひあなたに皇太子妃になってほしいのよ。なので、こうして髪を整え紅をさしているんじゃないの! あ、リップも貸してあげるわ。これ、あげるから持っていなさいよ。新色ですって。お母様からいただいたのよ」
あたしはお母様からもらったばかりのリップをマリーナの手に握らせた。
皇太子妃候補選考委員会の一人があたしに近づいて質問してくる。
「お二人は姉妹であってもライバルですよ? ローズ様は皇太子妃候補になりたくないのですか?」
「私は妹がとても皇太子妃になりたいのを知っております。その深い気持ちに比べたら私の気持ちなどごく浅いものです。なので、今回は妹を応援するつもりで参りました」
あたしはまさしくこれが本心だったのでにっこりと微笑んでこの気持ちを伝えた。
「素晴らしい! 妹思いの上に自己犠牲が美しい。このような方こそ皇太子妃に相応しいでしょう」
「いいえ! 皇太子妃には妹こそ相応しいですわ。ほら、このマリーナの大きな瞳をご覧ください。皇太子への愛が溢れておりますし、語学は母国語しか話せませんが努力次第でなんとかなりますし、確か地理も歴史も疎いですがそれもこの私が教えてあげれば完璧なのですわ。なにより、皇太子妃になりたいというこの熱意は凄まじく……」
青ざめたマリーナは口をパクパクさせているけれどここはもう一押しだと思う。
「私は妹マリーナの応援をしたいので、この皇太子妃候補のリストから外してくださいませ」
必死でお願いしてみるあたしだ。あとでお父様に叱られたっていいわ。
殺される未来しかない皇妃になったって意味がないもの。ここは全力回避をしたい!
「それはならん! この国の年頃の女性は全て兄上の妻になる資格を与えられる。しかしなかなか珍しいことを言う女だな。そなたの名前は?」
いつの間にか傍らに立っていた美しい貴公子があたしに尋ねた。
「ローズ・エメラルド侯爵令嬢でございます」
「エメラルド家の長女か。私は第二皇子のフィンリーだ。お前は面白いから、皇太子妃候補に選ばれなかったら私の妃候補にしてやろう」
――ひぃ~~。どっちも御免被るわ。妃と名前がつく立場には心底恐怖しかなかった。しかも第2皇子なんて漫画にいたっけ?
そうして、それからなされた皇太子殿下を交えた面接の折には自分の長所など一切言わずして、妹マリーナの長所ばかりを並べ立て、自分の短所は包み隠さずお話し申しあげたのだった。
結果はどちらもなぜか皇太子候補に選ばれてしまったが……けれどあたしは思わぬことを選考委員会の方々から聞いた。
「マリーナ嬢はローズ嬢にいじめられているようなことを終始皇太子殿下におっしゃっていましたが、ローズ嬢はマリーナ嬢の長所を熱心に語られて心底妹を大事にしているのがわかりました。妹さんはどうやら虚言癖があるようですな。これが選考委員の概ねの印象です。しかし、皇太子殿下はかわいいマリーナ嬢を気に入られたようでして候補に残されましたが、我々の虚言癖だという印象は拭えません」
「あのぅ~~なにかの間違いでは? けっしてマリーナは虚言癖などではありません。まぁ、一種の被害妄想が大きくなっていく病気ですから。悪気はないのですよ?」
あたしの言葉に他の選考委員会の方々も頷き納得していたようだった。
「確かに病気ですな。これだけ妹を褒め称えている姉に、その姉から意地悪をされているとこのような場所で漏らす妹。病気だとすれば辻褄があう。これはきっちり記録にも残し皇帝陛下や皇后殿下にはご報告申しあげましょう」
かくしてマリーナは虚言癖のような病気というレッテルを皇帝陛下と皇后殿下から貼られ記録にも残ることになったのだった。
44
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
悲報!地味系令嬢、学園一のモテ男に「嘘の告白」をされる。
恋せよ恋
恋愛
「君のひたむきさに心打たれた」
学園の王子様、マーロン侯爵令息から突然の告白。
けれどそれは、退屈な優等生である彼が仕掛けた「罰ゲーム」だった。
ターゲットにされたのは、地味で貧乏な子爵令嬢・サブリナ。
彼女は震える声で告白を受け入れるが――眼鏡の奥の瞳は、冷徹に利益を計算していた。
(侯爵家の独占契約……手に入れたも同然だわ!)
実は、サブリナの正体は王都で話題の「エアハート商会」を率いる敏腕マネージャー。
「嘘の告白」をした男と、「嘘の快諾」をした女。
互いに利用し合うつもりが、いつの間にか本気に……?
お互いの本性を隠したまま進む、腹黒×腹黒の騙し合いラブコメディ!
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる