5 / 8
5 なぜうまくいかないの(妹視点)
しおりを挟む
ーーなぜ、何もかもがうまくいかないのかしら? みんながお姉さまの味方をして私の味方をしてくれるのは皇太子だけだ。これじゃダメなのに。
「こっそり人を殺せる薬は無いのかしら? 毒薬で殺したとわからないような方法で普通の病気で弱っていくような薬を探しているんだけれど……」
「ふふん! あるにはあるが代償が必要だな。それは人間の極限までの苦痛の叫び。それをくれる約束をして欲しい」
今、私はお忍びの服装で市井の占い師に愚痴り思いがけない返事がもらえた。この美しい占い師は初めて見る顔でついその手に触りたくて手占いをしてもらったのだ。気分良くくつろいでいたおかげでつい本音の愚痴が漏れた私だった。
「人間の苦痛の叫びが欲しいの? それなら多分あげれると思うわ。1番憎たらしい人の苦痛の叫びをあげられると思うの。ふふふ」
「それならばこの薬をあげよう。毎日少しずつ飲ませるんだ。私は誰の苦痛でもいいからね。目の前にいるお前の苦痛の叫びでも、例えばお前がとても嫌っている姉さんの苦痛でもどちらでも良い。楽しみに待っているよ」
お姉様の話などしていないのにその占い師はそのようなことを言ったかと思うと次の瞬間には跡形もなく消えていた。手にはその男からもらった薬の包みが2袋あって、私は喜びにほくそ笑んだ。
まずは、お姉様を大事にしている皇后殿下をなんとかしないとね。皇后殿下の食事にその薬を入れられることができたのならばきっと病気になって死んでくれる。それから次に皇帝陛下に毒を盛る。この2人が消えてしまえば皇太子の思うがままの世界ができあがる。
ーーお姉様の味方ばかりする侍女達もまとめて首を切り、私だけを崇める侍女達を集めてやるんだから!
そう思いながら街中を歩き1人の貧しい少女に目をつけた。乞食のような格好で地べたに座り込んで残飯を漁っていた。
「ねぇ、あなた。おいしいものがおなかいっぱい食べたくない? 私と一緒に来れば好きなだけ食べ物が食べられるのよ」
そんな甘い言葉をその少女に言うと、私は少女の手を引いて宮廷に戻った。
その少女をうまいこと手なづけて私の思い通りに動かせる。つまりは厨房に忍び込み皇后殿下の食事に薬を入れさせたのだ。
ーーさて、これから面白いことになるはずだわ。ワクワクしてきちゃう。早くこの傲慢な皇后殿下が弱ってこないかしら?
ところが、全く弱ってこない。それどころかますます元気でお姉さまと毎早朝不思議な体操をしていた。
「これはとても健康に良い体操なんですよ。毎朝するととても気持ちがいいのです」
馬鹿みたいに手足をグルングルンして飛び跳ねたりもするその体操をなんと皇帝陛下までやりだした。
ーーお姉さまがつぶやいていた言葉が不思議だったわ。ラジオ体操ってなんだろう?
☾︎*࿐ ⋆
「いいこと? 皇后陛下のスープにはこの薬をいつもの倍の量入れてちょうだい。そして今日からは皇帝陛下のスープにも入れなさい。厨房を手伝うふりをしてうまいことやるのよ」
そそのかして少女に毒を盛らせるけれど一向に効果がない。
そしてそれからしばらくして、皇帝陛下がおっしゃった。
「ここには、恐ろしい暗殺者がいる。そいつは可愛い顔をしていて、だが心の中は卑怯で残酷だ。そしてその狡猾な女の色気に惑わされ真実が見えない愚か者もいる。わしはもうそろそろそういった者たちに裁きを与える時期だと思う」
ーーこれは誰のことかしら? まさか私のことでは無いはずだわ。厨房のコックたちはいつも忙しくしていてあの少女をとても重宝に使っていた。警戒心など微塵も感じなかったもの……
いぶかしむ私を嫌悪の眼差しで見ていたのは侍女達だった。
「私たち侍女は、いかなる時も皇帝陛下や皇后殿下のために注意をしております。厨房には必ずコックの格好した私たちが3人は紛れていることを知らなかったのですか? 皇帝陛下及び皇后殿下の食事を作る様子や盛り付ける様子はずっと私たちが交代で監視しているのですよ」
冷たい声が私を厳しく断罪しようとする。
次の瞬間あの少女が侍女達に連れてこられて床にねじ伏せられたのだった……
「こっそり人を殺せる薬は無いのかしら? 毒薬で殺したとわからないような方法で普通の病気で弱っていくような薬を探しているんだけれど……」
「ふふん! あるにはあるが代償が必要だな。それは人間の極限までの苦痛の叫び。それをくれる約束をして欲しい」
今、私はお忍びの服装で市井の占い師に愚痴り思いがけない返事がもらえた。この美しい占い師は初めて見る顔でついその手に触りたくて手占いをしてもらったのだ。気分良くくつろいでいたおかげでつい本音の愚痴が漏れた私だった。
「人間の苦痛の叫びが欲しいの? それなら多分あげれると思うわ。1番憎たらしい人の苦痛の叫びをあげられると思うの。ふふふ」
「それならばこの薬をあげよう。毎日少しずつ飲ませるんだ。私は誰の苦痛でもいいからね。目の前にいるお前の苦痛の叫びでも、例えばお前がとても嫌っている姉さんの苦痛でもどちらでも良い。楽しみに待っているよ」
お姉様の話などしていないのにその占い師はそのようなことを言ったかと思うと次の瞬間には跡形もなく消えていた。手にはその男からもらった薬の包みが2袋あって、私は喜びにほくそ笑んだ。
まずは、お姉様を大事にしている皇后殿下をなんとかしないとね。皇后殿下の食事にその薬を入れられることができたのならばきっと病気になって死んでくれる。それから次に皇帝陛下に毒を盛る。この2人が消えてしまえば皇太子の思うがままの世界ができあがる。
ーーお姉様の味方ばかりする侍女達もまとめて首を切り、私だけを崇める侍女達を集めてやるんだから!
そう思いながら街中を歩き1人の貧しい少女に目をつけた。乞食のような格好で地べたに座り込んで残飯を漁っていた。
「ねぇ、あなた。おいしいものがおなかいっぱい食べたくない? 私と一緒に来れば好きなだけ食べ物が食べられるのよ」
そんな甘い言葉をその少女に言うと、私は少女の手を引いて宮廷に戻った。
その少女をうまいこと手なづけて私の思い通りに動かせる。つまりは厨房に忍び込み皇后殿下の食事に薬を入れさせたのだ。
ーーさて、これから面白いことになるはずだわ。ワクワクしてきちゃう。早くこの傲慢な皇后殿下が弱ってこないかしら?
ところが、全く弱ってこない。それどころかますます元気でお姉さまと毎早朝不思議な体操をしていた。
「これはとても健康に良い体操なんですよ。毎朝するととても気持ちがいいのです」
馬鹿みたいに手足をグルングルンして飛び跳ねたりもするその体操をなんと皇帝陛下までやりだした。
ーーお姉さまがつぶやいていた言葉が不思議だったわ。ラジオ体操ってなんだろう?
☾︎*࿐ ⋆
「いいこと? 皇后陛下のスープにはこの薬をいつもの倍の量入れてちょうだい。そして今日からは皇帝陛下のスープにも入れなさい。厨房を手伝うふりをしてうまいことやるのよ」
そそのかして少女に毒を盛らせるけれど一向に効果がない。
そしてそれからしばらくして、皇帝陛下がおっしゃった。
「ここには、恐ろしい暗殺者がいる。そいつは可愛い顔をしていて、だが心の中は卑怯で残酷だ。そしてその狡猾な女の色気に惑わされ真実が見えない愚か者もいる。わしはもうそろそろそういった者たちに裁きを与える時期だと思う」
ーーこれは誰のことかしら? まさか私のことでは無いはずだわ。厨房のコックたちはいつも忙しくしていてあの少女をとても重宝に使っていた。警戒心など微塵も感じなかったもの……
いぶかしむ私を嫌悪の眼差しで見ていたのは侍女達だった。
「私たち侍女は、いかなる時も皇帝陛下や皇后殿下のために注意をしております。厨房には必ずコックの格好した私たちが3人は紛れていることを知らなかったのですか? 皇帝陛下及び皇后殿下の食事を作る様子や盛り付ける様子はずっと私たちが交代で監視しているのですよ」
冷たい声が私を厳しく断罪しようとする。
次の瞬間あの少女が侍女達に連れてこられて床にねじ伏せられたのだった……
44
あなたにおすすめの小説
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件
水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」
結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。
出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。
愛を期待されないのなら、失望させることもない。
契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。
ただ「役に立ちたい」という一心だった。
――その瞬間。
冷酷騎士の情緒が崩壊した。
「君は、自分の価値を分かっていない」
開始一分で愛さない宣言は撤回。
無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。
以後、
寝室は強制統合
常時抱っこ移動
一秒ごとに更新される溺愛
妻を傷つける者には容赦なし宣言
甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。
さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――?
自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。
溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ
醜女公爵令嬢の私が新婚初夜に「お前の事は愛することはない」と言われたので既成事実を作ったら、冷酷騎士団長の夫が狂ったように執着してきました
スノウマン(ユッキー)
恋愛
醜女と馬鹿にされる公爵令嬢レティーナは、自分とは違い子供は美形になって欲しいと願う。その為に国一番のイケメンである女嫌いで笑わない事で有名な冷酷な騎士団長カイゼルの子種が欲しいと考えた。実家も巻き込み政略結婚でカイゼルと結婚したレティーナだったが彼は新婚初夜に「お前の事は愛することはない」と告げてきた。だがそれくらいレティーナも予想していた。だから事前に準備していた拘束魔法でカイゼルの動きを封じて既成事実を作った。プライドを傷つけられカイゼルは烈火の如く怒っているだろうと予想していたのに、翌日からカイゼルはレティーナに愛を囁き始めて!?
さようなら、私を「枯れた花」と呼んだ貴方。~辺境で英雄を救って聖女と呼ばれたので、没落した元婚約者の謝罪は受け付けません~
阿里
恋愛
「お前のような見栄えの悪い女は、俺の隣にふさわしくない」
婚約者アレクに捨てられ、辺境へ追いやられたセレナ。
けれど、彼女が森で拾ったのは、アレクなど足元にも及ばないほど強くて優しい、呪われた英雄ライアンだった。
セレナの薬草が奇跡を起こし、王都を救う特効薬となったとき、かつて自分を捨てた男との再会が訪れる。
「やり直そう」と縋り付くアレクに、セレナは最愛の人と寄り添いながら静かに微笑む。
――あなたが捨てたのは、ただの影ではなく、あなたの未来そのものだったのですよ。
公爵令嬢のひとりごと
鬼ヶ咲あちたん
ファンタジー
城下町へ視察にいった王太子シメオンは、食堂の看板娘コレットがひたむきに働く姿に目を奪われる。それ以来、事あるごとに婚約者である公爵令嬢ロザリーを貶すようになった。「君はもっとコレットを見習ったほうがいい」そんな日々にうんざりしたロザリーのひとりごと。
公爵夫人は愛されている事に気が付かない
山葵
恋愛
「あら?侯爵夫人ご覧になって…」
「あれはクライマス公爵…いつ見ても惚れ惚れしてしまいますわねぇ~♡」
「本当に女性が見ても羨ましいくらいの美形ですわねぇ~♡…それなのに…」
「本当にクライマス公爵が可哀想でならないわ…いくら王命だからと言ってもねぇ…」
社交パーティーに参加すれば、いつも聞こえてくる私への陰口…。
貴女達が言わなくても、私が1番、分かっている。
夫の隣に私は相応しくないのだと…。
【4話完結】 君を愛することはないと、こっちから言ってみた
紬あおい
恋愛
皇女にべったりな護衛騎士の夫。
流行りの「君を愛することはない」と先に言ってやった。
ザマアミロ!はあ、スッキリした。
と思っていたら、夫が溺愛されたがってる…何で!?
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
王宮メイドは今日も夫を「観察」する
kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」
王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。
ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。
だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……?
※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる