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14 慟哭するアリッサ
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「ライン様、どうしましょう? 私・・・・・・ライン様に迷惑をかけたくないです」
「大丈夫。私がなんとかしますから、心配しないでください。絶対に、守ると約束しますよ」
(ライン様がそう言ってくださるのは嬉しいけれど、好きな方を困らせたくないのよ・・・・・・私は、どうしたらいいの?)
国王は法の最高の代表であり、貴族間の紛争や結婚などの重要な決定について、最終的な判断を下す権限を持っていた。これは、国王が国家の統治者であり、平和と秩序を維持するために必要な権能であると認識されていたからである。今回、ギャロウェイ伯爵とウィルコックス伯爵が国王に直訴し、国王が貴族間のいざこざを解決するための裁判を開くことになったのだった。
勅令で指定された日時にアリッサはラインと出頭したのだが、両親と兄はアリッサを責めるように睨みつけていた。サミーは傷ついたような表情で、アリッサを見つめる。まるで、アリッサに裏切られた被害者のような面持ちだった。サミーはアリッサとすれ違いざまに、声までかけてきた。
「アリッサが私を愛していることはわかっているんだよ。ライン卿のもとに行ったのも、私に妬いて欲しかったのだよね? 拗ねていないで戻っておいで。アリッサの過ちは許してあげるよ」
「私の名前を呼び捨てにしないでください。ライン様だけが私を呼び捨てにしていい方ですわ」
「何を言っているんだい? ギャロウェイ伯爵夫妻やニッキー卿だって呼び捨てにしているよね? 私はアリッサの未来の夫だよ。いつまでも拗ね続けるなんてアリッサらしくないし、可愛くないぞ☆」
サミーはおどけた口調でからかうようにアリッサに言う。ラインはアリッサを守るようにサミーの前に立ちはだかった。
「サミー卿。アリッサは私の妻になる女性です。くだらないことを話しかけないでいただきたい」
サミーはラインの威厳ある声に一瞬怯んだが、すぐ口元をゆるめ嘲笑を浮かべた。
「国王陛下は私の味方をしてくださるよ。悪いがライン卿に勝ち目はないさ。だって、私の領地にはダイヤモンド鉱山があるんだよ?」
サミーが子供のように胸を張って自慢する姿に、アリッサはますます幻滅し、嫌悪感さえ抱いた。かつてあれほど好きだった理由が、今では全くわからない。
しかし、結果はサミーの言うとおりになった。 国王の決定は一方的にサミーの言い分を認めるものだった。アリッサは未成年であることから両親の決定に従うこととされ、ラインは未成年の女性を親権者の許可なく匿った罪に問われたのである。
アリッサが今までの経緯を話しても、たいした意味はなかった。国王はアリッサとサミーが結婚することで、ますます国が潤うという経済的利点しか興味がなかったのだ。
「速やかにアリッサ嬢をギャロウェイ伯爵家に戻すのならば、今までのライン卿の功績に免じて罪には問わない。婚約も交わしていない男女の間柄では、ライン卿にアリッサ嬢を保護する資格はない。18歳未満の女性に結婚相手を選ぶ権利も与えない。なぜなら、そんなことを認めたら貴族間の秩序が崩壊してしまうからだ」
(私がギャロウェイ伯爵家に戻らなければ、ライン様は王命裁定による責任追及を免れない。私のためにライン様を罪人にすることなどできないわ)
「私が間違っていました。ライン様の屋敷には、私が勝手に押しかけただけです。 ギャロウェイ伯爵家に戻りますから、ライン様を罪に問わないでください」
「アリッサ。戻ってはいけない。私のことは気にしなくていいのだよ。なんとか良い方法を探してみせる。絶対に守ってみせるから」
(ライン様からの深い愛を感じるわ。本当に私を心から守ってくれようとしている。でも・・・・・・だからこそ、私は戻らなければならないのよ。ライン様が私を守りたいと思っているのと同じぐらい、私だってライン様を守りたいの)
「・・・・・・ライン様。やはり、私はサミー卿が好きなようです。ですから、ギャロウェイ伯爵家に戻りますね」
嘘だった。アリッサの心にいるのはラインだけだ。しかし、こうでも言わなければラインは引き下がらないと、アリッサは思ったのだ。
「アリッサ、やっと本心を言ってくれたね。正直になってくれて、私は本当に嬉しいよ。女性は素直が一番だからね。では、国王陛下、私とセリーナとの離婚も認めてくださいますよね。性悪なセリーナは妊娠したと嘘をつき、私を脅しました。以前からの婚約者であるアリッサ嬢との結婚を認めてください」
国王はサミーとセリーナの結婚を無効であることを認めた。婚姻は神聖な契約とされ、その成立には真実性と誠実さが求められる。セリーナの虚偽の主張は、婚姻契約の成立条件を欠いていると考えられたのだ。
さらに、アリッサとサミーの結婚も承認された。サミーはダイヤモンド鉱山の事業を営んでいおり、アリッサの家は国内外に広がる貿易ネットワークを持っている。彼らの結婚は、これら二大経済勢力の結びつきを強化し、国家全体の経済発展に大きく貢献するものだった。国王としては国の繁栄を最優先に考え、二人の政略結婚を通じて、国内の経済基盤をさらに強固なものにすることが望ましいと判断したのだ。
王命裁定は王宮内の大評議室で行われた。大評議室を出たアリッサは、どこか遠い場所にいるかのような感覚にとらわれていた。ラインと決別したという現実が、アリッサの心を深い絶望の底へと突き落とした。足元を見つめながら、ぼんやりと歩みを進めていたが、母親の厳しい声が静寂を破った。
「家出をするなんて淑女として、はしたないことですよ。しかも、男性の屋敷に駆け込むとは。ライン卿とは婚約もしていなかったでしょう?」
アリッサの心は反論する力を失っていた。サミーとの結婚……その現実を受け入れることができない。頭の中では理解しているが、心は完全に拒絶していた。
優しい笑顔、あたたかい声……ラインとの時間がすべて失われると思うと、胸が押しつぶされそうになっていた。
アリッサが馬車に乗り込むと、突然激しい雨が降り始めた。雨粒が窓を叩きつける音が、アリッサの心の中の嵐を映し出しているかのようだった。雨はまるでアリッサの内にある苦しみや怒りを代弁するかのように激しく降り続ける。
アリッサは窓の外を見つめながら、自分の感情がすべて押しつぶされていくのを感じた。サミーとの結婚という冷たい現実に直面したアリッサは、自分がどれほど弱く、無力であるかを痛感した。雨音に包まれながら、アリッサは無言でその冷たさを受け入れるしかなかった。
(ライン様。一緒にはなれないけれど、心はあなただけのものです・・・・・・)
サミーに捨てられた時の悲しみなど、この時のアリッサの慟哭に比べたら、まるで比較にならないほど浅いものだった。真実の愛を知ってしまったアリッサにとって、サミーとの結婚はまさに地獄だ。サミーは美しい女性には誰にでも優しく、その態度はアリッサの心を蝕んでいくだろう。サミーと一緒にいる限り、アリッサは自分の本当の価値を信じることができないのだ。
ギャロウェイ伯爵家に戻ると、アリッサは父親や兄から厳しく叱責された。
「貴族の娘としての義務を放棄して、他の男と一緒になろうとするなど、愚かで勝手な行為なのだぞ。サミー卿のほうが、よっぽど条件がいいではないか? なにが気に入らなかったんだ?」
ギャロウェイ伯爵はサミー卿を褒め称え、アリッサの身勝手さを責めた。
「どんな女性もサミー卿に恋い焦がれている。しかも大金持ちだぞ。どうかしているんじゃないのか、妹よ?」
「お兄様。ライン様だってサミー卿に劣らないほど裕福です。それに決定的な違いがあるわ。サミー卿は多くの女性に愛を振りまくけれど、ライン様は私だけを一途に愛してくださるのです。サミー卿と結婚したら、私は絶対に幸せになれません」
「お金持ちで麗しい男性ならそれで十分でしょう? 心まで望むなんて贅沢なことです。貴族の結婚に愛など必要ありませんわ。サミー卿が他の女性を愛したとしても、あなたは正妻としてどっしりと構えていればいいのです。それが高位貴族の夫人としての義務ですよ」
ギャロウェイ伯爵夫人はアリッサに妻としての心得を説いた。
「母上の言う通りだよ。アリッサは妻という立場で堂々と構えていればいいのだよ。確かにサミー卿は多くの女性に好かれているだろうが、アリッサは正妻となるんだ。彼の跡取りを産み、ギャロウェイ伯爵家のために貢献することがアリッサの役割だ。愛だの恋だの、そんな浮ついたことは忘れるんだ」
「お兄様のように割り切れたら、どんなに楽でしょう。ですが、私は愛する人にとって、特別な存在でいたいのです」
ギャロウェイ伯爵とニッキーは鼻で嘲笑い、ギャロウェイ伯爵夫人は呆れたようにアリッサをたしなめた。
「結婚に夢を見すぎてはいけませんよ。貴族の結婚に愛は二の次。立派な跡継ぎを生み、実家と婚家の繁栄に尽力することこそ、正しい貴族令嬢としての生き方です。サミー卿との結婚は国王陛下もお認めになった正式な決定事項です。それを覆すことなどできません。王命なのですよ」
ギャロウェイ伯爵夫人は自分もそのように生きてきたことを強調した。
(だったら、貴族になんか生まれてこなければ良かった……)
アリッサの瞳から新たに涙がこぼれ、プレシャスが優しくハンカチでそれを拭った。
「アリッサ様はお疲れのようですわ。この話はもうこれくらいにしてはいかがですか? 私がお部屋まで連れていきます」
アリッサはプレシャスにすがりつき、涙を流した。プレシャスは彼女をそっと抱きしめ、静かに慰めながら部屋へと導いた。
「アリッサ様……お可哀想に。まさかギャロウェイ伯爵が、ここまでして連れ戻そうとするなんて思いませんでした……」
「私も、お父様たちが王命裁決まで求めるなんて、思わなかったです」
なぜなら……
「大丈夫。私がなんとかしますから、心配しないでください。絶対に、守ると約束しますよ」
(ライン様がそう言ってくださるのは嬉しいけれど、好きな方を困らせたくないのよ・・・・・・私は、どうしたらいいの?)
国王は法の最高の代表であり、貴族間の紛争や結婚などの重要な決定について、最終的な判断を下す権限を持っていた。これは、国王が国家の統治者であり、平和と秩序を維持するために必要な権能であると認識されていたからである。今回、ギャロウェイ伯爵とウィルコックス伯爵が国王に直訴し、国王が貴族間のいざこざを解決するための裁判を開くことになったのだった。
勅令で指定された日時にアリッサはラインと出頭したのだが、両親と兄はアリッサを責めるように睨みつけていた。サミーは傷ついたような表情で、アリッサを見つめる。まるで、アリッサに裏切られた被害者のような面持ちだった。サミーはアリッサとすれ違いざまに、声までかけてきた。
「アリッサが私を愛していることはわかっているんだよ。ライン卿のもとに行ったのも、私に妬いて欲しかったのだよね? 拗ねていないで戻っておいで。アリッサの過ちは許してあげるよ」
「私の名前を呼び捨てにしないでください。ライン様だけが私を呼び捨てにしていい方ですわ」
「何を言っているんだい? ギャロウェイ伯爵夫妻やニッキー卿だって呼び捨てにしているよね? 私はアリッサの未来の夫だよ。いつまでも拗ね続けるなんてアリッサらしくないし、可愛くないぞ☆」
サミーはおどけた口調でからかうようにアリッサに言う。ラインはアリッサを守るようにサミーの前に立ちはだかった。
「サミー卿。アリッサは私の妻になる女性です。くだらないことを話しかけないでいただきたい」
サミーはラインの威厳ある声に一瞬怯んだが、すぐ口元をゆるめ嘲笑を浮かべた。
「国王陛下は私の味方をしてくださるよ。悪いがライン卿に勝ち目はないさ。だって、私の領地にはダイヤモンド鉱山があるんだよ?」
サミーが子供のように胸を張って自慢する姿に、アリッサはますます幻滅し、嫌悪感さえ抱いた。かつてあれほど好きだった理由が、今では全くわからない。
しかし、結果はサミーの言うとおりになった。 国王の決定は一方的にサミーの言い分を認めるものだった。アリッサは未成年であることから両親の決定に従うこととされ、ラインは未成年の女性を親権者の許可なく匿った罪に問われたのである。
アリッサが今までの経緯を話しても、たいした意味はなかった。国王はアリッサとサミーが結婚することで、ますます国が潤うという経済的利点しか興味がなかったのだ。
「速やかにアリッサ嬢をギャロウェイ伯爵家に戻すのならば、今までのライン卿の功績に免じて罪には問わない。婚約も交わしていない男女の間柄では、ライン卿にアリッサ嬢を保護する資格はない。18歳未満の女性に結婚相手を選ぶ権利も与えない。なぜなら、そんなことを認めたら貴族間の秩序が崩壊してしまうからだ」
(私がギャロウェイ伯爵家に戻らなければ、ライン様は王命裁定による責任追及を免れない。私のためにライン様を罪人にすることなどできないわ)
「私が間違っていました。ライン様の屋敷には、私が勝手に押しかけただけです。 ギャロウェイ伯爵家に戻りますから、ライン様を罪に問わないでください」
「アリッサ。戻ってはいけない。私のことは気にしなくていいのだよ。なんとか良い方法を探してみせる。絶対に守ってみせるから」
(ライン様からの深い愛を感じるわ。本当に私を心から守ってくれようとしている。でも・・・・・・だからこそ、私は戻らなければならないのよ。ライン様が私を守りたいと思っているのと同じぐらい、私だってライン様を守りたいの)
「・・・・・・ライン様。やはり、私はサミー卿が好きなようです。ですから、ギャロウェイ伯爵家に戻りますね」
嘘だった。アリッサの心にいるのはラインだけだ。しかし、こうでも言わなければラインは引き下がらないと、アリッサは思ったのだ。
「アリッサ、やっと本心を言ってくれたね。正直になってくれて、私は本当に嬉しいよ。女性は素直が一番だからね。では、国王陛下、私とセリーナとの離婚も認めてくださいますよね。性悪なセリーナは妊娠したと嘘をつき、私を脅しました。以前からの婚約者であるアリッサ嬢との結婚を認めてください」
国王はサミーとセリーナの結婚を無効であることを認めた。婚姻は神聖な契約とされ、その成立には真実性と誠実さが求められる。セリーナの虚偽の主張は、婚姻契約の成立条件を欠いていると考えられたのだ。
さらに、アリッサとサミーの結婚も承認された。サミーはダイヤモンド鉱山の事業を営んでいおり、アリッサの家は国内外に広がる貿易ネットワークを持っている。彼らの結婚は、これら二大経済勢力の結びつきを強化し、国家全体の経済発展に大きく貢献するものだった。国王としては国の繁栄を最優先に考え、二人の政略結婚を通じて、国内の経済基盤をさらに強固なものにすることが望ましいと判断したのだ。
王命裁定は王宮内の大評議室で行われた。大評議室を出たアリッサは、どこか遠い場所にいるかのような感覚にとらわれていた。ラインと決別したという現実が、アリッサの心を深い絶望の底へと突き落とした。足元を見つめながら、ぼんやりと歩みを進めていたが、母親の厳しい声が静寂を破った。
「家出をするなんて淑女として、はしたないことですよ。しかも、男性の屋敷に駆け込むとは。ライン卿とは婚約もしていなかったでしょう?」
アリッサの心は反論する力を失っていた。サミーとの結婚……その現実を受け入れることができない。頭の中では理解しているが、心は完全に拒絶していた。
優しい笑顔、あたたかい声……ラインとの時間がすべて失われると思うと、胸が押しつぶされそうになっていた。
アリッサが馬車に乗り込むと、突然激しい雨が降り始めた。雨粒が窓を叩きつける音が、アリッサの心の中の嵐を映し出しているかのようだった。雨はまるでアリッサの内にある苦しみや怒りを代弁するかのように激しく降り続ける。
アリッサは窓の外を見つめながら、自分の感情がすべて押しつぶされていくのを感じた。サミーとの結婚という冷たい現実に直面したアリッサは、自分がどれほど弱く、無力であるかを痛感した。雨音に包まれながら、アリッサは無言でその冷たさを受け入れるしかなかった。
(ライン様。一緒にはなれないけれど、心はあなただけのものです・・・・・・)
サミーに捨てられた時の悲しみなど、この時のアリッサの慟哭に比べたら、まるで比較にならないほど浅いものだった。真実の愛を知ってしまったアリッサにとって、サミーとの結婚はまさに地獄だ。サミーは美しい女性には誰にでも優しく、その態度はアリッサの心を蝕んでいくだろう。サミーと一緒にいる限り、アリッサは自分の本当の価値を信じることができないのだ。
ギャロウェイ伯爵家に戻ると、アリッサは父親や兄から厳しく叱責された。
「貴族の娘としての義務を放棄して、他の男と一緒になろうとするなど、愚かで勝手な行為なのだぞ。サミー卿のほうが、よっぽど条件がいいではないか? なにが気に入らなかったんだ?」
ギャロウェイ伯爵はサミー卿を褒め称え、アリッサの身勝手さを責めた。
「どんな女性もサミー卿に恋い焦がれている。しかも大金持ちだぞ。どうかしているんじゃないのか、妹よ?」
「お兄様。ライン様だってサミー卿に劣らないほど裕福です。それに決定的な違いがあるわ。サミー卿は多くの女性に愛を振りまくけれど、ライン様は私だけを一途に愛してくださるのです。サミー卿と結婚したら、私は絶対に幸せになれません」
「お金持ちで麗しい男性ならそれで十分でしょう? 心まで望むなんて贅沢なことです。貴族の結婚に愛など必要ありませんわ。サミー卿が他の女性を愛したとしても、あなたは正妻としてどっしりと構えていればいいのです。それが高位貴族の夫人としての義務ですよ」
ギャロウェイ伯爵夫人はアリッサに妻としての心得を説いた。
「母上の言う通りだよ。アリッサは妻という立場で堂々と構えていればいいのだよ。確かにサミー卿は多くの女性に好かれているだろうが、アリッサは正妻となるんだ。彼の跡取りを産み、ギャロウェイ伯爵家のために貢献することがアリッサの役割だ。愛だの恋だの、そんな浮ついたことは忘れるんだ」
「お兄様のように割り切れたら、どんなに楽でしょう。ですが、私は愛する人にとって、特別な存在でいたいのです」
ギャロウェイ伯爵とニッキーは鼻で嘲笑い、ギャロウェイ伯爵夫人は呆れたようにアリッサをたしなめた。
「結婚に夢を見すぎてはいけませんよ。貴族の結婚に愛は二の次。立派な跡継ぎを生み、実家と婚家の繁栄に尽力することこそ、正しい貴族令嬢としての生き方です。サミー卿との結婚は国王陛下もお認めになった正式な決定事項です。それを覆すことなどできません。王命なのですよ」
ギャロウェイ伯爵夫人は自分もそのように生きてきたことを強調した。
(だったら、貴族になんか生まれてこなければ良かった……)
アリッサの瞳から新たに涙がこぼれ、プレシャスが優しくハンカチでそれを拭った。
「アリッサ様はお疲れのようですわ。この話はもうこれくらいにしてはいかがですか? 私がお部屋まで連れていきます」
アリッサはプレシャスにすがりつき、涙を流した。プレシャスは彼女をそっと抱きしめ、静かに慰めながら部屋へと導いた。
「アリッサ様……お可哀想に。まさかギャロウェイ伯爵が、ここまでして連れ戻そうとするなんて思いませんでした……」
「私も、お父様たちが王命裁決まで求めるなんて、思わなかったです」
なぜなら……
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