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32 アリッサのお腹には・・・・・・
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(サミー卿と結婚しなくて本当に良かった。なんだか……ナルシストすぎて……気持ち悪い)
アリッサは、こんな男を好きだった自分が信じられず、まるで黒歴史を抱えているかのような嫌悪感に苛まれた。
「今から10年後、20年後、30年後のサミー卿は、どんな姿になっていると思います? 人間は歳を取る生き物なのですわ。今は麗しくとも、その美しさは永遠ではありません」
アリッサは声にサミーへの嫌悪感を滲ませながら、話を続ける。
「年頃になったクリスタルが、父親ほどの年齢の男性に恋をするとは思えません。クリスタルにはふさわしい相手がきっと他にいるでしょうし、もっと若くて魅力的な男性が彼女の前に現れる可能性のほうが、はるかに大きいわ」
サミーはその言葉に耳を貸すことなく、満面の笑みを浮かべた。
「愛に年齢は関係ないね」と彼は自信満々に語る。
「私ほどの麗しさなら、40歳になってもその美しさは衰えず、むしろ魅力が増すことさえあるだろう。自信があるからこそ、私はそんな未来を恐れない。人々は年齢に囚われがちだが、真の美しさは内面からにじみでてくるものだから。私がそのことを証明してみせる」
ラインは、冷ややかな視線でサミーを見つめていたが、その言葉に吹き出しそうになった。
「内面からにじみでてくるだと? 中身が少しも伴っていないよな? 外見しか美しくない君は、歳を重ねるごとに魅力がなくなっていくんだ。サミー卿と話していても不毛な時間で意味がない。すまんが、そこをどいてくれないか? クリスタルがぐずりだしているし、私たちは疲れているんだ」
「血が繋がっていない子を育てるなんて、面倒くさく感じるでしょう? 私が代わりに育ててあげても構わないと思っている。どうせ、ライン卿のところもすぐに子供ができて、クリスタルが邪魔になるはずさ。実の子が生まれたら、他人の子なんて可愛いとは思えなくなるでしょう?」
「なんてことをおっしゃるの! クリスタルが邪魔になるわけがないでしょう? 早く、騎士たちをどかしてくださらない? いい加減、怒りますわよ」
アリッサはきつい口調で反論したが、ニヤニヤしたままのサミーは、クリスタルを渡すまではここを動かない、と主張した。相変わらず、話が通じないとアリッサは思った。
しかし、アリッサたちを警護している騎士たちよりも、サミーの騎士のほうが数も多く、傭兵と呼ばれる荒くれ者たちも従えている。
森のほうに目をやると、精霊の子ウサギたちがこちらを心配そうに見ていた。
(困ったわ。精霊たちはワイマーク伯爵領でしか力をふるえないのに……)
アリッサの内心を見透かすかのように、サミーが嘲笑を浮かべて口を開く。
「どうせ、あのウサギの化け物はワイマーク伯爵領内でしか力を発揮できないんだろう? 一歩でも領地からはずれたら、何の影響も及ぼせないことくらいお見通しだ。さぁ、その赤ん坊を私に渡してもらおうか」
そう言って、サミーがアリッサの腕に手を伸ばした瞬間、鮮やかな緑の閃光が空気を切り裂いた。
「えっ? アリッサの体から……光が? なんだこれは? うわぁ~~、……ぐへっ!」
サミーは叫びを上げる暇もなく、一瞬のうちにワイマーク伯爵領の森へと飛ばされた。そこには、待ち構えていた子ウサギがすでに樫の木ほどの大きさにまで膨れ上がり、彼を追いかけ始めた。ウサギはサミーを踏み潰すような動作を見せつけながら、ぎりぎりのところで足を止め、恐怖を与えるかのようにあえて踏まずに揺さぶりをかけていた。
サミーを森に飛ばしたのは馬車の周りに生えていた草で、サミーを一瞬で森へと飛ばす役目を終えると、再びシュルシュルと元の丈へと戻っていった。
「どういうことかしら? 草が助けてくれたということ? びっくりだわ。いったい・・・・・・なぜ?」
サミーに同行していた騎士たちは、巨大化したウサギの姿を見て恐怖に駆られ、次々に逃げ出そうとした。しかし、その瞬間、先ほどサミーを放り投げた草たちが再び動き出し、騎士たちを次々と捕らえた。草はまるで意思を持っているかのように足元を絡め取り、転ばせたり、高く放り投げたりして、彼らを次々と制圧していった。
こうして、まるで生きているかのように動く草たちと巨大ウサギの活躍によって、サミーたちを追い払うことができたのだった。
アリッサたちがワイマーク伯爵領に無事足を踏み入れると、子ウサギたちが駆け寄ってきて足下でピョンピョンと跳ね回り、とても嬉しそうにしていた。
アリッサが子ウサギたちの鼻に触ると、目の前にラインに抱かれた緑の髪と瞳を持つ赤ちゃんの幻影が現れた。アリッサはベッドに寝ていてラインに「お疲れ様。私たちの長男はとても綺麗で賢そうだよ」と言われている。
「もしかして、私たちの子供? まさか、……このお腹に新しい命が宿っているの?」
「え? アリッサ、精霊たちはなんと言ったんだい?」
「この子たちは言葉ではなく幻影を見せてくれるのよ。今ね、ライン様が緑の髪と瞳の赤ちゃんを抱いているのが見えたわ」
アリッサは嬉しそうにラインに報告したのだった。
アリッサは、こんな男を好きだった自分が信じられず、まるで黒歴史を抱えているかのような嫌悪感に苛まれた。
「今から10年後、20年後、30年後のサミー卿は、どんな姿になっていると思います? 人間は歳を取る生き物なのですわ。今は麗しくとも、その美しさは永遠ではありません」
アリッサは声にサミーへの嫌悪感を滲ませながら、話を続ける。
「年頃になったクリスタルが、父親ほどの年齢の男性に恋をするとは思えません。クリスタルにはふさわしい相手がきっと他にいるでしょうし、もっと若くて魅力的な男性が彼女の前に現れる可能性のほうが、はるかに大きいわ」
サミーはその言葉に耳を貸すことなく、満面の笑みを浮かべた。
「愛に年齢は関係ないね」と彼は自信満々に語る。
「私ほどの麗しさなら、40歳になってもその美しさは衰えず、むしろ魅力が増すことさえあるだろう。自信があるからこそ、私はそんな未来を恐れない。人々は年齢に囚われがちだが、真の美しさは内面からにじみでてくるものだから。私がそのことを証明してみせる」
ラインは、冷ややかな視線でサミーを見つめていたが、その言葉に吹き出しそうになった。
「内面からにじみでてくるだと? 中身が少しも伴っていないよな? 外見しか美しくない君は、歳を重ねるごとに魅力がなくなっていくんだ。サミー卿と話していても不毛な時間で意味がない。すまんが、そこをどいてくれないか? クリスタルがぐずりだしているし、私たちは疲れているんだ」
「血が繋がっていない子を育てるなんて、面倒くさく感じるでしょう? 私が代わりに育ててあげても構わないと思っている。どうせ、ライン卿のところもすぐに子供ができて、クリスタルが邪魔になるはずさ。実の子が生まれたら、他人の子なんて可愛いとは思えなくなるでしょう?」
「なんてことをおっしゃるの! クリスタルが邪魔になるわけがないでしょう? 早く、騎士たちをどかしてくださらない? いい加減、怒りますわよ」
アリッサはきつい口調で反論したが、ニヤニヤしたままのサミーは、クリスタルを渡すまではここを動かない、と主張した。相変わらず、話が通じないとアリッサは思った。
しかし、アリッサたちを警護している騎士たちよりも、サミーの騎士のほうが数も多く、傭兵と呼ばれる荒くれ者たちも従えている。
森のほうに目をやると、精霊の子ウサギたちがこちらを心配そうに見ていた。
(困ったわ。精霊たちはワイマーク伯爵領でしか力をふるえないのに……)
アリッサの内心を見透かすかのように、サミーが嘲笑を浮かべて口を開く。
「どうせ、あのウサギの化け物はワイマーク伯爵領内でしか力を発揮できないんだろう? 一歩でも領地からはずれたら、何の影響も及ぼせないことくらいお見通しだ。さぁ、その赤ん坊を私に渡してもらおうか」
そう言って、サミーがアリッサの腕に手を伸ばした瞬間、鮮やかな緑の閃光が空気を切り裂いた。
「えっ? アリッサの体から……光が? なんだこれは? うわぁ~~、……ぐへっ!」
サミーは叫びを上げる暇もなく、一瞬のうちにワイマーク伯爵領の森へと飛ばされた。そこには、待ち構えていた子ウサギがすでに樫の木ほどの大きさにまで膨れ上がり、彼を追いかけ始めた。ウサギはサミーを踏み潰すような動作を見せつけながら、ぎりぎりのところで足を止め、恐怖を与えるかのようにあえて踏まずに揺さぶりをかけていた。
サミーを森に飛ばしたのは馬車の周りに生えていた草で、サミーを一瞬で森へと飛ばす役目を終えると、再びシュルシュルと元の丈へと戻っていった。
「どういうことかしら? 草が助けてくれたということ? びっくりだわ。いったい・・・・・・なぜ?」
サミーに同行していた騎士たちは、巨大化したウサギの姿を見て恐怖に駆られ、次々に逃げ出そうとした。しかし、その瞬間、先ほどサミーを放り投げた草たちが再び動き出し、騎士たちを次々と捕らえた。草はまるで意思を持っているかのように足元を絡め取り、転ばせたり、高く放り投げたりして、彼らを次々と制圧していった。
こうして、まるで生きているかのように動く草たちと巨大ウサギの活躍によって、サミーたちを追い払うことができたのだった。
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アリッサが子ウサギたちの鼻に触ると、目の前にラインに抱かれた緑の髪と瞳を持つ赤ちゃんの幻影が現れた。アリッサはベッドに寝ていてラインに「お疲れ様。私たちの長男はとても綺麗で賢そうだよ」と言われている。
「もしかして、私たちの子供? まさか、……このお腹に新しい命が宿っているの?」
「え? アリッサ、精霊たちはなんと言ったんだい?」
「この子たちは言葉ではなく幻影を見せてくれるのよ。今ね、ライン様が緑の髪と瞳の赤ちゃんを抱いているのが見えたわ」
アリッサは嬉しそうにラインに報告したのだった。
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