(完結)ギャラット王太子様、私を捨てて下さってありがとうございます!

青空一夏

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1 優しい?家族と誠実な?ギャラット王太子殿下

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私はハワード公爵家の長女マリアンでございます。優しい両親とお兄様に恵まれ、さらに私は幸運にもこのステビア王国のギャラット・ステビア王太子殿下に見初められ、王太子妃候補になったのです。

「マリアンは自慢の娘だ。これほど綺麗でなんでもできる才女はそうはいない。ハワード公爵家の宝、いや、この国の宝だぞ!」
お父様はいつもそのように褒めてくださるの。
でも私は才女などではない。私は努力の人なの。なんでもできるのは幼い頃より必死で頑張ってきただけで、遊ぶ暇など少しもなかったのですもの。




「そうね、マリアンちゃんは自慢の娘だわ。誰よりも上品でマナーも完璧! ダンスも驚くほど優雅に踊るもの! 吟遊詩人達がこぞってマリアンちゃんの素晴らしさを歌っているのも誇らしいわ」
お母様は嬉しそうに私の髪を撫で、私はにっこりと微笑みます。
それは一日も欠かさずダンスを練習し、足には幾度となく血豆ができてはその痛さに歯をくいしばり踊り続けた成果です。ハワード公爵家の誉れになるのは私の義務でしたから。



「マリアンは自慢の妹だよ。これほど才能があるのに奥ゆかしく自慢めいた様子さえも見せない」
それはお兄様がことあるごとに私にヤキモチを焼いた幼少期があり、私はなるべく言葉に気をつけて謙虚に振る舞うことを覚えたからです。

私は優しい家族に恵まれて本当に果報者だと思っていますわ。





 
 ギャラット・ステビア王太子殿下は私にだけ愛を囁いてくださいます。
「王太子妃候補のなかでマリアンが一番優秀だ。見た目も美しく俺の横に立っても素晴らしくバランスがいい。美男美女のカップルだな。愛しているよ。この愛は未来永劫続く・・・・・・努力を怠ることなくさらに俺の為に精進するように」
 王族の証、緑の髪と瞳のはっとするほど整った顔立ちのギャラット王太子殿下は私の手をそっと両手で包み、熱っぽい瞳でそうおっしゃいました。
 だから私はますます努力しなければなりません。えぇ、寝る間も惜しんでそれこそ血も吐くほどに・・・・・・



私は次第に痩せ細り憔悴していきました。食欲もなく身体は常に寒気がして立ち上がることもできません。それでもギャラット・ステビア王太子殿下の王太子妃候補が集うお茶会には出席しなければなりませんでした。

体調が悪い私は侍女に支えられるようにしてやっと王宮に向かいます。すると王太子候補の一人、イレーヌ・フランソワ公爵令嬢が顔を青ざめさせて芝居がかった様子で叫んだのです。

「いやだぁーー!! マリアン様ったら、隣国の流行病にかかった人のように痩せ細って・・・・・・。もしそうなら感染してしまうわ! あぁ、怖い! こちらに来ないでくださいな!」

 
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