(完結)真実の愛っていいですね、どうぞお幸せに!

青空一夏

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5-2 マリーはおバカさん

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「マリーの出身校? それは・・・・・・もちろんシンクレア学園であろう? 従姉妹同志なのだから同じ学園に通うのは当然だろう?」

「そうでしょうか? シンクレア学園には入学試験があるのですよ。当たり前のように同じ学園に通えるわけではありません」

「なにをバカなことを言っているのだ? マリーがお前の従姉妹なら、お前と同等の学力があるに決まっているではないか。血が繋がっているのだろう?」

「では、マリー。質問ですわ。この国の法律638条を暗唱なさい。子供でも言える内容でしてよ?」

「638条? えぇっと・・・・・・うっかり、忘れましたわ」

「では500条は? 307条は? 3条あたりなら覚えていらっしゃるかしら?」

「えっと、えっと・・・・・・3条だったらわかりますわ」

「では、どうぞ?」

「3条は王位の世襲と継承についてです。王位は世襲で王位典範の定めにより継承する、です」

「それは2条ですわ。3条は国事行為と国王の責任について記されております。このようなことも知らないで合格できるほどシンクレア学園は甘くないのです。マリーが在籍していた学園はアウトウッド学園ですわ。王太子殿下が通っていらした学園と同じで入学試験はありません」

「お前は俺の通った学園をバカにしたな? いいか? 成績を競い合うなどということは、本来ならば高貴な者のするべきことではないのだ。なぜなら、低位貴族の者には卒業後に就職が待っている。俺のような将来を約束された人間が良い成績を取れば、その分良い評価を得られなくなる低位貴族がかわいそうであろう? だから俺はわざと良い成績をとらないでいたし、あの学園に入学試験がないのも学生達の可能性を潰さない為だ」

「スタンフォード王太子殿下の成績のことは今は問題にはしておりません。ともかく、このような学力の低いマリーはシンクレア学園には入学できなかったのです」

「待てよ。入学試験があっても、そんなものは関係ないぞ。結局は世の中は金だ。財力があればどんな学園でも入れるのではないのか? お前の従姉妹なら金持ちに決まっている」

「マリーの実家は資金繰りにいつも頭を悩ますような経済事情でしたし、それをずっと援助してきたのはルース家ですわ。裏口入学できるほどお金はないはずですし、そもそもシンクレア学園に不正入学はできません。このようにマリーと私は違う学園でしたのに、どうやったら虐めることができるのですか? 物理的に無理です」

「いや、お前が自ら手を下さずともとりまきにやらせればできるだろう? きっとお前のとりまきがお前の指図でマリーを虐めたのだ」

「はぁーー。私の取り巻きはおりませんし、いたとしてもシンクレア校ですわ。アウトウッド校には知り合いすらおりません」

「嘘を言っても調べればわかることだぞ。いつまでもしらを切れると思うなよ」

「さっさとお調べくださいな。こちらは嘘など申し上げておりませんもの」

「証人を呼んでいるのだ。お前の嘘はもうばれているのだぞ」

 夜会の場に、神妙な面持ちで入ってきた方達の顔を見てため息をついた。皆マリーの友人達で、マリーと一緒に学園にも通わず遊ぶことしかしなかった子達なのに。

「この者達が証人だ」

「はい、わかりました。では、この方達の過去の出席簿を全てアウトウッド校に開示してもらうよう要請しますわ。私がマリーを虐めている現場を目撃できないことが証明されるでしょう」

「なぜそう思うのだ?」

「なぜなら、その方達はマリーと一緒に学園をサボってつるんでいた遊び仲間ですわよ。マリーは確かに不登校でした。でも虐めが原因ではありません。ただの勉強嫌いのさぼり魔でしたのよ。マリー、あなたはついに犯罪者に落ちたのね? 私に濡れ衣を着せた罪は重いですわよ」

「ふ、ふん。私にはスタンフォード王太子殿下がついていますわ。犯罪者になんかならないわよ」

「私は王太子妃ですよ。大嘘を吐き王太子妃に罪をきせようとしたのですから立派な犯罪者です。しかも、スタンフォード王太子殿下も騙したことになりますから、これも大きな罪でしょう。私に対する名誉毀損もございます。まぁ、たくさん罪がありすぎて、地下牢から一生出て来られないかもしれませんわね?」

 マリーは青ざめて唇を震わせた。青ざめるぐらいなら初めから私を敵にまわすんじゃないわよ!

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