(完)私の恋人を奪う人妻の姉

青空一夏

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アーシャさんの屋敷に行くジェネシス(ジェネシス視点)

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 やっぱり、アーシャさんには理解不能だったみたい。私は、駅の近くの茶店で、詳細な説明をしてあげた。

「正直言って、全然、理解はできない。ただ、私達とイザベラ達では違う景色が見えていそうだね」

 うん、とても上品な言い回しだと思う。この場合は、『違う景色が見える=頭がおかしい』という意味だと思った。そう、考えれば、悲しむ必要もないのかも・・・・・・

 アーシャさんは、自分も傷ついているだろうに私を慰めてくれた。けれど、私達は少し話しこみすぎたようだ。
王宮行きの汽車はもうなくなっていた。

「これは、申し訳ないことをしたね・・・・・・あぁ、私の屋敷に泊まればいいよ。実は、10日程前から母上も来て泊まっているから、安心して来てもらいたい」

 私は、このままマイロ家に戻りたくないので、アーシャさんのお屋敷にお世話になることにしたのだった。

「あら、お帰りなさい。イザベラさんは? あら、まぁーー、妹さんだったわよねぇ? なぜ、ここに?」

 アーシャさんは、経緯をお母様のメーガン・ワトソン前伯爵夫人に話した。

「ふーーん。随分とまぁ、私の息子に舐めた真似を! 男爵ふぜいが、二男とはいえ伯爵家の者の顔に泥を塗るとはねぇーー」

 冷静なお顔で怒るメーガン・ワトソン前伯爵夫人に思わず謝ると、夫人は慌てて私におっしゃった。

「ジェネシスさんには、少しも怒っていないわよ? 貴女は、あのバカ家族の被害者じゃないの? 可哀想に・・・・・・あの夫婦の功績はこの優秀なお嬢さんを産んだことだけだと思うわ。そうだ、お腹は空いていない? 一緒にお夕飯を食べましょう」

 メーガン・ワトソン前伯爵夫人は、ご自分でお料理もなさる。私もお手伝いをして、その日の夕食は暖かな家庭の味がした。

 翌日、私の両親が意気揚々と離婚届を持ってやって来た。そして、私を見ると、お母様は下品な笑い方をした。

「あら、冴えないジェネシスがイザベラのお陰で、アーシャさんとうまくいきそうね?」

メーガン・ワトソン前伯爵夫人は、私のお母様を睨み付けた。

「やれやれ。美人コンテストで優勝したことだけが自慢の方というのは、ろくに挨拶もできないのですか? 貴方達の要件はもうジェネシスさんから聞いておりますよ。離婚は了承しました。では、お引き取りください」

「ちょっと、待ってよ? 慰謝料をくださいな! イザベラは貴女が屋敷に来て虐めたことで離婚したくなったと言っているわ! だから、メーガン・ワトソン前伯爵夫人はイザベラに慰謝料を払う義務があるわ」

 お母様は、胸を張って得意気に言ったのだった。

 
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