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21-2 リネータ視点
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(代金支払い証明書ってなに? お金をなんで送ってくるの?)
お父様の執務室にパタパタと駆けていき、息を切らしながら送られてきた書類とお金を見せた。
「どうした? なにをそんなに慌てているのだね? ん? なんだい、その紙は? どれどれ、見せてごらん。へ? コンスタンティン様からの支払い証明書? これはいろいろ書いてあって字も細かくてよく読めんな。たいした内容とは思えない。きっとリネータから花をもらうのが心苦しくて、花の代金を送ってきただけなのさ」
お父様は老眼鏡をかけたけれどチラリと見ただけで、面倒くさそうにその紙をデスクの上に放り投げた。
「失礼ですがわたしが拝見してもよろしいでしょうか?」
お祖父様の代から仕えている家令のランスロットもその場にいた。彼はこの屋敷の人事を担当し経理業務や請求書の支払いを行ったりする男性使用人の中で最高位の職に就いている。
亡きお祖父様のお気に入りだったランスロットを私はあまり好きではない。すぐに怒るしお説教するし面倒くさい人だから。
「別に見ても良いけど、お父様がおっしゃるようにたいしたものじゃないのよ。どこかに保管しておいてちょうだい。コンスタンティン様は花束をもらって本当は嬉しいのよ。でもシャイだから照れ隠しでこのような物を送ってきたのです。私にはわかるわ」
「コンスタンティン様が嬉しがっている? 失礼ですがどう考えても拒絶でしょう? リネータ様からは花でさえ受け取りたくないということですよ。ここにはお礼の言葉もありません。至って事務的であり愛情の欠片もないです」
隅から隅まできっちり読んでからランスロットは疑問の言葉を口にした。
(ランスロットは老いぼれで嫌なことばっかり言う。大嫌いだわ)
「わたしにはわかるのよ。これはわたしとコンスタンティン様との間でだけわかることなのです。だってお茶会の時のあの目でわかったもの。私に信じられないものを見るような驚愕の眼差しを向けたのですよ。あれは理想の女性を見つけて感動した時の目だもの。まさにあの時、私達は恋に落ちたわ」
「はぁーー。支払先はフィントン男爵家となっていますし、支払い金額の下の理由欄には、ミニひまわりの品種改良の為の参考として購入したとあります。どこにも愛や恋の文字はございませんでしょう? 取引先から花を仕入れたという証拠を残す為に、出金伝票を使い自ら支払い証明書を発行する。あちらでは帳簿上もきっちり記録され証拠資料として大切に保管してあることでしょう。こちらは写しですね。つまり、あの花束の好意は受け取っていないと明言されたわけです」
「うるさい、うるさぁーーい!! コンスタンティン様は私を拒まなかったし、酷い言葉も言われていないわ。だから私を好きなはずよ」
「礼儀正しい紳士になるように幼い頃から教育されてきた方なのでしょう。女性にはっきり拒絶の言葉や暴言を吐くわけがありません。だからこうして言葉ではなく行動で示していらっしゃるのですよ。いい加減察しろ、という意味です」
淡々と、それがまさに真実であるかのように嘘を吐くランスロットに、私はたまらず悔しくて泣き出した。
(嫌いなら嫌いだと面と向かって言えば良い。罵倒でもされたら嫌われているとわかる。でも、あの方はにこやかに笑っていたし、少しも嫌な顔をしなかった。だから好かれているのよ。なんでこんな簡単な事がランスロットには理解できないの?)
「それはお前のただの意見だろう。娘のリネータを侮辱するのは許さんぞ。コンスタンティン様はリネータを拒絶しなかった。だからきっと好いてくださっているのだ。リネータを泣かす不届き者め。この部屋からでていけ!」
そうおっしゃったお父様は本当に聡明な賢領主だ。フィントン男爵領では私達が絶対的な存在で神にも等しい。家令風情が、いくらお祖父様の代から仕えていたからって生意気すぎなのよ!
翌日、婚約契約書の準備がやっと整い、いつポールスランド伯爵邸を訪問したら良いのか日時調整の為に使いをだした。
アナリーを向かわせたら、一通の分厚い手紙を持って帰ってきた。
(今度こそ私への甘い言葉を書いたラブレターよね?)
浮き浮きしながらその封書を見ると、王家の紋章が入っていた。
(なんで王家が出てくるの?)
お父様の執務室にパタパタと駆けていき、息を切らしながら送られてきた書類とお金を見せた。
「どうした? なにをそんなに慌てているのだね? ん? なんだい、その紙は? どれどれ、見せてごらん。へ? コンスタンティン様からの支払い証明書? これはいろいろ書いてあって字も細かくてよく読めんな。たいした内容とは思えない。きっとリネータから花をもらうのが心苦しくて、花の代金を送ってきただけなのさ」
お父様は老眼鏡をかけたけれどチラリと見ただけで、面倒くさそうにその紙をデスクの上に放り投げた。
「失礼ですがわたしが拝見してもよろしいでしょうか?」
お祖父様の代から仕えている家令のランスロットもその場にいた。彼はこの屋敷の人事を担当し経理業務や請求書の支払いを行ったりする男性使用人の中で最高位の職に就いている。
亡きお祖父様のお気に入りだったランスロットを私はあまり好きではない。すぐに怒るしお説教するし面倒くさい人だから。
「別に見ても良いけど、お父様がおっしゃるようにたいしたものじゃないのよ。どこかに保管しておいてちょうだい。コンスタンティン様は花束をもらって本当は嬉しいのよ。でもシャイだから照れ隠しでこのような物を送ってきたのです。私にはわかるわ」
「コンスタンティン様が嬉しがっている? 失礼ですがどう考えても拒絶でしょう? リネータ様からは花でさえ受け取りたくないということですよ。ここにはお礼の言葉もありません。至って事務的であり愛情の欠片もないです」
隅から隅まできっちり読んでからランスロットは疑問の言葉を口にした。
(ランスロットは老いぼれで嫌なことばっかり言う。大嫌いだわ)
「わたしにはわかるのよ。これはわたしとコンスタンティン様との間でだけわかることなのです。だってお茶会の時のあの目でわかったもの。私に信じられないものを見るような驚愕の眼差しを向けたのですよ。あれは理想の女性を見つけて感動した時の目だもの。まさにあの時、私達は恋に落ちたわ」
「はぁーー。支払先はフィントン男爵家となっていますし、支払い金額の下の理由欄には、ミニひまわりの品種改良の為の参考として購入したとあります。どこにも愛や恋の文字はございませんでしょう? 取引先から花を仕入れたという証拠を残す為に、出金伝票を使い自ら支払い証明書を発行する。あちらでは帳簿上もきっちり記録され証拠資料として大切に保管してあることでしょう。こちらは写しですね。つまり、あの花束の好意は受け取っていないと明言されたわけです」
「うるさい、うるさぁーーい!! コンスタンティン様は私を拒まなかったし、酷い言葉も言われていないわ。だから私を好きなはずよ」
「礼儀正しい紳士になるように幼い頃から教育されてきた方なのでしょう。女性にはっきり拒絶の言葉や暴言を吐くわけがありません。だからこうして言葉ではなく行動で示していらっしゃるのですよ。いい加減察しろ、という意味です」
淡々と、それがまさに真実であるかのように嘘を吐くランスロットに、私はたまらず悔しくて泣き出した。
(嫌いなら嫌いだと面と向かって言えば良い。罵倒でもされたら嫌われているとわかる。でも、あの方はにこやかに笑っていたし、少しも嫌な顔をしなかった。だから好かれているのよ。なんでこんな簡単な事がランスロットには理解できないの?)
「それはお前のただの意見だろう。娘のリネータを侮辱するのは許さんぞ。コンスタンティン様はリネータを拒絶しなかった。だからきっと好いてくださっているのだ。リネータを泣かす不届き者め。この部屋からでていけ!」
そうおっしゃったお父様は本当に聡明な賢領主だ。フィントン男爵領では私達が絶対的な存在で神にも等しい。家令風情が、いくらお祖父様の代から仕えていたからって生意気すぎなのよ!
翌日、婚約契約書の準備がやっと整い、いつポールスランド伯爵邸を訪問したら良いのか日時調整の為に使いをだした。
アナリーを向かわせたら、一通の分厚い手紙を持って帰ってきた。
(今度こそ私への甘い言葉を書いたラブレターよね?)
浮き浮きしながらその封書を見ると、王家の紋章が入っていた。
(なんで王家が出てくるの?)
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