可愛くない私に価値はないのでしょう?

青空一夏

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連載

続編 姉妹の明暗 グレイス視点 / ベリンダ視点 そのさん

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※グレイス視点です。

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 雲ひとつ無い青空が広がる素晴らしい天気に恵まれた当日の湖は、空の色をそのまま映したかのような鮮やかな青色に輝いていた。
 先に馬から降りたコンスタンティン様は、私の身体を抱きかかえるように下ろしてくださる。

 湖畔を散策する際に自然と差し出されたコンスタンティン様の手に、うっかり自分の手を重ねてしまう。しっかりと手を握りしめられ、少しでも足下が心もとない場所では、腰にまで手をまわして私を支えようとする。

「コンスタンティン様、大丈夫です。私は一人でもちゃんと歩けますよ」
「それはわかっているけれど、グレイスは大事な身体だから怪我をしては大変だろう?」

 心配してくださるのは嬉しいけれど過保護すぎると思う。まるで私が妊婦かのように大切に扱うのが不思議だった。この方の奥方になる方はとても幸せになれるだろう。

 いつの間にか指を絡めて手を繋ぎ、ゆっくりと湖畔を二人で歩いてゆく。コンスタンティン様といると、見慣れた花も木々もまるで新しい命が吹き込まれたかのように輝いて見えた。

 野の花が咲き乱れる中で敷物の上に座り、湖を眺めながらのランチ。朝から私とヴェレリアお母様が作ったサンドウィッチ等を広げ始めると、コンスタンティン様が満面の笑みで微笑んだ。

「グレイスの手料理が食べられるなんてとても嬉しいよ。これからもわたしの為に作ってほしい。簡単なもので良いんだよ。例えば9割がたコックが作った肉料理だとしても、最後にソースをかけてくれるのがグレイスなら、その料理は100万倍わたしにとって価値がある」

(最後の仕上がりは私がせよ、とのご命令ね。・・・・・・だとしたらお毒味も私のお仕事かしら?)

「お料理はきっと私も一緒に食べさせていただいた方がよろしいですよね?」

「もちろんさ。グレイスとはずっと一緒に、同じ物を分け合って楽しく食事がしたいよ」

(やはりお毒味のお役目を兼ねるのね。だとしたら毒についてもお勉強しなくてはいけないかしら? 場合によっては毒への耐性もつけた方が良い? やることがいっぱいだわ)

「はい、私はずっとコンスタンティン様の側で同じ物を頂きます。私、頑張りますね!」

「うーーん。多分なにか違う方向に勘違いしていそうだけれど・・・・・・まぁ、いいよ。わたしがグレイスをとても大事に思っていることだけは覚えておいて。グレイスの学園卒業後にわたしの気持ちを打ち明けるとしよう。それまで君は自由に学園生活を謳歌しておくれ」

 私の両頬に優しいキスが落ちてきて、ドキドキしながらサンドウィッチをほんの少しだけかじった。緊張しすぎて味なんかわからないわ、ただ楽しくて嬉しい気持ちがずっと続いているのよ。

(このまま時間が止まれば良いのに・・・・・・)

 今の私はコンスタンティン様しかいない世界で生きているみたい。鳥のさえずりと澄み渡った空と湖に囲まれ、天使のように神々しいコンスタンティン様が隣にいらっしゃる。

「この世で1番素敵な愛らしいグレイスは、今日もとびっきり綺麗だ」
 彼は私の手に口づけて囁いた。

(神様! ずっと永遠にこのままで私をこの時間に縫い止めてください)

 

 




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※ちょこっとベリンダ視点です。



 私は目の前の100万ダラを見つめて考える。

(これから仕事に行かなきゃいけないわ・・・・・・でも、しばらくは仕事なんかしなくても良い気もするわね)

 私は皿洗いの仕事を無断欠勤して、そのままベッドに潜り込み昼まで眠りこけた。

(新しく生き直すのよ。まずは新しいアパートに引っ越そう)

 



 新しいアパートの隣人は背が高く野性的な美貌の男だった。仕事をしていないのか、昼間もよく廊下ですれ違う。越してきてから五日目あたりに声をかけられた。

「こんにちは。こんな可愛い方がお隣に越して来るなんてびっくりしました。お見かけするのがいつもお一人ですけれど、一緒に住んでいる方はいらっしゃらないのですか?」

「可愛い? 確かに昔はかなり可愛いと自覚していましたが、今はすっかり醜くなりました。一緒に住んでいる人はいません」

「あぁ、やはり昔は相当可愛かったのですね、わかりますよ。元の顔の良さが滲み出ていらっしゃいます。ちょっと手直しすれば、昔のように綺麗になれるはずです。可哀想に、歯も欠けているのですね。かつての美しさを取り戻したい気持ちはありますか?」

 美貌の男の優しい微笑みに引き込まれて、私の荒んだ心が解きほぐされていく。あぁ、この人って私の運命の男かも。

「以前の顔を取り戻せるのですか? そのようなことができるのならぜひお願いしたいです」

「お名前を教えてください、素敵なレディ。わたし達はきっと運命の出会いをしたのです。そう思いませんか? わたしの部屋でゆっくりお茶でも飲みましょう」

 ますます男は優しい口調に変わり、私の腰に優しく手を回す。甘い声が私を有頂天にさせた。これできっと私は幸せになれるわ!
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