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(ルーベン視点)
「ダニエル・メンデス男爵は、私の兄上ジョシュア・アラベスク侯爵を殺そうとしました。このメンデス男爵は招いてもいないのにいきなりアラベスク侯爵家を訪問し、アフタヌーンティーを図々しくも要求し、兄上のティーカップに毒薬を入れました。殺そうとしたのは明らかです。その直後に兄上は幻覚を見て死にかけ、朝まで目覚めることができなかった!」
「ちょっと待ってください! 殺そうなんてとんでもない! 毒薬なんていれていない」
「いや、いれたんだよ! メンデス男爵はアラベスク侯爵家のオランジェリー(植物を育てる温室)にある珍しい植物が羨ましかったのだろう? あれは我が国ではアラベスク侯爵家しか所有していないとても高価なものだ。メンデス男爵は各国の珍しい植物をコレクションしていたでしょう? それが欲しくて兄上を殺そうとしたんだ!!」
私はあり得ないほどくだらない理由をでっち上げて、わざと的外れなことを言う。
「ふん! ばかばかしい! 珍しい植物は好きだが殺人までする気にはならん。私が好きなのは金と地位だよ。アラベスク侯爵を殺してしまったら台無しじゃないか! 私はただすいみ・・・・・・あわわ、なんでもありません」
「すいみ? 次の言葉はなんでしょう? メンデス男爵は睡眠薬と言おうとしたのでしょう? でもなんで睡眠薬をいれたのか理由がわからない。やっぱり殺そうとしたんですね?」
「いや、殺そうとしたのではないってば。毒なんかじゃない。ただの睡眠薬をほんのちょっといれただけさ。朝まで寝てくれればいいと思った。それだけなんだ! 決して殺そうなんて思ってもいなかった。信じてくれよ! ほんとだって!」
メンデス男爵はフルフルと首を振る。高位貴族の殺人未遂は死刑だからだ。
「すみません。国王陛下! 私に発言権をください。私はメンデス男爵に睡眠薬を売りました。即効性のある睡眠薬でレンドルミン草から抽出したものです。それは必ず水で飲まなければ副作用が現れ死に至るとこもあります。幻覚が現れ朝まで目が覚めなかったことを考えればこれを飲ませたことは間違いないでしょう。問題は飲ませた量です。正確に計って飲まなければ、永遠に目覚めないこともありますからね。ですから、どう考えてもメンデス男爵は殺そうとしたのでしょうね」
「嘘だ! でたらめを言うな! 私がアラベスク侯爵を殺してなんの得がある? 私はただ娘をアラベスク侯爵夫人にしたかっただけなんだぁーー!! 確かにそれをいれたのは認めるよ。だが殺意なんて全くなかった! ポピーと一夜をともにすればいいと思っただけなんだ!! 娘の将来の為にやってだけさ」
(もう白状しちゃったよ。早すぎるなぁーー)
こんな調子だと、すぐに決着がつきそうだ。
「でも、それが薬のせいだとしても私は純潔を奪われたのですから、ジョシュア様は私を娶る義務があると思います!」
ポピーが横から口を挟み同情を誘うように泣き出した。
泣いたからって裁判は終わらないよ。
「その”純潔の証”こちらに渡してくれ! 調べたい」
「そんなもの恥ずかしくてお見せできません!」
ポピーは最後まで拒んだが国王陛下の命令でしぶしぶ提出。私は早速、血液検査技師に渡しその場で調べてもらった。
「ん? これ、人間の血じゃないです。ウサギの血ですね」
傍聴席はざわめきだし、ポピーに非難の声があがる。
「こんな小細工をするからには、ポピーの身体も検査したいですね。エリザ・ルソー医師から診察を受けてもらうことを要求しますよ。国王陛下、許可をください。エリザ医師は傍聴人席で、すでに待機しています!」
「ふむ、許そう」
別室でエリザ医師が診察している間、メンデス男爵とゴーサンス準男爵は放心状態だ。ポピーを伴って戻ってきたエリザ医師は無表情で言い放つ。
「ポピー嬢は、現在妊娠4ヶ月でございます!」
「ダニエル・メンデス男爵は、私の兄上ジョシュア・アラベスク侯爵を殺そうとしました。このメンデス男爵は招いてもいないのにいきなりアラベスク侯爵家を訪問し、アフタヌーンティーを図々しくも要求し、兄上のティーカップに毒薬を入れました。殺そうとしたのは明らかです。その直後に兄上は幻覚を見て死にかけ、朝まで目覚めることができなかった!」
「ちょっと待ってください! 殺そうなんてとんでもない! 毒薬なんていれていない」
「いや、いれたんだよ! メンデス男爵はアラベスク侯爵家のオランジェリー(植物を育てる温室)にある珍しい植物が羨ましかったのだろう? あれは我が国ではアラベスク侯爵家しか所有していないとても高価なものだ。メンデス男爵は各国の珍しい植物をコレクションしていたでしょう? それが欲しくて兄上を殺そうとしたんだ!!」
私はあり得ないほどくだらない理由をでっち上げて、わざと的外れなことを言う。
「ふん! ばかばかしい! 珍しい植物は好きだが殺人までする気にはならん。私が好きなのは金と地位だよ。アラベスク侯爵を殺してしまったら台無しじゃないか! 私はただすいみ・・・・・・あわわ、なんでもありません」
「すいみ? 次の言葉はなんでしょう? メンデス男爵は睡眠薬と言おうとしたのでしょう? でもなんで睡眠薬をいれたのか理由がわからない。やっぱり殺そうとしたんですね?」
「いや、殺そうとしたのではないってば。毒なんかじゃない。ただの睡眠薬をほんのちょっといれただけさ。朝まで寝てくれればいいと思った。それだけなんだ! 決して殺そうなんて思ってもいなかった。信じてくれよ! ほんとだって!」
メンデス男爵はフルフルと首を振る。高位貴族の殺人未遂は死刑だからだ。
「すみません。国王陛下! 私に発言権をください。私はメンデス男爵に睡眠薬を売りました。即効性のある睡眠薬でレンドルミン草から抽出したものです。それは必ず水で飲まなければ副作用が現れ死に至るとこもあります。幻覚が現れ朝まで目が覚めなかったことを考えればこれを飲ませたことは間違いないでしょう。問題は飲ませた量です。正確に計って飲まなければ、永遠に目覚めないこともありますからね。ですから、どう考えてもメンデス男爵は殺そうとしたのでしょうね」
「嘘だ! でたらめを言うな! 私がアラベスク侯爵を殺してなんの得がある? 私はただ娘をアラベスク侯爵夫人にしたかっただけなんだぁーー!! 確かにそれをいれたのは認めるよ。だが殺意なんて全くなかった! ポピーと一夜をともにすればいいと思っただけなんだ!! 娘の将来の為にやってだけさ」
(もう白状しちゃったよ。早すぎるなぁーー)
こんな調子だと、すぐに決着がつきそうだ。
「でも、それが薬のせいだとしても私は純潔を奪われたのですから、ジョシュア様は私を娶る義務があると思います!」
ポピーが横から口を挟み同情を誘うように泣き出した。
泣いたからって裁判は終わらないよ。
「その”純潔の証”こちらに渡してくれ! 調べたい」
「そんなもの恥ずかしくてお見せできません!」
ポピーは最後まで拒んだが国王陛下の命令でしぶしぶ提出。私は早速、血液検査技師に渡しその場で調べてもらった。
「ん? これ、人間の血じゃないです。ウサギの血ですね」
傍聴席はざわめきだし、ポピーに非難の声があがる。
「こんな小細工をするからには、ポピーの身体も検査したいですね。エリザ・ルソー医師から診察を受けてもらうことを要求しますよ。国王陛下、許可をください。エリザ医師は傍聴人席で、すでに待機しています!」
「ふむ、許そう」
別室でエリザ医師が診察している間、メンデス男爵とゴーサンス準男爵は放心状態だ。ポピーを伴って戻ってきたエリザ医師は無表情で言い放つ。
「ポピー嬢は、現在妊娠4ヶ月でございます!」
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