ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

文字の大きさ
76 / 161
おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】

30

しおりを挟む
「神様。」

「教会にも来ないから、話もできなくて。まあ、元気そうで何より。」

「……私、聞きたいけど聞きたくなくて。でも、聞かなくてはいけないし、」

「大丈夫。気持ちはわかるから。端的に言えば、願い通りにした。後のことは、向こうの神様にも頼んできた。それ以上は、知りたくないだろ?」

「……はい。ありがとうございます。」

「気持ちの整理がついて、後の状況を詳しく知りたくなったら、いつでも聞きにきてくれ。それと、その緑の球がすまない。これでも、私の子供のようなものだ。実は、この森、領地からアオイが離れてしまったことで、癒し手の力がもらえなくなったことで、力を失いつつあるのだ。きちんと説明しろと言ったにも関わらず、アオイが来るまで、何もしなかったとは。」

「だって、すぐに来るかと思っていたんだもん。」

「こいつはこれだから。他の神樹達は、人間にはきちんと説明したぞ。」

「他にも神樹に魔力を流せる人がいるんですか?」

「いるにはいるんだが、相性の問題もある。こいつは、この世界では、まだ若い方で生まれて200年くらいしか経っていない。でも、100~500年に1回は、人間から魔力を流してもらわないと森周辺にも緑を満たす事が出来ない時期が来る。その時に魔力の相性の良い人間を探して、教会を通じて神託を出すのだが、今回はその限りではなかった。ということだ。」

「なるほど。この世界にいなくて、別世界の私を呼んだんですね。」

「アオイには申し訳ないが、こいつに魔力を流してやってくれ。」

「わかりました。っていうか、そのためにここに戻ってきたんだから。」

「そうか。それと一気に流すんでなく、少しずつ流すんだぞ。アオイの方が倒れてしまうからな。」

「了解です。」

緑の球が近づいてきて、

「無理やり連れてきてごめんなさい。でも、あなたに助けて欲しいの。酷いことをしたのは理解したわ。もう、二度としないって誓う。」

私は、人差し指で球体をつつきながら、

「約束は守ってね。また会いましょう。」









目が覚めた。寝た時は昼前だったが、もう夜になっていた。

「アオイ、目が覚めたか?」
枕元のランプで目が開いたのが確認できたんだろう。

「ロイ義兄様。寝過ぎたようでね?」

「今、ご飯持ってくるけど、食べられそうか?」

「いえ、今は食欲がなくて。」

「そうか。なら、朝まで寝ていなさい。」

「義兄様も休んでください。」

「アオイが眠ったら寝るよ。」
柔らかく言っているが、寝るつもりなんてないのだろう。

「義兄様の部屋は、この部屋から遠いんですか?」

「アオイと一緒のこの部屋だよ?」

「えっ。なんで?」

「アオイ以外全員男だよ?万が一間違いなんてあったらどうするの?」

「…ロイ義兄様が一番危険ではないでしょうか?」

「……なんでそう思うの?」
きつい眼差しで問いかける。

「私は知っています。でも知らない振りをしています。それが答えです。」

「……そっか、知ってて知らない振りか。アオイは結構残酷だね?」

酷く困ったような顔をした。

「ロイ義兄様に聞きます。私とどういう関係になりたいのですか?」

ロイがアオイを抱きしめてくる。

「アオイの…恋人になりたい!義兄のままでいて、アオイが他の男を選んだら、そいつを殺すかもしれない。俺以外がこの体を抱きしめたりするなんて、想像だけでも怒りでどうにかなりそうだ。」

ロイの強い気持ちの言葉に、反対に私の心が冷めていく。抱きしめられた腕を退かした。

「……想像で相手を勝手に殺さないでください。私は、家族になってくれると言ったから、『義兄様』と呼んでいます。でも、あなたが恋人としてお望みなら、『義兄様』とはもう呼びません。恋人になったら、家族には戻れません。もう『義兄様』呼びはしません。それに、ロイさんは私を抱きたいんでしょう?抱いてもいいですよ?」

「…アオイ?」

ロイは困惑しだした。

「ロイさんが私を抱いたら、恋人という関係になったら、わたしはもう二度とあなたとは会いません。」

にっこり笑って、私はそう言い放った。



しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】妻の日記を読んでしまった結果

たちばな立花
恋愛
政略結婚で美しい妻を貰って一年。二人の距離は縮まらない。 そんなとき、アレクトは妻の日記を読んでしまう。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

みんながみんな「あの子の方がお似合いだ」というので、婚約の白紙化を提案してみようと思います

下菊みこと
恋愛
ちょっとどころかだいぶ天然の入ったお嬢さんが、なんとか頑張って婚約の白紙化を狙った結果のお話。 御都合主義のハッピーエンドです。 元鞘に戻ります。 ざまぁはうるさい外野に添えるだけ。 小説家になろう様でも投稿しています。

女騎士と文官男子は婚約して10年の月日が流れた

宮野 楓
恋愛
幼馴染のエリック・リウェンとの婚約が家同士に整えられて早10年。 リサは25の誕生日である日に誕生日プレゼントも届かず、婚約に終わりを告げる事決める。 だがエリックはリサの事を……

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

処理中です...