ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

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おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】

sideロイ13

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「私は知っています。でも知らない振りをしています。それが答えです。」

「……そっか、知ってて知らない振りか。アオイは結構残酷だね?」

俺の気持ちを知って、知らない振りをするのは、初めから応えることはない、ということだ。なかったことにする気だったのだろう。

「ロイ義兄様に聞きます。私とどういう関係になりたいのですか?」

俺は、アオイを抱きしめる。

「アオイの…恋人になりたい!義兄のままでいて、アオイが他の男を選んだら、そいつを殺すかもしれない。俺以外がこの体を抱きしめたりするなんて、想像だけでも怒りでどうにかなりそうだ。」

俺は気持ちをふつけるが、アオイは冷静な表情に変わっていく。抱きしめた腕を退けられる。

「……想像で相手を勝手に殺さないでください。私は、家族になってくれると言ったから、『義兄様』と呼んでいます。でも、あなたが恋人としてお望みなら、『義兄様』とはもう呼びません。恋人になったら、家族には戻れません。もう『義兄様』呼びはしません。それに、ロイさんは私を抱きたいんでしょう?抱いてもいいですよ?」

「…アオイ?」

俺は困惑した。恋人はいらないと言っていたのに、抱いてもいいなんて。意味がわからない。でも、抱けるなら、抱きたいとも思ったが、

「ロイが私を抱いたら、恋人という関係になったら、わたしはもう二度とあなたとは会いません。」

にっこり笑って、アオイはそう言い放った。

「どうしますか?」

「アオイは、…俺から離れたいのか?」

恋人になった瞬間が、別れの合図なのか?しかも二度と会えないなんて、なんて地獄だろう。

「家族だって言ったのは、あなたです。私は、私の家族は子供達だけだったんです。その子供達から離されて、ここでは、あなたが家族になるって言ってくれたんです。弱っている時に充分効き目がある言葉でしたよ?だから、妹として振る舞ったのに、あなたは今度は恋人になれって言ってきた!私はもう、恋人も旦那もいらないって言ったのに!私の話をきちんと聞いていたんですか?!」

「ア、アオイ…すまない。」

「1回抱けば、気が済むんでしょう?だったら、付き合ってあげますよ。」

アオイは服を脱ぎ出す。

「アオイ、やめてくれ!」

「妹扱いをしていたのに、性欲をぶつけてくる義兄なんて私はいらない!もう、あなたとの関係性を全部なかったことにしたい!」

アオイの両手首を押さえて、服を脱ぐのを止める。慟哭のような言葉が、俺の心に突き刺さる。

「アオイ、悪かった。そこまでとは思っていなかった。もう泣かないでくれ。」

泣いているアオイに、俺は、脱いだ服を着させていく。

「恋人や旦那に対して、嫌悪感がそこまで強いとは思わなかった。俺の配慮が足りなかった。」

俺は、謝るしかなかった。

「…私を好きになる要素が分からない。」

「…一目惚れ、かな。『帰りたい』って泣くアオイを守らないといけないと思った。怒っても、笑っても、好きな気持ちが大きくなって。無視されている時は辛かった。でも会えない日々を送ると、もっと辛くて、本当に逢いたくてたまらなかった。自分から言ったのに、義兄なんていう立場だけでは足りなくなるんだ。でも、家族ならそばにいるのを許してくれる。そう思っていたのに、いざ会ってみると、感情が押さえられなくて、アオイを困らせてしまった。」

「…。」

「アオイ、最初からやり直させてくれないか?」

「何を?」

「俺はアオイが好きだ。愛している。恋人になりたい。アオイを守る存在になりたい。結婚とかの形が嫌なら、しなくていい。ただ、アオイの気持ちをゆっくりでいいから、俺に傾けて欲しい。」

「…傾かないかもしれないよ?」

「気長に待つさ。俺がこいねがうのは、アオイだけだ。」

「…他にステキな人が現れるかもし。」

「いや、アオイだけだ。」

「私…ヒドイ女かも。」

「男を焦らして、待たせる最高の女だよ。」

「…訳わからないよ。」

フハッとアオイが笑った。

「やっと笑った。…アオイ、すまなかった。本当はまだ気持ちを伝えるつもりはなかった。」

「……うん。」

「アオイが俺の気持ちに気づいていた。アオイは家族であることを願ったのに、俺は家族ではなく、恋人を選んでしまったんだな。」

「…うん。だからもう『義兄様』とは呼ばないよ?」

「ああ。」

「保護対象者と後見人だから、もう家族扱いはしないで。」

「そこは、…っ、考えさせてくれ。」

「欲張ったって何も手に入らないよ?」

「……そうだな。わかった。家族扱いはもうしない。…でも、ゆっくりでいいから、俺を知って?男は、旦那だけでないことも知ってほしい。」

「頭では旦那とロイさんが違うのはわかっているけど、…まだ、怖い。」

「…そうか。今日は、隣の部屋で寝るから、何かあったら呼んでくれ。」

「…うん。」

「おやすみ。」

「おやすみなさい。」

ロイは部屋を出て行った。



アオイの心の傷は思ったより、深かった。どれだけ傷つけられたのだろう。簡単に恋人にはなれるなんて思っていた俺がバカだった。
癒してあげたいが、そういう関係自体を望んでいない。傷はいつまでも治す気はないようだ。
なら、俺は俺のやり方で治す。
いつまでも、酷い男に囚われているより、俺という存在で、忘れさせてやる。初めから、傷などなかったかのように愛してあげる。




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