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おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】
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結果としてミリアンナ様の婚約解消の話はなくなった。
聞いた話によると、当主体験をした彼は10日しない内に次期当主の座を辞退した。
仕事量ハンパないからね。しかも新年明けは、昨年の税金の報告書の提出がある。終わりの見えない計算書をまとめ上げなければならない。
しかも、城に報告の際は、文官から色々聞かれるので、前年との比較を覚えなくてはいけない。実に大変な仕事だよ。
ミッドレイ伯爵だけでなく、どの貴族家当主の仕事。もちろんロイさんもしている。
この時期は、横領なんてできないように税を納めてもらおうと頑張る文官との舌戦で疲労困憊になる当主方々の哀愁が漂っている姿は、王宮のあちらこちらで見られた。
《アリスは、彼が目の前で殺された事実を受け入れきれなかった。
そして、彼という存在自体を記憶から抹消してしまった。
心が耐えきれなかった。
それだけ彼を愛していたのだろう。
~中略~
祖母も母も愛を貫き、お互い大切な人と過ごす時間を持ち、愛しい人との愛の結晶を残すことができた。
しかし、アリスには何も残らなかった。
彼との愛の結晶どころか、口づけすらしたことがなかったから。
アリスは祖母と母の仕出かしたツケを払うかのように、1人で周りからの中傷を受け続けながら生きる。
そんな彼女が彼を忘れてしまったのは、幸か不幸かはわからないまま。
アリスはこれから先も一人きりで生きるのだ。》
「……なんじゃこれ。」
『愛と悲しみの果て』の結末を読んだ一言だった。
モヤモヤがたっぷり残る結末だった。
「真実の愛ってなんでしょう?」
「いきなり何を?」
「周りを巻き込んでまで愛を貫き通す意味がみえなくて。」
「叔父上と何かあったか?」
「いや、何もないよ。」
「なら、何故?」
「『愛と悲しみの果て』を全巻読み終えた感想ですよ。」
「つまり結末に納得できなかった訳か。」
「ぶっちゃけ、そうですね。」
「大体真実の愛って意味がわからなくないか?」
「確かに。」
「アオイだって、叔父上と真実の愛で結ばれたとかは思わないだろ?」
「最初は私はお断りしてましたからね。」
「人との付き合いの中で芽生える感情に真実も偽物もないのではないのかな。」
「成る程。」
「物語は周囲に祝福されない恋愛を貫き通すことが主軸であれば、仕方ないことでないのか?」
「仕方ないにしても、孫に代償を払わせるやり方が気に入らないんですよね。自分のツケは自分で払えって思うんですよ。」
「気になるのはそこか。」
「孫は可愛いんですよ?我儘言おうと、暴れようと可愛いものは可愛い。その子の人生を不幸にする元凶が私だったら、自分で自分を呪いますよ。」
「…アオイに孫はいたのか?」
「いませんよ。いたら異世界転移させた神樹を呪いますよ。」
「……。」
コンラッド殿下も周りで話に聞き耳を立てていた者たちも口籠もる。
神樹が呪われたら、王国が滅びることを意味しているから。
「物語の教訓として孫子にまで迷惑をかけるな!というところですかね。」
「…作者の真意は知らぬが、アオイがそう感じたのなら、そうでいいのでは?ところで休んでいた分のところは写し終えたか?」
「もう少しです。……はい、終わりました。ありがとうございます。」
学園のある昼休みに、コンラッド殿下からノートを借りて授業内容を写していた。
試験期間も間近になり、クラスメイトはリバーシで遊ぶことなく、勉強をしていた。
そんな中でアオイの一言から皆が手を止めて聞いていた。
王弟殿下であり、公爵でもあるロイとのお付き合いを最初は断っていたという言葉に一様に驚いていた。
孫はいないと言っていたが、子供はいるというニュアンスが更に驚いた。
クラスの中で一番子供っぽいアオイが、子供を産んで育てるという想像は誰もできなかった。
「ところで、進学の学科は決めたか?担任からまだアオイだけ出ていないって言っていたが。」
「まだ決まらないんですよね。魔法士科か商業科か。騎士科一択だったのに、みんなに止められるし。」
「騎士科は男性だけだからな。叔父上が泣くぞ。」
「泣くどころかお説教ですよ。どちらも選択ってダメですかね?」
「担任に相談してみろ。とりあえず目の前の試験を終わらせることだな。」
と、丁度午後の始業開始の予鈴がなった。
聞いた話によると、当主体験をした彼は10日しない内に次期当主の座を辞退した。
仕事量ハンパないからね。しかも新年明けは、昨年の税金の報告書の提出がある。終わりの見えない計算書をまとめ上げなければならない。
しかも、城に報告の際は、文官から色々聞かれるので、前年との比較を覚えなくてはいけない。実に大変な仕事だよ。
ミッドレイ伯爵だけでなく、どの貴族家当主の仕事。もちろんロイさんもしている。
この時期は、横領なんてできないように税を納めてもらおうと頑張る文官との舌戦で疲労困憊になる当主方々の哀愁が漂っている姿は、王宮のあちらこちらで見られた。
《アリスは、彼が目の前で殺された事実を受け入れきれなかった。
そして、彼という存在自体を記憶から抹消してしまった。
心が耐えきれなかった。
それだけ彼を愛していたのだろう。
~中略~
祖母も母も愛を貫き、お互い大切な人と過ごす時間を持ち、愛しい人との愛の結晶を残すことができた。
しかし、アリスには何も残らなかった。
彼との愛の結晶どころか、口づけすらしたことがなかったから。
アリスは祖母と母の仕出かしたツケを払うかのように、1人で周りからの中傷を受け続けながら生きる。
そんな彼女が彼を忘れてしまったのは、幸か不幸かはわからないまま。
アリスはこれから先も一人きりで生きるのだ。》
「……なんじゃこれ。」
『愛と悲しみの果て』の結末を読んだ一言だった。
モヤモヤがたっぷり残る結末だった。
「真実の愛ってなんでしょう?」
「いきなり何を?」
「周りを巻き込んでまで愛を貫き通す意味がみえなくて。」
「叔父上と何かあったか?」
「いや、何もないよ。」
「なら、何故?」
「『愛と悲しみの果て』を全巻読み終えた感想ですよ。」
「つまり結末に納得できなかった訳か。」
「ぶっちゃけ、そうですね。」
「大体真実の愛って意味がわからなくないか?」
「確かに。」
「アオイだって、叔父上と真実の愛で結ばれたとかは思わないだろ?」
「最初は私はお断りしてましたからね。」
「人との付き合いの中で芽生える感情に真実も偽物もないのではないのかな。」
「成る程。」
「物語は周囲に祝福されない恋愛を貫き通すことが主軸であれば、仕方ないことでないのか?」
「仕方ないにしても、孫に代償を払わせるやり方が気に入らないんですよね。自分のツケは自分で払えって思うんですよ。」
「気になるのはそこか。」
「孫は可愛いんですよ?我儘言おうと、暴れようと可愛いものは可愛い。その子の人生を不幸にする元凶が私だったら、自分で自分を呪いますよ。」
「…アオイに孫はいたのか?」
「いませんよ。いたら異世界転移させた神樹を呪いますよ。」
「……。」
コンラッド殿下も周りで話に聞き耳を立てていた者たちも口籠もる。
神樹が呪われたら、王国が滅びることを意味しているから。
「物語の教訓として孫子にまで迷惑をかけるな!というところですかね。」
「…作者の真意は知らぬが、アオイがそう感じたのなら、そうでいいのでは?ところで休んでいた分のところは写し終えたか?」
「もう少しです。……はい、終わりました。ありがとうございます。」
学園のある昼休みに、コンラッド殿下からノートを借りて授業内容を写していた。
試験期間も間近になり、クラスメイトはリバーシで遊ぶことなく、勉強をしていた。
そんな中でアオイの一言から皆が手を止めて聞いていた。
王弟殿下であり、公爵でもあるロイとのお付き合いを最初は断っていたという言葉に一様に驚いていた。
孫はいないと言っていたが、子供はいるというニュアンスが更に驚いた。
クラスの中で一番子供っぽいアオイが、子供を産んで育てるという想像は誰もできなかった。
「ところで、進学の学科は決めたか?担任からまだアオイだけ出ていないって言っていたが。」
「まだ決まらないんですよね。魔法士科か商業科か。騎士科一択だったのに、みんなに止められるし。」
「騎士科は男性だけだからな。叔父上が泣くぞ。」
「泣くどころかお説教ですよ。どちらも選択ってダメですかね?」
「担任に相談してみろ。とりあえず目の前の試験を終わらせることだな。」
と、丁度午後の始業開始の予鈴がなった。
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