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幕間~忘れられた出会い2~
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「はい、レモン水」
ハークは自分が買い漁ってきた食べ物を食べて落ち着いたらしい子供に最後に買ってきたレモン水を渡した。今までがそうであったように子供は礼も言わずレモン水をひったくると一気に飲み干した。
「名前おしえて。食べ物をおごったんだから、いいだろう?」
ハークの手から食べ物を奪った子供がお腹を空かすかせているのに気づき「そこで待っていて! 逃げないでね!」と言い置くと祖父から渡されたお金で食べ物を買い漁り与えたのだ。
最初は不審そうに食べ物を渡そうとするハークを睨みつけていた子供だったが空腹には勝てないのか彼の手から食べ物を奪い取ると食べ始めたのだ。
「わた……おれがたのんだんじゃない。お前が勝手におごってきたんだ。えらそうに言うな」
「……うん。ぼくが勝手にしたことだけどね」
別に感謝されたくてやった訳じゃないのだが、こう反発されると悲しいなと思うハークだ。
「……今日、妹がね、母上に地下室に閉じ込められて、ずっと食べられなかったんだ。ううん今日だけじゃない。ぼくが気づかないだけで食事を抜かされた日がきっとあったんだ。母上に何かされても、あの子はぼくたちに心配をかけまいと自分からは言わないから。だから、空腹な子を見ると放っておけないんだ」
空腹な子に食べ物を与えて妹への罪滅ぼしになると思っている訳じゃない。ただ放っておけないのだ。
「……アドニスだ」
ぼそりと子供は言った。
「アドニス? それが君の名前?」
「そうだ」
気のせいかハークに向ける視線から険が消えた気がした。
「いい名前だね」
祖母が話してくれた伝説で女神に愛された美少年の名前だ。死んだ彼の血からアネモネという花が生まれるのだ。
なぜかアドニスは後ろめたそうな顔になった。後から考えると「アドニス」という名前は本名ではなかったからだろう。
「……さっきは悪かった。食べ物をおごってくれて、ありがとう」
ぼそぼそとだが、きちんと謝罪と礼を言うアドニスにハークは微笑んだ。
「ぼくが勝手にやったことだけど、そう言ってくれるとうれしい」
「じゃあ、おれはこれで」
「待って!」
離れようとするアドニスをハークは慌てて引きとめた。
「何だよ? いまさらおごった礼をしろと言われても、おれは何もできないぞ」
「違うよ。きみ、父上と母上は? 住んでいる家とかあるの?」
「……両親は死んだ。家はない」
ハークの予想通りの答えだった。両親がいる、もしくは孤児院にいるのなら、この子がこんな薄汚れた格好でお腹を空かせてさ迷っているはずがないのだ。
「じゃあ、今日だけでいいから家に来ない?」
「バカか? おまえは」
心の底からそう思っているのが分かる顔でアドニスは言った。
「え?」
身内以外で初めて「バカ」と言われた宰相の孫息子は目をぱちくりさせた。
「おれのようなガキはいくらでもいる。おまえは、そんなガキに出会うたびに食べ物をおごって家にまねくのか?」
アドニスのような子供と出会う度に食事を奢って家に招くなどできやしない。いくらミュケーナイ侯爵家であっても限界がある。幼くても賢いハークはアドニスに言われるまでもなく分かっている。
「……きみだからだ。だって、きみは悪い子には見えないから」
アドニスは鼻で笑った。
「悪い子には見えない? おれはおまえの手から食べ物をうばったんだぞ?」
「うん。でも、だまってぼくについてくれば泊まれる場所が手に入るのに、わざわざ『自分のような子供と出会うたびに同じことをするのか』ってしかってくれたじゃない」
にこにこ笑うハークに、アドニスは嫌そうな顔になった。
「とにかく今日は、ぼくと一緒に来てよ」
ハークはアドニスの手を引いて歩き出そうとしたが振りほどかれた。
「……おまえがよくても、おまえの両親は、おれのようなみすぼらしいガキが家に来るのを嫌がるだろう?」
「お願いするよ。お祖父さまは父上とぼくにきびしいけど、すべてダメだと言う人じゃない。それに、きみという子を知れば泊まっていいと言ってくれるさ」
「……おれを知ればなおさら」
言葉の途中でアドニスの顔が強張った。
「逃げろ!」
ハークが「どうしたの?」と訊く前に今度はアドニスが彼の手を引っ張って走り出した。
「追いかけろ!」
「絶対に逃がすな!」
「あの赤毛のガキは高く売れるぞ!」
二人の後ろから追いかけてくる男達の声が聞こえてきた。
最初は護衛達に見つかったのかと思ったが声が違うし言っている事も何だか物騒だ。
「あいつら何!?」
振り返ると、やはりハークの護衛達ではない。横も縦も大きい粗野な男五人だ。ハークの日常では見る事のない輩だ。
「人さらいだ! 狙いは、おまえだろ!」
「ぼく!?」
ハークはようやく気づいた。暑くて被っていたフードを外していたのだ。お陰で目立つ赤毛と幼いながら祖父や父によく似た美貌が露になっている。
真紅の髪はミュケーナイ侯爵家の特徴。青氷色の瞳は皇族の特徴だ。
その両方を持つハークが宰相の孫息子なのは明白で普通なら誰も彼に危害など加えない。宰相を敵に回せば、この帝国で生きていけないからだ。
だが、悪人がハークを宰相の孫息子だと気づかない場合、問題になるのはハークの容姿だ。幼いながら祖父や父によく似た整い過ぎた容姿は悪人の関心を引かずにいられない。その危険故に護衛達はハークにフードを深く被るように言っていたのだが暑くてフードを外したのだ。
「余計な手間をかけさせるな! ガキども!」
とうとう追いつかれたハークとアドニスは犬や猫の仔のように男達に首根っこを摑まれ宙吊りにされた。
「「はなせ!」」
「「うるせえ!」」
じたばた暴れるハークとアドニスを見るからに堪忍袋の短そうな男達は容赦なく殴った。
「一緒にいたからさらっちまったが、こんな小汚いガキ売れるか?」
「よく見てみろ。顔は整っている。太らせて身綺麗にすれば、赤毛にガキと同じくらい見栄えがするだろうよ」
男達の話し声で目が覚めた。殴られた後、しばらく意識がなかったらしい。気がついたらハークは小屋の中だった。
殴られた頭が痛い。祖父や父は自分に厳しいが決した体罰はしなかった。無論、宰相の孫息子であるハークに暴力をふるう者などいるはずがない。
ハークにとって初めての体験だ。殴られた事もさらわれた事もだ。
「気がついたか?」
ハークの隣にはアドニスがいる。彼(とこの時は思っていたのだ)も殴られた頭が痛いのか顔をしかめている。
幼児だとなめられているのか二人とも幸い縛られてはいない。
「ここはどこ?」
アドニスは殴られてもハークのように気を失わなかったらしく正確に答えてくれた。
「公園の奥にある小屋だ。夏祭りをしている所からは、だいぶ離れている」
夏祭りの会場は公園のほぼ中央だった。
ハークを捜している護衛達に見つけられるだろうか?
「ぼくたちをどうするの?」
小屋の中には男が三人。残りの二人は外で見張りなのだろう。
「どっかの親切なおじさんに売るのさ。大丈夫だ。おとなしくしていれば可愛がってもらえるだろうよ」
ククッと笑う顔は、とても下卑たもので思わずハークは顔をしかめた。祖父や父など超絶美形の貴族の男性を見慣れているため余計醜悪に映るのだ。
「しんせつなおじさん? ガキを『おもちゃ』にするヘンタイだろうが」
アドニスが吐き捨てるように言った。
「……おまえたち母上と同じくらい頭悪そうだから、言ってもむだだろうけど」
ハークにとって頭の悪い人間といえば即、母なので、ついこんな言い方をしてしまった。
「ぼくに何かあったら、お祖父さまや父上、プロイさまは、ぜったいにゆるさない。今ならまだ間に合う。ぼくたちをかいほうするんだ」
プロイとはプロイトス・ティーリュンス。現在のティーリュンス公爵。後にティーリュンス公爵となる叔父パーシーの大叔父にして養父。祖父にとっては母方の、祖母にとっては父方の従兄である。
プロイはいとこ達である祖父母をとても大切に想っている。二人の息子である父や孫であるハークとデイアの事も大切にしてくれている。持てる力全てを使ってハークを危険な目に遭わせた人間に報復するだろう。
祖父は厳しいが愛してくれている事もちゃんと分かっている。
どんな理由があるのか父は今は我が子達よりも他人の子を優先している。それでも、その根底にある父親の情を疑った事は一度もない。
だから、ハークを危険な目に遭わせた人間を祖父と父は絶対に許さない。仮に帝国から逃げたとしても命ある限り追い詰めるだろう。
「はっ! 何言ってやがるんだ! このガキ!」
男達は爆笑した。
「……ぼくはちゅうこくした。何があっても知らないからな」
護衛達が今もハークを捜してくれているはずで、最終的には祖父に連絡がいくはずだ。そうすれば、祖父がハークとアドニスを助けてくれる。
……祖父に怒られるのは怖いが今はこの危機を脱するためならば仕方ない。そもそも祖父の言いつけを破ったから、こんな目に遭ったのだ。
それでも、アドニスに会えたのだから悪い事ばかりではなかった。
男達が来た時、最初に気づいたのはアドニスで、しかも、奴らの狙いはハークだ。彼を放って逃げる事もできたのに一緒に逃げてくれた。
ハークから食べ物を奪い、きつい言葉と険しい眼差ししか見せてくれなかったけれど、根は悪い子ではないのだと思う。
(助け出されたら、お祖父さまにアドニスと一緒に暮らせるようにたのもう。ぼくと一緒に逃げてくれたことを言えば、お祖父さまも反対しないよね)
ハークは今の状況とはあまりにもそぐわない楽観的な事を考えていた。
ハークは自分が買い漁ってきた食べ物を食べて落ち着いたらしい子供に最後に買ってきたレモン水を渡した。今までがそうであったように子供は礼も言わずレモン水をひったくると一気に飲み干した。
「名前おしえて。食べ物をおごったんだから、いいだろう?」
ハークの手から食べ物を奪った子供がお腹を空かすかせているのに気づき「そこで待っていて! 逃げないでね!」と言い置くと祖父から渡されたお金で食べ物を買い漁り与えたのだ。
最初は不審そうに食べ物を渡そうとするハークを睨みつけていた子供だったが空腹には勝てないのか彼の手から食べ物を奪い取ると食べ始めたのだ。
「わた……おれがたのんだんじゃない。お前が勝手におごってきたんだ。えらそうに言うな」
「……うん。ぼくが勝手にしたことだけどね」
別に感謝されたくてやった訳じゃないのだが、こう反発されると悲しいなと思うハークだ。
「……今日、妹がね、母上に地下室に閉じ込められて、ずっと食べられなかったんだ。ううん今日だけじゃない。ぼくが気づかないだけで食事を抜かされた日がきっとあったんだ。母上に何かされても、あの子はぼくたちに心配をかけまいと自分からは言わないから。だから、空腹な子を見ると放っておけないんだ」
空腹な子に食べ物を与えて妹への罪滅ぼしになると思っている訳じゃない。ただ放っておけないのだ。
「……アドニスだ」
ぼそりと子供は言った。
「アドニス? それが君の名前?」
「そうだ」
気のせいかハークに向ける視線から険が消えた気がした。
「いい名前だね」
祖母が話してくれた伝説で女神に愛された美少年の名前だ。死んだ彼の血からアネモネという花が生まれるのだ。
なぜかアドニスは後ろめたそうな顔になった。後から考えると「アドニス」という名前は本名ではなかったからだろう。
「……さっきは悪かった。食べ物をおごってくれて、ありがとう」
ぼそぼそとだが、きちんと謝罪と礼を言うアドニスにハークは微笑んだ。
「ぼくが勝手にやったことだけど、そう言ってくれるとうれしい」
「じゃあ、おれはこれで」
「待って!」
離れようとするアドニスをハークは慌てて引きとめた。
「何だよ? いまさらおごった礼をしろと言われても、おれは何もできないぞ」
「違うよ。きみ、父上と母上は? 住んでいる家とかあるの?」
「……両親は死んだ。家はない」
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「じゃあ、今日だけでいいから家に来ない?」
「バカか? おまえは」
心の底からそう思っているのが分かる顔でアドニスは言った。
「え?」
身内以外で初めて「バカ」と言われた宰相の孫息子は目をぱちくりさせた。
「おれのようなガキはいくらでもいる。おまえは、そんなガキに出会うたびに食べ物をおごって家にまねくのか?」
アドニスのような子供と出会う度に食事を奢って家に招くなどできやしない。いくらミュケーナイ侯爵家であっても限界がある。幼くても賢いハークはアドニスに言われるまでもなく分かっている。
「……きみだからだ。だって、きみは悪い子には見えないから」
アドニスは鼻で笑った。
「悪い子には見えない? おれはおまえの手から食べ物をうばったんだぞ?」
「うん。でも、だまってぼくについてくれば泊まれる場所が手に入るのに、わざわざ『自分のような子供と出会うたびに同じことをするのか』ってしかってくれたじゃない」
にこにこ笑うハークに、アドニスは嫌そうな顔になった。
「とにかく今日は、ぼくと一緒に来てよ」
ハークはアドニスの手を引いて歩き出そうとしたが振りほどかれた。
「……おまえがよくても、おまえの両親は、おれのようなみすぼらしいガキが家に来るのを嫌がるだろう?」
「お願いするよ。お祖父さまは父上とぼくにきびしいけど、すべてダメだと言う人じゃない。それに、きみという子を知れば泊まっていいと言ってくれるさ」
「……おれを知ればなおさら」
言葉の途中でアドニスの顔が強張った。
「逃げろ!」
ハークが「どうしたの?」と訊く前に今度はアドニスが彼の手を引っ張って走り出した。
「追いかけろ!」
「絶対に逃がすな!」
「あの赤毛のガキは高く売れるぞ!」
二人の後ろから追いかけてくる男達の声が聞こえてきた。
最初は護衛達に見つかったのかと思ったが声が違うし言っている事も何だか物騒だ。
「あいつら何!?」
振り返ると、やはりハークの護衛達ではない。横も縦も大きい粗野な男五人だ。ハークの日常では見る事のない輩だ。
「人さらいだ! 狙いは、おまえだろ!」
「ぼく!?」
ハークはようやく気づいた。暑くて被っていたフードを外していたのだ。お陰で目立つ赤毛と幼いながら祖父や父によく似た美貌が露になっている。
真紅の髪はミュケーナイ侯爵家の特徴。青氷色の瞳は皇族の特徴だ。
その両方を持つハークが宰相の孫息子なのは明白で普通なら誰も彼に危害など加えない。宰相を敵に回せば、この帝国で生きていけないからだ。
だが、悪人がハークを宰相の孫息子だと気づかない場合、問題になるのはハークの容姿だ。幼いながら祖父や父によく似た整い過ぎた容姿は悪人の関心を引かずにいられない。その危険故に護衛達はハークにフードを深く被るように言っていたのだが暑くてフードを外したのだ。
「余計な手間をかけさせるな! ガキども!」
とうとう追いつかれたハークとアドニスは犬や猫の仔のように男達に首根っこを摑まれ宙吊りにされた。
「「はなせ!」」
「「うるせえ!」」
じたばた暴れるハークとアドニスを見るからに堪忍袋の短そうな男達は容赦なく殴った。
「一緒にいたからさらっちまったが、こんな小汚いガキ売れるか?」
「よく見てみろ。顔は整っている。太らせて身綺麗にすれば、赤毛にガキと同じくらい見栄えがするだろうよ」
男達の話し声で目が覚めた。殴られた後、しばらく意識がなかったらしい。気がついたらハークは小屋の中だった。
殴られた頭が痛い。祖父や父は自分に厳しいが決した体罰はしなかった。無論、宰相の孫息子であるハークに暴力をふるう者などいるはずがない。
ハークにとって初めての体験だ。殴られた事もさらわれた事もだ。
「気がついたか?」
ハークの隣にはアドニスがいる。彼(とこの時は思っていたのだ)も殴られた頭が痛いのか顔をしかめている。
幼児だとなめられているのか二人とも幸い縛られてはいない。
「ここはどこ?」
アドニスは殴られてもハークのように気を失わなかったらしく正確に答えてくれた。
「公園の奥にある小屋だ。夏祭りをしている所からは、だいぶ離れている」
夏祭りの会場は公園のほぼ中央だった。
ハークを捜している護衛達に見つけられるだろうか?
「ぼくたちをどうするの?」
小屋の中には男が三人。残りの二人は外で見張りなのだろう。
「どっかの親切なおじさんに売るのさ。大丈夫だ。おとなしくしていれば可愛がってもらえるだろうよ」
ククッと笑う顔は、とても下卑たもので思わずハークは顔をしかめた。祖父や父など超絶美形の貴族の男性を見慣れているため余計醜悪に映るのだ。
「しんせつなおじさん? ガキを『おもちゃ』にするヘンタイだろうが」
アドニスが吐き捨てるように言った。
「……おまえたち母上と同じくらい頭悪そうだから、言ってもむだだろうけど」
ハークにとって頭の悪い人間といえば即、母なので、ついこんな言い方をしてしまった。
「ぼくに何かあったら、お祖父さまや父上、プロイさまは、ぜったいにゆるさない。今ならまだ間に合う。ぼくたちをかいほうするんだ」
プロイとはプロイトス・ティーリュンス。現在のティーリュンス公爵。後にティーリュンス公爵となる叔父パーシーの大叔父にして養父。祖父にとっては母方の、祖母にとっては父方の従兄である。
プロイはいとこ達である祖父母をとても大切に想っている。二人の息子である父や孫であるハークとデイアの事も大切にしてくれている。持てる力全てを使ってハークを危険な目に遭わせた人間に報復するだろう。
祖父は厳しいが愛してくれている事もちゃんと分かっている。
どんな理由があるのか父は今は我が子達よりも他人の子を優先している。それでも、その根底にある父親の情を疑った事は一度もない。
だから、ハークを危険な目に遭わせた人間を祖父と父は絶対に許さない。仮に帝国から逃げたとしても命ある限り追い詰めるだろう。
「はっ! 何言ってやがるんだ! このガキ!」
男達は爆笑した。
「……ぼくはちゅうこくした。何があっても知らないからな」
護衛達が今もハークを捜してくれているはずで、最終的には祖父に連絡がいくはずだ。そうすれば、祖父がハークとアドニスを助けてくれる。
……祖父に怒られるのは怖いが今はこの危機を脱するためならば仕方ない。そもそも祖父の言いつけを破ったから、こんな目に遭ったのだ。
それでも、アドニスに会えたのだから悪い事ばかりではなかった。
男達が来た時、最初に気づいたのはアドニスで、しかも、奴らの狙いはハークだ。彼を放って逃げる事もできたのに一緒に逃げてくれた。
ハークから食べ物を奪い、きつい言葉と険しい眼差ししか見せてくれなかったけれど、根は悪い子ではないのだと思う。
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