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本編
18 正体がばれてる?
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(……まさか正体がばれてる?)
ロクサーヌの眼差しは、いつも王女に向けるものと同じだからだ。
ロクサーヌは王女が嫌いなのだ。態度で示されているだけじゃない。「わたくしは貴女が嫌いです」とはっきり言われた。
それでも私はロクサーヌを嫌いになれない。王妃やアーサーに似た容姿は好ましいし、王女相手でも「嫌いだ」と明言する度胸も気に入っている。
ロクサーヌが私を嫌う理由は、私が高慢な王女として振舞っていたからではない。私のアーサーに対する態度だ。そう、彼女は異性として従弟が好きなのだ。
アーサーの婚約者が王女であるために仕方なくエリオットと婚約した。貴族令嬢にとって結婚は義務だからだ。ウィザーズ侯爵令嬢で才色兼備なロクサーヌだ。当然、婚約者候補も引く手あまたなのだが、その中でエリオットを選んだのは、彼女にとって都合のいい男だからだろう。
エリオット・ラングリッジはエリックとは年子の兄弟。容姿こそ、そっくりな美丈夫だが性格は真逆で真面目なエリックと違いエリオットは実に軽薄な男性だ(それでも入学から卒業まで最高位のクラスだった)。
ただ一人の女性を想っているだろうエリックと違いエリオットは一度に複数の女性と付き合うプレーボーイでもある。だが、従弟のように問題のある女性(……私の事だ。その自覚はあるのだ)ではなく、夫との仲が冷え切った貴族女性とか金で方が付く娼婦しか相手にしないので今まで面倒を起こした事はない。
そんなエリオットだから互いに愛情を求めない割り切った夫婦でいられると、それでロクサーヌは婚約を決めたらしい。
そんなロクサーヌにとって私のアーサーに対する態度は許し難いものだろう。自分がなりたくてもなれない婚約者の立場にいるくせに彼を邪険にしているのだから。
「分かり」
「邪魔しないでくれ」
私が「分かりました。お話ししましょう」と言いかけたのだがアーサーが遮った。
心なしか従姉に向ける眼差しが冷たい。アーサーからこんな眼差しを向けられれば大抵の人間は怯むのだろうがロクサーヌは動じない。王女相手でも「嫌いだ」と明言する度胸の持ち主なのだから。
「邪魔などしないわ。わたくしとの会話が終わった後、心置きなく話せばいいじゃない」
「……その後で、この方が私と話す気になるかどうかが心配なんだ」
「なぜ、あなたがそう考えていらっしゃるのか分かりませんが、それはないです」
そう、それはない。ロクサーヌが何を言っても、この後、私は「素の私」としてアーサーと話す。……これを最後と決めたのだから。
「ロクサーヌ様とお話します。少し待っていてください」
何か言いたげなアーサーを無視して私はロクサーヌを促して歩き出した。
中庭は睦み合う男女だらけだったので、アーサー達から少し離れた回廊で私はロクサーヌと向き合った。
「お話とは?」
「……王女様ですね?」
やはりというか気づかれていたようだ。伊達に王女を嫌ってはいない。多少の小細工くらいは見抜けるという事か。
嫌悪や憎悪は無関心とは違う。気になるから嫌うし憎むのだ。……私が妾妃を嫌うのも結局は、そうなのだろう。弟のように意識の外に追い出せないからだ。
「ええ」
ごまかすのも無駄な気がしたので私はあっさり認めた。
「……アーサーと話すのに、そんな御大層な変装をするのですか?」
ロクサーヌは嘲っているのではなく呆れているようだ。
「変装なのかしら? 確かに鬘を被って、こんなド派手な仮面までつけてるけど」
「……そんな事は、どうでもいいです」
悩んでしまった私に対してロクサーヌは苛立ったように言った。自分が「御大層な変装」と言ったくせに。
「……単調直入に訊きます。貴女はアーサーを愛していますよね?」
私は思わず黙り込んでしまった。だが、ロクサーヌには私の答えなど、お見通しだろう。同じ男性を想っているのだから。
「貴女がアーサーを本当に嫌いで、あんな態度なら、わたくしは貴女を嫌わなかった」
私のアーサーへの態度だけでなく普段の「高慢な王女」としての振る舞いも私の演技だとロクサーヌは見抜いていただろう。見かけこそ王妃にそっくりだが彼女は脳筋じゃない。何より大嫌いな私を誰よりも注意深く見ていたはずだからだ。
「本当はアーサーを好きなくせに、あんな態度を演じるから腹が立つんです。しかも、今更、別人になりすましてアーサーと親しく話そうとしている」
私の過去と今の行動に、ロクサーヌは苛立っているようだ。
「……そう、今更ね。分かっているわ」
私は、ほろ苦く微笑んだ。
「別人としてではなく貴女本人としてアーサーと話せばいいでしょう。そうすれば、わたくしだって」
ロクサーヌは、ぎゅっと拳を握った。
「……わたくしだって、アーサーを諦められるわ」
「ロクサーヌ?」
「……諦めるというのも変ですね。最初から、わたくしには望みはないもの」
今度はロクサーヌが、ほろ苦く微笑んだ。
王女という婚約者がいなくても、ロクサーヌには望みはない。
何年か前、私は、それとなくアーサーに言ってみたのだ。「妾よりロクサーヌと結婚したほうが、お前は幸せになれるぞ」と。言外に「私と婚約解消してロクサーヌと結婚して」と言ったのだ。
それに対するアーサーの答えが「それはないです。私は私に似た従姉を恋愛対象として見れませんので」だった。
「……私にだって望みはないわ」
「はい?」
ロクサーヌがあまりにも悲しそうで私は思わずそう言ったのだが、何だか「何を言ってるんだ? この女」みたいな眼差しを彼女から向けられている気がする。
「国王が決めた婚約よ。しかも、私はアーサーに嫌われる態度しかとらなかった。今更、私が態度を軟化させても気味悪がられるだけよ。だから、私は、こんな御大層な変装までしてアーサーと話に来たの。そうでなければ、アーサーと親密に話せそうにないもの」
「……正直、何を言っていいか分かりませんわね」
ロクサーヌは期せずして弟と同じ科白を口にした。
「……これが最後だから、不愉快だろうけれど見守っていて」
「最後?」
怪訝そうなロクサーヌに答えず、私はアーサーの許に戻るべく歩き出した。
「ロクサーヌと何を話されたんですか?」
どうやらアーサーは私とロクサーヌの会話が気になっていたらしい。
回廊にほど近い中庭のベンチに座って私とアーサーは話している。……あまり奥に行くと仮初めの恋人達の見たくもない場面を見る破目になるので。
私とアーサーは四人(アルバートとエレノアとエリックとロクサーヌだ)を置いて来た。アルバートとエレノアだけで話してほしかったのだが、二人とも互いだけでは嫌だったらしく(アルバートとエレノアでは理由が違うのだろうが)、それぞれエリックとロクサーヌを引っ張って舞踏会会場に入って行った。
「……女同士の話ですので、内緒です」
私は笑って(大仰な仮面のせいで分からないだろうけれど)ごまかした。そう、彼は知らなくていいのだ。
「……ロクサーヌに嫌な事を言われませんでしたか?」
「そんな事ありませんわ。ただ普通に、お話しただけです」
ロクサーヌの言う事は、どれも尤もな事だ。今更、別人になりましてアーサーと親しく話したいなどと。アーサーを好きな彼女でなくても非難されても仕方ない。
「……ロクサーヌは陰口を言わないのはいいのですが、あまりにも遠慮なく言い過ぎるので時々心配になります」
「わた……王女様以外にもそうなら確かに心配ですね」
私なら何を言われても仕方ないと思っているので気にならない。彼女のアーサーや王妃に似た容姿と、その気性も気に入っているし。
だが、世の中、私みたいな人間ばかりではない。いくら正論でも責め立てられば怒って暴力を振るわれるかもしれない危険がある。
「……私が心配しているのはロクサーヌではなく言われた貴女ですよ」
「私?」
意外だった。従姉ではなく初対面|(アーサーにとっては)の女を気にするとは。
いや、ただ単に従姉が「嫌な事を言った」相手だから気にしているだけだろう。
「私なら大丈夫ですわ」
「……ロクサーヌの事は気遣うくせに」
アーサーが、ぼそりと呟いた。
「あの?」
「何でもありません。それより、私に話があるのですよね?」
改めて訊かれても困る。私は、ただ――。
「……私は、ただ、あなたとお話してみたかったんです」
特別に何をどうこう話したいとかではない。ただ、いつも邪険にしか接してこなかったから、穏やかに、とりとめのない話をしたかっただけだ。
「……でも、こんな事、迷惑ですね」
正体不明の女から突然、「ただ、あなたと話したいの」と言われても対応に困るだろう。
けれど、今更、本当の私として彼と向き合う勇気もない。
「迷惑とは思ってませんよ」
「気を遣ってくださらなくてもいいのです。王子様に言われたから、そして、エレノア様のために、私に付き合う気になったのでしょう?」
「私も貴女と話したかったのですよ。王子殿下やエレノアは関係ありません」
王子に言われたからではなく、はとこのためでもなく、アーサー自身が私と話したかった?
「……どうして?」
どうして、初対面|(アーサーにとっては)の女と話したいと思うのだろう?
「……顔を隠してなら王子殿下と話せるかもしれないとエレノアは言いました。貴女も顔を隠してなら本音で私とお話してくださるのでしょう?」
……もしかして、婚約者だと分かっていてアーサーは言っている?
アルバートには当然ながら「アーサーには何も言わずに仮面舞踏会に連れきて」と言っておいた。いくら仲の良くない姉弟でも憎み合っているわけではない(世間では王位を巡って争っていると思われているだろうが)。私の気持ちを無下にする弟ではないはずだ。
ロクサーヌの眼差しは、いつも王女に向けるものと同じだからだ。
ロクサーヌは王女が嫌いなのだ。態度で示されているだけじゃない。「わたくしは貴女が嫌いです」とはっきり言われた。
それでも私はロクサーヌを嫌いになれない。王妃やアーサーに似た容姿は好ましいし、王女相手でも「嫌いだ」と明言する度胸も気に入っている。
ロクサーヌが私を嫌う理由は、私が高慢な王女として振舞っていたからではない。私のアーサーに対する態度だ。そう、彼女は異性として従弟が好きなのだ。
アーサーの婚約者が王女であるために仕方なくエリオットと婚約した。貴族令嬢にとって結婚は義務だからだ。ウィザーズ侯爵令嬢で才色兼備なロクサーヌだ。当然、婚約者候補も引く手あまたなのだが、その中でエリオットを選んだのは、彼女にとって都合のいい男だからだろう。
エリオット・ラングリッジはエリックとは年子の兄弟。容姿こそ、そっくりな美丈夫だが性格は真逆で真面目なエリックと違いエリオットは実に軽薄な男性だ(それでも入学から卒業まで最高位のクラスだった)。
ただ一人の女性を想っているだろうエリックと違いエリオットは一度に複数の女性と付き合うプレーボーイでもある。だが、従弟のように問題のある女性(……私の事だ。その自覚はあるのだ)ではなく、夫との仲が冷え切った貴族女性とか金で方が付く娼婦しか相手にしないので今まで面倒を起こした事はない。
そんなエリオットだから互いに愛情を求めない割り切った夫婦でいられると、それでロクサーヌは婚約を決めたらしい。
そんなロクサーヌにとって私のアーサーに対する態度は許し難いものだろう。自分がなりたくてもなれない婚約者の立場にいるくせに彼を邪険にしているのだから。
「分かり」
「邪魔しないでくれ」
私が「分かりました。お話ししましょう」と言いかけたのだがアーサーが遮った。
心なしか従姉に向ける眼差しが冷たい。アーサーからこんな眼差しを向けられれば大抵の人間は怯むのだろうがロクサーヌは動じない。王女相手でも「嫌いだ」と明言する度胸の持ち主なのだから。
「邪魔などしないわ。わたくしとの会話が終わった後、心置きなく話せばいいじゃない」
「……その後で、この方が私と話す気になるかどうかが心配なんだ」
「なぜ、あなたがそう考えていらっしゃるのか分かりませんが、それはないです」
そう、それはない。ロクサーヌが何を言っても、この後、私は「素の私」としてアーサーと話す。……これを最後と決めたのだから。
「ロクサーヌ様とお話します。少し待っていてください」
何か言いたげなアーサーを無視して私はロクサーヌを促して歩き出した。
中庭は睦み合う男女だらけだったので、アーサー達から少し離れた回廊で私はロクサーヌと向き合った。
「お話とは?」
「……王女様ですね?」
やはりというか気づかれていたようだ。伊達に王女を嫌ってはいない。多少の小細工くらいは見抜けるという事か。
嫌悪や憎悪は無関心とは違う。気になるから嫌うし憎むのだ。……私が妾妃を嫌うのも結局は、そうなのだろう。弟のように意識の外に追い出せないからだ。
「ええ」
ごまかすのも無駄な気がしたので私はあっさり認めた。
「……アーサーと話すのに、そんな御大層な変装をするのですか?」
ロクサーヌは嘲っているのではなく呆れているようだ。
「変装なのかしら? 確かに鬘を被って、こんなド派手な仮面までつけてるけど」
「……そんな事は、どうでもいいです」
悩んでしまった私に対してロクサーヌは苛立ったように言った。自分が「御大層な変装」と言ったくせに。
「……単調直入に訊きます。貴女はアーサーを愛していますよね?」
私は思わず黙り込んでしまった。だが、ロクサーヌには私の答えなど、お見通しだろう。同じ男性を想っているのだから。
「貴女がアーサーを本当に嫌いで、あんな態度なら、わたくしは貴女を嫌わなかった」
私のアーサーへの態度だけでなく普段の「高慢な王女」としての振る舞いも私の演技だとロクサーヌは見抜いていただろう。見かけこそ王妃にそっくりだが彼女は脳筋じゃない。何より大嫌いな私を誰よりも注意深く見ていたはずだからだ。
「本当はアーサーを好きなくせに、あんな態度を演じるから腹が立つんです。しかも、今更、別人になりすましてアーサーと親しく話そうとしている」
私の過去と今の行動に、ロクサーヌは苛立っているようだ。
「……そう、今更ね。分かっているわ」
私は、ほろ苦く微笑んだ。
「別人としてではなく貴女本人としてアーサーと話せばいいでしょう。そうすれば、わたくしだって」
ロクサーヌは、ぎゅっと拳を握った。
「……わたくしだって、アーサーを諦められるわ」
「ロクサーヌ?」
「……諦めるというのも変ですね。最初から、わたくしには望みはないもの」
今度はロクサーヌが、ほろ苦く微笑んだ。
王女という婚約者がいなくても、ロクサーヌには望みはない。
何年か前、私は、それとなくアーサーに言ってみたのだ。「妾よりロクサーヌと結婚したほうが、お前は幸せになれるぞ」と。言外に「私と婚約解消してロクサーヌと結婚して」と言ったのだ。
それに対するアーサーの答えが「それはないです。私は私に似た従姉を恋愛対象として見れませんので」だった。
「……私にだって望みはないわ」
「はい?」
ロクサーヌがあまりにも悲しそうで私は思わずそう言ったのだが、何だか「何を言ってるんだ? この女」みたいな眼差しを彼女から向けられている気がする。
「国王が決めた婚約よ。しかも、私はアーサーに嫌われる態度しかとらなかった。今更、私が態度を軟化させても気味悪がられるだけよ。だから、私は、こんな御大層な変装までしてアーサーと話に来たの。そうでなければ、アーサーと親密に話せそうにないもの」
「……正直、何を言っていいか分かりませんわね」
ロクサーヌは期せずして弟と同じ科白を口にした。
「……これが最後だから、不愉快だろうけれど見守っていて」
「最後?」
怪訝そうなロクサーヌに答えず、私はアーサーの許に戻るべく歩き出した。
「ロクサーヌと何を話されたんですか?」
どうやらアーサーは私とロクサーヌの会話が気になっていたらしい。
回廊にほど近い中庭のベンチに座って私とアーサーは話している。……あまり奥に行くと仮初めの恋人達の見たくもない場面を見る破目になるので。
私とアーサーは四人(アルバートとエレノアとエリックとロクサーヌだ)を置いて来た。アルバートとエレノアだけで話してほしかったのだが、二人とも互いだけでは嫌だったらしく(アルバートとエレノアでは理由が違うのだろうが)、それぞれエリックとロクサーヌを引っ張って舞踏会会場に入って行った。
「……女同士の話ですので、内緒です」
私は笑って(大仰な仮面のせいで分からないだろうけれど)ごまかした。そう、彼は知らなくていいのだ。
「……ロクサーヌに嫌な事を言われませんでしたか?」
「そんな事ありませんわ。ただ普通に、お話しただけです」
ロクサーヌの言う事は、どれも尤もな事だ。今更、別人になりましてアーサーと親しく話したいなどと。アーサーを好きな彼女でなくても非難されても仕方ない。
「……ロクサーヌは陰口を言わないのはいいのですが、あまりにも遠慮なく言い過ぎるので時々心配になります」
「わた……王女様以外にもそうなら確かに心配ですね」
私なら何を言われても仕方ないと思っているので気にならない。彼女のアーサーや王妃に似た容姿と、その気性も気に入っているし。
だが、世の中、私みたいな人間ばかりではない。いくら正論でも責め立てられば怒って暴力を振るわれるかもしれない危険がある。
「……私が心配しているのはロクサーヌではなく言われた貴女ですよ」
「私?」
意外だった。従姉ではなく初対面|(アーサーにとっては)の女を気にするとは。
いや、ただ単に従姉が「嫌な事を言った」相手だから気にしているだけだろう。
「私なら大丈夫ですわ」
「……ロクサーヌの事は気遣うくせに」
アーサーが、ぼそりと呟いた。
「あの?」
「何でもありません。それより、私に話があるのですよね?」
改めて訊かれても困る。私は、ただ――。
「……私は、ただ、あなたとお話してみたかったんです」
特別に何をどうこう話したいとかではない。ただ、いつも邪険にしか接してこなかったから、穏やかに、とりとめのない話をしたかっただけだ。
「……でも、こんな事、迷惑ですね」
正体不明の女から突然、「ただ、あなたと話したいの」と言われても対応に困るだろう。
けれど、今更、本当の私として彼と向き合う勇気もない。
「迷惑とは思ってませんよ」
「気を遣ってくださらなくてもいいのです。王子様に言われたから、そして、エレノア様のために、私に付き合う気になったのでしょう?」
「私も貴女と話したかったのですよ。王子殿下やエレノアは関係ありません」
王子に言われたからではなく、はとこのためでもなく、アーサー自身が私と話したかった?
「……どうして?」
どうして、初対面|(アーサーにとっては)の女と話したいと思うのだろう?
「……顔を隠してなら王子殿下と話せるかもしれないとエレノアは言いました。貴女も顔を隠してなら本音で私とお話してくださるのでしょう?」
……もしかして、婚約者だと分かっていてアーサーは言っている?
アルバートには当然ながら「アーサーには何も言わずに仮面舞踏会に連れきて」と言っておいた。いくら仲の良くない姉弟でも憎み合っているわけではない(世間では王位を巡って争っていると思われているだろうが)。私の気持ちを無下にする弟ではないはずだ。
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